交通事故後から顎が痛い!顎関節症は後遺障害等級認定されるのか?

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交通事故後、口をあけると痛みが走る、口が開かない、顎から変な音がする、さらには頭痛、首、肩の痛みなどの症状が生じたときは、顎関節症かもしれません。

しかし、顎関節症と診断されたからといって直ちに後遺障害等級認定を受けられるわけではありません。特に、症状が顎の痛みの場合は注意が必要です。

また、認定を受けられる後遺障害等級によって受け取れる後遺障害慰謝料や逸失利益といった損害賠償の額も変わってきてしまいます。

そこで今回は、顎関節症の後遺障害認定と認定された場合の慰謝料などについて解説します。

顎関節症とは

顎関節症の主な症状

顎関節症とは、次の3種類の症状を代表的な症状とする障害を包括した診断名です。

  1. あごの痛み
  2. 口が開かない
  3. あごを動かすと音がする(カクカク、コキコキ、ゴリゴリ、ザラザラなど)

食事や会話といった日常生活に大きな支障を生じる症状です。

この3つの症状のうち、少なくとも1つの症状があり、しかもこれらと同じ症状が生じる他の病気にはかかっていないと判断されたときに顎関節症という診断名が与えられます。

交通事故で顎関節症となる理由

顎関節症となってしまう理由には様々なものがあるとされていますが、そのひとつに交通事故が挙げられます。

外部からの「顎頭蓋部への強打」によって、顎関節部分が損傷や炎症を起こし、顎関節痛障害が引き起こされるのです(※1)。

また、痛みの原因となりうるものは炎症だけでなく、交通事故による神経障害の可能性もあり、痛みから口を開けることができなくなるケースもあります。

このように交通事故による外傷を起点として、顎関節症の発症に至る可能性があるのです(※2)。

※1 「顎関節症治療の指針 2018」10頁
※2 ただし、顎関節症という分野は、まだ国際的にも国内的にも研究途上の分野であり、ここでの顎関節症の説明も、今後変化してゆく可能性があります(前出「顎関節症治療の指針 2018」2頁)。

顎関節症で認定される後遺障害等級

複数の症状を総称した診断名に過ぎない顎関節症と診断されただけでは、後遺障害等級に該当するかどうかを判断することはできません。後遺障害等級認定の対象となるのは、残ってしまったひとつひとつの症状です。個別の症状を検討する必要があります。

顎関節症の主要な以下3つの症状について後遺障害等級の可能性を個別に検討します。

  • 口が開かない症状
  • 顎が痛い症状
  • あごを動かすと音がする症状

口が開かない症状

口が開かない症状が固定してしまった場合は、その程度に応じて、第1級から第12級(相当)の7段階の等級認定がなされる可能性があります。

後遺障害等級後遺障害の内容
第1級2号咀嚼及び言語の機能を廃したもの
第3級2号咀嚼又は言語の機能を廃したもの
第4級2号咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
第6級2号咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの
第9級6号咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
第10級3号咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
第12級相当開口障害などを原因として咀嚼に相当時間を要するもの

咀嚼障害についての認定基準を具体的に述べておきましょう。

「咀嚼の機能を廃した」とは、流動食しか食べられない場合です。

「咀嚼の機能に著しい障害」とは、粥食又はこれに準ずる程度の飲食物しか口にできない場合です。

「咀嚼の機能に障害を残す」とは、固形物の中に噛めないものや十分には噛めないものがある場合です。例えば、煮魚は噛めるがタクアンは無理というようなケースです。

「咀嚼に相当時間を要する」とは、噛めるけれど相当な時間がかかる食物があるという場合です。

顎が痛い症状

顎が痛い症状が固定してしまった場合は、その程度に応じて、第12級か第14級の等級認定がなされる可能性があります。

後遺障害等級後遺障害の内容
第12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの
第14級9号局部に神経症状を残すもの

12級と14級の区別は、自覚症状のみの場合(14級)か、他覚症状がある場合(12級)かによります。この点は、後述します。

あごを動かすと音がする症状

残念ながら、音がする症状は後遺障害と認められません。裁判例では、開口時に雑音、クリック音が認められるケースで、音がすることが咀嚼機能に支障を及ぼすとは認めがたいとしたものがあります(※)。

※ 大阪地裁平成5年5月18日判決「後遺障害等級認定と裁判実務」弁護士高野真人編著・新日本法規発行・376頁

顎関節症で後遺障害認定を受けるポイント

後遺障害12級の認定には他覚的所見が必要!

