耳鳴りの後遺障害等級|12級は可能?逸失利益相場などを解説

交通事故による耳鳴りのような症状は、本人にとって非常に不快なものです。

そのため、クオリティオブライフの低下を考慮し、適切な金銭的な補償を受けたいと思うでしょう。

しかし、耳鳴りは自覚症状が主であり、X線やMRIなどの外部から視覚的に確認できる証拠が乏しいため、耳鳴りによる後遺障害の認定が受けられるのかどうか、読者の方々には心配があるかもしれません。

そこで、本記事では耳鳴りによる後遺障害等級について詳しく説明し、症状固定後、等級12級を認定するためにどうするか、後遺障害診断書はどうするか、逸失利益の相場についても解説します。

耳鳴りでも後遺障害認定を受けられる

耳鳴りと後遺障害認定

結論からいいますと、耳鳴り症状について「後遺障害認定」を受けられるケースはたくさんあります。

後遺障害認定とは、交通事故の怪我自体について支払われる傷害慰謝料とは別途で支払われる慰謝料である後遺障害慰謝料を受けとるために、自賠責事務所という第三者審査機関に後遺障害認定をしてもらい、かつ1級から14級のどの等級に該当するのかを認定してもらう事をいいます。

この等級は昇順に症状が重いものと認定され、等級ごとに支払を受けることができる賠償金の基準が異なってくるのです。

難聴等の聴力障害の後遺障害認定等級は最高で4級

耳への重篤な異状のうち、両耳に「難聴」等の聴力障害が残る場合があります。

この場合は、最高で4級の認定が受けられます。

耳鳴りの後遺障害認定等級12級・14級

ただ、今回のメインテーマである「耳鳴り」が続く場合に認定される可能性がある等級は、第12級12号か第14級だと考えられます。

第12級12号は、おおまかにいうと、耳鳴にかかる検査によって難聴に伴い著しい耳鳴りが常時あると評価できるものです。

症状名としては、頚部から左肩疼痛、上肢痺れ、悪天候時の頭痛と定められており、傷病名としては頚椎挫傷、神経根症と診断されることが多いです。

また、第14級は、おおまかにいうと、耳鳴を生じている高さの聴力が、他と検証して低下していることに伴い、常時耳鳴のあることが合理的に説明できるものです。

症状名として、耳伝音声難聴、耳鳴り、外傷性頭蓋内出血、頚椎底骨骨折、外傷性耳障害と診断されることが多いです。

耳鳴りの逸失利益に関する2つのポイント

聴力障害の後遺障害認定においては、所定の測定方法に基づいて数値化されるため、認定自体は比較的争いが少ない傾向にあります。

しかし、問題となるのはその人の「仕事への影響」であり、具体的には「労働能力喪失率」です。

自賠責保険の等級制度では、各等級に労働能力喪失率の基準値が設定されていますが、聴力障害の場合は程度が軽いと職業への影響が低く評価されることがあり、その結果、逸失利益も低く見られる傾向があります。

また、もう一つの重要な要素は「将来の回復の可能性」です。

一部の聴力障害の場合、将来的に障害が改善する可能性が指摘されることがあり、このことにより「逸失利益の制限」が考慮されることがあります。

9歳の男の子が交通事故によって左耳出血となり、神経性難聴と耳鳴りを発症し、後遺障害認定において9級9号が認定された事案において、本来であれば基準値の35%の労働能力喪失率が認められるべきところ、原告が若く、今後肉体的条件に適応し、その障害をある程度克服する可能性があるなどとして、25%に制限されました。(高松地判昭和61年9月19日)

