バイク事故で足切断の後遺障害慰謝料、逸失利益、義足代等の徹底解説

バイク事故で足を切断してしまったら、その後は義足や車椅子を使用しなければならず、そのため自宅の改造が必要となることもあり、被害者だけでなくご家族も大きな負担を強いられることになります。

下肢の後遺障害として損害賠償を受けることができますが、実は、義足や車椅子、自宅の改造のための費用も損害賠償請求することが可能です。

ここでは、足を切断したときの、後遺障害慰謝料、逸失利益、義足代、自宅改造費用などについて、受け取ることができる賠償金額の相場、実際の裁判例、適正な賠償金を得るためのポイント等について説明します。

なお、この記事では、厳密な意味での「足」部分(足首から先の部分)だけでなく、「脚」部分(股関節から先の部分)を切断した場合も取り扱います。後遺障害等級表では、これら部分を総称して「下肢」としています。

交通事故による足切断で認められる後遺障害等級

後遺障害の種類と等級

足(脚)を切断した場合に認められる後遺障害は、下肢の欠損障害です。失われた部分に応じて、次のとおり種類と等級が定められています(自動車損害賠償保障法施行令別表第二)。

等級後遺障害の内容
1級5号両下肢をひざ関節以上で失ったもの
2級4号両下肢を足関節以上で失ったもの
4級7号両足をリスフラン関節以上で失ったもの
4級5号1下肢をひざ関節以上で失ったもの
5級5号1下肢を足関節以上で失ったもの
7級8号1足をリスフラン関節以上で失ったもの

交通事故による足切断の後遺障害等級認定基準

「労災補償障害認定必携」によれば、上の各等級の認定基準は次のとおりです。ここで、なぜ労災の認定基準を持ちだしたかというと、自賠責の認定基準は、労災の認定基準を準用しているからです。

では、各等級の認定基準について詳しく見ていくことにしましょう。

「下肢をひざ関節以上で失った」とは

1級5号と4級5号の「下肢を膝関節以上で失った」とは、次のいずれかに該当する場合です。

  • 股関節において寛骨と大腿骨を離断した
  • 股関節とひざ関節との間において切断した
  • ひざ関節において、大腿骨と脛骨及び腓骨とを離断した

「下肢を足関節以上で失った」とは

2級4号と5級5号の「下肢を足関節以上で失った」とは、次のいずれかに該当する場合です。

  • ひざ関節と足関節との間において切断した
  • 足関節において、脛骨及び腓骨と距骨とを離断した

「リスフラン関節以上で失った」とは

4級7号と7級8号の「リスフラン関節以上で失った」とは、次のいずれかに該当する場合です。

  • 足根骨(踵骨、距骨、舟状骨、立方骨及び3個の楔状骨からなる)において切断した
  • リスフラン関節において中足骨と足根骨とを離断した

認定は比較的容易だが問題は適正な賠償金の獲得

下肢の欠損障害は、認定基準は明確であり、障害の内容も外見から判別できます。

また、事故による欠損であることも容易に判断できるので、後遺障害で問題となりやすい事故との因果関係の有無も争いにはなりません。

したがって、他の後遺障害に比べれば、下肢の欠損障害で障害の内容に相応する等級を得ることは困難さの程度が低いと言えます。

しかし、相応の等級認定を受けても、それが直ちに適正な損害賠償額につながるとは限りません。

適正な損害賠償金を受け取るためには、もう幾つか、乗り越えなくてはならない壁があるのです。

それを下肢欠損障害の後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益の問題で説明します。

交通事故による足切断の後遺障害慰謝料

下肢欠損の後遺障害に対する慰謝料の相場金額は以下のとおりです。

等級自賠責基準任意保険基準(※)弁護士・裁判基準
1級1,100万円1,300万円2800万円
2級958万円1,120万円2370万円
4級712万円800万円1670万円
5級599万円700万円1400万円
7級409万円500万円1000万円

※任意保険基準は、公表されていないので、旧任意保険統一支払基準を参考に記載しています。

上に挙げた3つの基準のうち、弁護士基準(裁判基準とも呼ばれる)は、裁判基準とも呼ばれる裁判所でも用いられる基準であり、法的に妥当なうえ、3つの基準のうち最も高額となる基準となるので、被害者は、この基準で交渉を進めるべきです。

しかし、これらの金額も、あくまで相場であり、事案の内容によって増減があります。

相場金額よりも増額された後遺障害慰謝料を獲得するためには、被害の深刻さ、生活における支障の程度・内容、事故態様やその後の対応における加害者の悪質性など、事故をめぐる諸事情の中から、法的に重要な事実を拾い出して主張し、それを証拠で裏付ける必要があります。

実際に、下肢欠損の後遺障害慰謝料が弁護士基準の相場金額よりも増額された裁判例を見てみましょう。

裁判例1:弁護士基準より増額された

福岡高裁那覇支部平成23年11月8日判決

バイク事故で、右下腿切断(5級5号)などで自賠責から併合4級と認定された被害者(女性・症状固定時34歳)について、入通院慰謝料410万円に加えて、後遺障害慰謝料2000万円(相場は1670万円)を認めました。増額の理由は次のとおりです。

  • 長期入院(2年間)と複数回の手術を受けた
  • 幻肢痛に苦しめられた
  • 被害者は事故時は家庭教師で、翌年には医学部に入学した大学生であるが、事故後約8年間も休学しなくてはならず、学業と将来の資格取得に多大な影響を受けている
  • 加害者は事故態様について不合理な事実に反する主張で、責任回避の姿勢に終始したこと(自保ジャーナル1884号70頁)

