バイク事故に強い弁護士6選を紹介!【全国・無料相談】
全国でバイク事故被害に巻き込まれた方向けに、口コミ評判のバイク事故に強い弁護士を紹介!慰謝料が安い、示談交渉がまとま…[続きを読む]
バイクの人身事故で足を切断し後遺症が残ってしまうと、その後は義足や車椅子を使用しなければならず、そのため自宅の改造が必要となることもあり、被害者だけでなくご家族も大きな負担を強いられることになります。
下肢の後遺障害慰謝料や逸失利益、また義足や車椅子、自宅の改造のための費用も適切に損害賠償請求することが重要です。
ここでは、下肢の欠損障害時の後遺障害慰謝料、交通事故の逸失利益、義足代、自宅改造費用などについて、受け取ることができる賠償金額の相場、実際の裁判例やポイント等について説明します。
また、バイク事故の被害に遭った方は、まずは交通事故の法律問題のバイク事故に強い弁護士に相談されるべきでしよう。
なお、この記事では、厳密な意味での「足」部分(足首から先の部分)だけでなく、「脚」部分(股関節から先の部分)を切断した場合も取り扱います。後遺障害等級表では、これら部分を総称して「下肢」としています。
目次
交通事故で片足・両足を切断した場合に認められる後遺障害は、下肢の欠損障害です。
失われた部分に応じて、次のとおり種類と等級が定められています(自動車損害賠償保障法施行令別表第二)。
等級 | 後遺障害の内容 |
---|---|
1級5号 | 両下肢をひざ関節以上で失ったもの |
2級4号 | 両下肢を足関節以上で失ったもの |
4級7号 | 両足をリスフラン関節以上で失ったもの |
4級5号 | 1下肢をひざ関節以上で失ったもの |
5級5号 | 1下肢を足関節以上で失ったもの |
7級8号 | 1足をリスフラン関節以上で失ったもの |
「労災補償障害認定必携」によれば、上の各等級の認定基準は次のとおりです。ここで、なぜ労災の認定基準を持ちだしたかというと、自賠責の認定基準は、労災の認定基準を準用しているからです。
では、各等級の下肢切断の認定基準について詳しく見ていくことにしましょう。
1級5号と4級5号の「下肢を膝関節以上で失った」とは、次のいずれかに該当する場合です。
2級4号と5級5号の「下肢を足関節以上で失った」とは、次のいずれかに該当する場合です。
4級7号と7級8号の「リスフラン関節以上で失った」とは、次のいずれかに該当する場合です。
交通事故による下肢欠損の後遺障害に対する慰謝料の相場金額は以下のとおりです。両足切断など特に重い障害になると弁護士基準の場合は2000万円以上となります。
等級 | 自賠責基準の金額相場 | 任意保険基準の金額相場 | 弁護士・裁判基準の金額相場 |
---|---|---|---|
1級 | 1,150万円 | 1,300万円 | 2800万円 |
2級 | 998万円 | 1,120万円 | 2370万円 |
4級 | 737万円 | 800万円 | 1670万円 |
5級 | 618万円 | 700万円 | 1400万円 |
7級 | 419万円 | 500万円 | 1000万円 |
※任意保険基準は、公表されていないので、旧任意保険統一支払基準を参考に記載しています。
上に挙げた表をみてわかるとおり、慰謝料の金額相場の計算方法には3つの基準があります。
特に、弁護士基準は、裁判基準とも呼ばれる裁判所でも用いられる基準であり、法的に妥当なうえ、3つの基準のうち最も高額となる基準となるので、被害者は、この基準で交渉を進めるべきです。
ただ、これらの金額も、あくまで相場であり、相場金額よりも増額された後遺障害慰謝料を獲得するためには、被害の深刻さ、生活における支障の程度・内容、事故態様やその後の対応における加害者の悪質性など、事故をめぐる諸事情の中から、法的に重要な事実を拾い出して主張し、それを証拠で裏付ける必要があります。
実際に、下肢欠損の後遺障害慰謝料が弁護士基準の相場金額よりも増額された裁判例を見てみましょう。
福岡高裁那覇支部平成23年11月8日判決
バイク事故で、右下腿切断(5級5号)などで自賠責から併合4級と認定された被害者(女性・症状固定時34歳)について、入通院慰謝料410万円に加えて、後遺障害慰謝料2000万円(相場は1670万円)を認めました。増額の理由は次のとおりです。
金沢地裁平成22年11月24日判決
左下肢を足関節以上で喪失(5級5号)の男子大学生(症状固定時20歳)につき、入通院慰謝料226万円に加えて、後遺障害慰謝料1600万円(相場は1400万円)を認めました。
増額の理由は、加害者が事実と異なる主張を繰り返したことで被害者に著しい精神的苦痛を与えたことなどです。