後遺障害12級の逸失利益の計算

交通事故の逸失利益の計算公式

逸失利益の金額は、少し難しいですが、次の計算式によって求めることができます。

逸失利益=①基礎収入 × ②労働能力喪失率 × ③労働能力喪失期間に応じた④ライプニッツ係数

12級の逸失利益の相場計算で重要な点

後遺障害12級の逸失利益について、詳しくは別途記事に譲りますが、ここで重要なのは以下の点です。

  • 12級の場合:労働能力喪失率は「14%」と設定
  • 労働能力喪失期間は年数が10年になる場合あり

労働能力喪失期間は先述したとおり、保険会社の提案で10年と短くなるケースもあるので、必ず弁護士に相談をしましょう。

12級の逸失利益の相場計算

逸失利益の相場は、例えば、以下のようになります。

  • 事例
  • 被害者の年齢・性別:62歳・男性
  • 被害者の年収:400万円
  • 被害者の後遺障害等級:12級
  • 400万円(年収)×14%(労働能力喪失率)× 9.253(年齢62歳のライプニッツ係数※)=518万1680

ここでは上記のように518万円が相場となっていますが、年齢や年収でもちろん異なることになります。

詳しくは、下記のシュミレーターや関連記事をご参考ください。

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12級獲得のためには後遺障害診断書と検査が重要

耳鳴りはレントゲンやMRIなどの他覚写真には写りづらい症状です。

一方、自賠責事務所による後遺障害等級認定審査は、書面審査といって、症状を書面上のみで審査をするので(例えば後遺障害診断書など)、耳鳴りを医学的に証明する必要があります。

耳鳴の検査は、以下の2種類がメインです。他にも補足的に行われる検査はありますが、主判断はこの2つの検査によると考えてよいでしょう。

  • ピッチ・マッチ検査
  • ラウドネス・バランス検査

ピッチ・マッチ検査とは、耳鳴りの「音の高さ」を調べる検査です。耳鳴りの音の高低、音色や耳のどのあたりの箇所でおきているのかを調べます。

対して、ラウンドネス・バランス検査は、ピッチ・マッチ検査により判明した音の高さ=音の周波数をもとに、耳鳴りの「音の大きさ」を調べるテストです。

これらの検査によって、耳鳴にかかる音の高さや音の大きさを検査して、耳鳴りが医学的に証明できるかを判断するのです。

自賠責事務所としては、これら世に広く利用されているテストを利用すれば、ある程度画一的かつ主観によってぶれづらい等級判定をすることができる、ということになります。

  • 12級は、これらの検査によって、耳鳴りが医学的に証明できるという状態である場合に認められます。検査結果をみて、主治医が耳鳴り症状が確かに実在しますね、と判断している場合です。
  • 14級は、耳鳴り症状の医学的な証明には至らなくても、事故と症状との間に合理的な説明ができる場合に認められる可能性があります。

たとえば、症状に一貫性がある(事故後から発生し、その後現在までずっと耳鳴りがつづいている)、症状の説明が合理的である、といった場合に認められます。

したがって、検査結果が思うものでなかった被害者の方も諦めずに、自分の症状をきちんと明確に整理して医師に伝えるなどして努力をすれば、後遺障害慰謝料が支払われる可能性があります。

まとめ

今回は、交通事故で耳鳴りや難聴が続く場合の後遺障害認定、逸失利益相場などについて解説しました。

後遺障害認定を受けるためには、事故後直ぐに受診し検査し事故との因果関係を明確にする必要があるということを頭の片隅にいれておくのが良いでしょう。

なお、早くから交通事故に強い弁護士にサポートを依頼すれば、同様の事例をたくさん扱っている専門知識や経験則から、治療にも後遺障害の診断書対策にもよい病院選びのアドバイスから、後遺障害診断書に有利な資料収集や示談交渉までしてもらえます。

また、最近の保険には、弁護士特約といってこういった場合の弁護士費用を補償してくれる特約がついていることが多いです。

もし特約がつけられていれば、自己負担費用は実質かからずに弁護士サポートを受けることができますので、ぜひご自身の保険範囲を確認されてみてください。

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弁護士に相談することで、これらの問題の解決が望めます。
保険会社任せの示談で後悔しないためにも、1人で悩まず、今すぐ弁護士に相談しましょう。

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