後遺障害の内容が咀嚼障害、言語機能障害である場合は、交通事故による外傷との因果関係の明瞭さに問題はないでしょう。

しかし、痛みの症状が後遺障害である場合は、他覚的所見があるか(12級)、それがなく自覚症状だけでも医学的に説明がつく場合(14級)であることが必要です。

他覚的所見は、レントゲンやMRIの画像があれば望ましいところですが、画像がない場合でも、医学的知識から症状の存在を医師が確認できるならば他覚的症状があると言えます。

後遺障害14級の認定は医学的に説明がつく必要がある!

医学的に説明がつかない場合とは次のような場合です。

  1. 事故が軽い接触事故に過ぎず、身体的な痛みが生じることが常識的にもありえないケース。
  2. 事故と初診の間に長期間が経過しているケース。
  3. 治療の途中であるにもかかわらず、症状の悪化や新症状の出現するケース。
  4. 治療を途中で中断しているケース。

上の2.ないし4.は、症状の連続性、一貫性を欠くので、医学的に説明がつかないとされます。事故による受傷は程度の差はあれ、事故直後が最も症状が重く、治療の経過とともに症状が軽くなります。ところが2.ないし4.は、この通常の治癒経過と異なっているため医学的に説明がつかないと評価されるのです。

したがって、事故に遭ってしまったら、期間をおかずに医療機関に受診し、定期的な通院を心がけるべきです。

顎関節症の後遺障害慰謝料と逸失利益

顎関節症に見られる各症状が、前述のような後遺障害等級に該当する場合は、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益の損害賠償請求を行うことができます。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、後遺障害が残ってしまったことによる精神的な損害を補償するもので、後遺障害の程度に応じて目安となる金額が基準化されています(弁護士・裁判基準)。なお弁護士・裁判基準は、示談交渉において保険会社が提示する賠償額(自賠責基準、保険会社基準)よりも高額です。

以下に各等級の後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益の算定根拠となる労働能力喪失率をあげておきます。

後遺障害等級後遺障害慰謝料労働能力喪失率
自賠責基準任意保険基準(※)弁護士基準
第1級2号1100万円1300万円2800万円100%
第3級2号829万円950万円1990万円100%
第4級2号712万円800万円1670万円92%
第6級2号498万円600万円1180万円67%
第9級6号245万円300万円690万円35%
第10級3号187万円200万円550万円27%
第12級相当
第12級13号
93万円100万円290万円14%
第14級9号32万円40万円110万円5%

後遺障害逸失利益

後遺障害逸失利益は、後遺障害がなければ得られたであろう将来の収入です。後遺障害によって働く力が失われたと考え、その失われた割合が後遺障害の程度に応じて基準化されています(労働能力喪失率)。

後遺障害逸失利益の計算式は以下の取りです。

逸失利益=年収額×労働能力喪失率×被害者の年齢に応じたライプニッツ係数

「被害者の年齢に応じたライプニッツ係数」は、以下の国土交通省のサイトで調べることができます。

参考外部サイト:国土交通省「就労可能年数とライプニッツ係数表

上記の計算式、労働能力喪失率、後遺障害慰謝料の弁護士基準を使って後遺障害の賠償額を計算してみましょう。

被害者

年齢:28歳
年収:500万円
後遺障害等級:10級(労働能力喪失率27%)
被害者のライプニッツ係数:17.017

逸失利益
500万円×27%
×17.017=2297万2950円(A)
後遺障害慰謝料
550万円(B)

後遺障害の賠償額
(A)+(B)=2847万2950円

これが後遺障害の賠償額となります。
ただし、交通事故の損害賠償はこれだけにとどまりません。これ以外にも治療費、入通院慰謝料、入通院交通費、休業損害などの損害賠償も請求できます。

弁護士による被害者請求で適正な認定を!

適正な後遺障害等級認定を受けるためには、認定の申請を加害者側の保険会社にまかせてしまう「事前認定」によるべきではありません。被害者側で資料を集めて自賠責保険に等級認定を申請する「被害者請求」を利用するべきです。

ただ、この手続には手間がかかり被害者には重い負担となってしまいます。そこで弁護士に被害者請求手続きの代理人を依頼することがベストな選択です。

弁護士に依頼をすれば、後遺障害等級認定の後に最終的な損害賠償額を決める保険会社との示談交渉においても、保険会社が提示する水準の金額よりも高額な弁護士・裁判基準による損害賠償金を得られる可能性が高いのです。

まとめ

顎関節症と後遺障害について説明しました。顎関節症と診断されたからといって、直ちに後遺障害等級に結びつくものではないことをおわかりいただけたと思います。

顎関節症と診断されても、ひとつひとつの症状の存在を丁寧に主張、立証しなくては、正しい後遺障害等級認定を受けることはできず、正しい損害賠償金を受け取ることもできません。

交通事故で顎関節症と診断される可能性がある場合は、ぜひ弁護士に相談することをおすすめします。

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