裁判例2:弁護士基準より増額された

金沢地裁平成22年11月24日判決

左下肢を足関節以上で喪失(5級5号)の男子大学生(症状固定時20歳)につき、入通院慰謝料226万円に加えて、後遺障害慰謝料1600万円(相場は1400万円)を認めました。
増額の理由は、加害者が事実と異なる主張を繰り返したことで被害者に著しい精神的苦痛を与えたことなどです。

(自保ジャーナル1849号79頁)

交通事故による足切断の後遺障害逸失利益

下肢欠損の後遺障害に対する自賠責保険での労働能力喪失率は次のとおりです。

等級労働能力喪失率
1級100%
2級
4級92%
5級79%
7級56%

ただし、保険会社がこの労働能力喪失率を認めず、もっと低い喪失率のはずだと主張して争うケースは珍しくありません。

特に、現実には収入の減少がないケースが問題となります。

この点、裁判例は、実際に収入が減少していないとしても、本人の努力や職場の同僚、上司の理解と配慮などに負うところが多いこと、また将来的に転職の必要が生じた際には後遺障害の存在が不利益に働く可能性は否定できないこと等を考慮して、労働能力の喪失を認める傾向にあります。

裁判例3:収入減はないが等級通りの喪失率を認めた

東京高裁平成20年11月20日判決

バイク事故で、下肢をひざ関節以上で切断した(4級5号)の被害者(男性会社員・症状固定時33歳)につき、事故後の収入減少がないが、自賠責保険の等級表どおり92%の労働能力喪失を認定して逸失利益を認めました。その理由は、次のとおりです。

  • 事故前に担当していた立ち仕事が不可能で、現在は事務作業についている
  • 免許を持つフォークリフトでの作業が不可能
  • 今後、昇任昇格試験を受けることができない
  • 今後、就労できる仕事内容が制限されてしまう
  • 同期社員と比べて収入が減少する可能性がある
  • 現在、健常者と同様の収入を得ているのは被害者の努力が背後にある(自保ジャーナル1764号2頁)

このように保険会社が等級認定どおりの労働能力喪失率を認めない場合は、仕事を遂行するうえで、後遺障害等級によって、どのような支障が生じているのか、将来的にどのような不利益を被る可能性が高いのか、収入を維持するために本人がどのような努力をしているのか等の個別の細かな事情を主張・立証し、適正な逸失利益の獲得につなげる必要があります。

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義足や車椅子、自宅改造の費用の損害賠償

下肢の欠損障害では、今後、義足や車椅子を利用し続けなければなりません。その費用も必要性があれば損害賠償として請求することができます

例えば義足は一度購入したら終わりではなく、一定期間毎に新しいものに交換しなければならない場合があるので、将来の交換費用も含めた金額を請求することが認められます。

この場合、将来の交換費用を一時に受け取ることになるので、中間利息の控除が必要です。もっとも下記裁判例のように、具体的事情に配慮して中間利息を控除しなかった例もあります。

裁判例4:中間利息を控除しなかった

福岡高裁平成17年8月9日

左大腿部切断などで併合4級となった被害者(女性会社員・症状固定時34歳)の義足等費用です。
支出した費用145万3060円に加え、今後、平均余命までの51年間に3年ごと16回の交換が必要であること、その交換費用の今後増大する蓋然性と交換頻度が高くなる可能性がどちらも相当に高いと認定し、算定にあたって中間利息を控除せず、義足等交換費用として、合計1919万9200円を認めました。

(交通事故民事裁判例集38巻4号899頁)

この裁判例は、被害者側が義足の交換について、予測される将来の諸事情を丁寧に主張、立証したことが有利な結果につながったものと思われます。

下肢の欠損障害では、自宅をバリアフリー化するためなどの自宅改造が必要となる場合もあり、自宅改造費も必要かつ相当な範囲で損害賠償として請求できます。

自動車の改造費用や賃貸物件の転居による家賃差額なども同様です。

裁判例5:エレベーター設置費用を認めた

横浜地裁平成23年5月27日

右下肢欠損(4級5号)、高次脳機能障害(7級4号)で併合2級の被害者(女性・症状固定時27歳)につき、実家で生活するための自宅改造が必要であり、その自宅は一階が仕事場で、二階が住居であるため、被害者の部屋を2階に置くことも合理的であると認めて、エレベーター設置工事など1660万円の家屋改造費の請求を認めました。

(交通事故民事裁判例集44巻3号645頁)

この裁判例でも、足の不自由な被害者の居室をわざわざ2階に置き、そのためのエレベーター設置費用を請求することの必要性が問題でしたが、被害者家族の自宅での生活状況などを細かく主張、立証したことが高額な改造費用の認定につながったと思われます。

足切断の後遺障害で適正な賠償金を得るために

前述のとおり、下肢の欠損障害で障害の程度に応じた等級認定を得ることは、比較的困難は少ないと言えます。

しかし、上の各裁判例で見たとおり、後遺障害慰謝料、逸失利益、義足等の交換費用、自宅の改造費用など、多くの場面で保険会社は被害者の言い分を認めません。

保険会社と戦い、適正な賠償金を受け取るためには、被害の実情を細かく丁寧に裁判所に伝え、証拠によって裁判官を説得する活動が必要です。

これは被害者本人やご家族だけでは到底成し得るものではありません。

弁護士の力で交通事故事件の賠償額が大きく左右される可能性があるのは、このためです。

足切断の後遺障害問題は、弁護士にご相談されることをお勧めします。

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