(自保ジャーナル1849号79頁)
また、後遺障害慰謝料だけではなく「後遺障害の逸失利益」を請求することになります。
特に、逸失利益を計算する上で重要な、下肢欠損の後遺障害に対する自賠責保険での「労働能力喪失率」は次のとおりです。
等級 | 労働能力喪失率 |
---|---|
1級 | 100% |
2級 | |
4級 | 92% |
5級 | 79% |
7級 | 56% |
ただし、保険会社がこの労働能力喪失率を認めず、もっと低い喪失率のはずだと主張して争うケースは珍しくありません。
例えば保険会社が被害者に対して「収入の減少が少ないのでは」と主張し争われるケースが問題となります。
ただ、裁判例では、実際に収入が減少していないとしても、本人の努力や職場の同僚、上司の理解と配慮などに負うところが多いこと、また将来的に転職の必要が生じた際には後遺障害の存在が不利益に働く可能性は否定できないこと等を考慮して、労働能力の喪失を認める傾向にあることは覚えておきましょう。
東京高裁平成20年11月20日判決
バイク事故で、下肢をひざ関節以上で切断した(4級5号)の被害者(男性会社員・症状固定時33歳)につき、事故後の収入減少がないが、自賠責保険の等級表どおり92%の労働能力喪失を認定して逸失利益を認めました。その理由は、次のとおりです。
上述ように保険会社が等級認定どおりの労働能力喪失率を認めない場合は、仕事を遂行するうえで、後遺障害等級によって、どのような支障が生じているのか、将来的にどのような不利益を被る可能性が高いのか、収入を維持するために本人がどのような努力をしているのか等の個別の細かな事情を主張・立証し、適正な逸失利益の獲得につなげる必要があります。
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下肢の欠損障害では、今後、義足や車椅子を利用し続けなければなりません。その費用も必要性があれば損害賠償として請求することができます。
例えば義足は一度購入したら終わりではなく、一定期間毎に新しいものに交換しなければならない場合があるので、将来の交換費用も含めた金額を請求することが認められます。
この場合、将来の交換費用を一時に受け取ることになります。
つまりこの際に「中間利息の控除」が必要になります。もっとも下記裁判例のように、具体的事情に配慮して中間利息を控除しなかった例もあります。
福岡高裁平成17年8月9日
左大腿部切断などで併合4級となった被害者(女性会社員・症状固定時34歳)の義足等費用です。
支出した費用145万3060円に加え、今後、平均余命までの51年間に3年ごと16回の交換が必要であること、その交換費用の今後増大する蓋然性と交換頻度が高くなる可能性がどちらも相当に高いと認定し、算定にあたって中間利息を控除せず、義足等交換費用として、合計1919万9200円を認めました。
(交通事故民事裁判例集38巻4号899頁)
この裁判例は、被害者側が義足の交換について、予測される将来の諸事情を丁寧に主張、立証したことが有利な結果につながったものと思われます。
下肢の欠損障害では、自宅をバリアフリー化するためなどの自宅改造が必要となる場合もあり、自宅改造費も必要かつ相当な範囲で損害賠償として請求できます。
自動車の改造費用や賃貸物件の転居による家賃差額なども同様です。
横浜地裁平成23年5月27日
右下肢欠損(4級5号)、高次脳機能障害(7級4号)で併合2級の被害者(女性・症状固定時27歳)につき、実家で生活するための自宅改造が必要であり、その自宅は一階が仕事場で、二階が住居であるため、被害者の部屋を2階に置くことも合理的であると認めて、エレベーター設置工事など1660万円の家屋改造費の請求を認めました。
(交通事故民事裁判例集44巻3号645頁)
この裁判例でも、足の不自由な被害者の居室をわざわざ2階に置き、そのためのエレベーター設置費用を請求することの必要性が問題でしたが、被害者家族の自宅での生活状況などを細かく主張、立証したことが高額な改造費用の認定につながったと思われます。
下肢の欠損障害で障害の程度に応じた等級認定を得ることは、比較的困難は少ないと言えます。
後遺障害慰謝料、逸失利益、義足等の交換費用、自宅の改造費用など、多くの場面で保険会社は被害者の言い分を認めません。
保険会社と戦い、適正な賠償金を受け取るためには、被害の実情を細かく丁寧に裁判所に伝え、証拠によって裁判官を説得する活動が必要です。
弁護士に依頼するかどうかで、交通事故事件の賠償額が大きく左右される可能性があるのは、このためです。
片足もしくは両足切断の後遺障害問題は、弁護士にご相談されることをお勧めします。