後遺障害4級の慰謝料相場と増額方法をわかりやすく解説

後遺障害4級の後遺障害慰謝料の相場は、自賠責基準で737万円、弁護士・裁判基準で1670万円です。

ただし、これはあくまでも目安なので、これよりも高額になる可能性もあります。

では、被害者は適正な慰謝料を算定し請求するためにはどうすればいいでしょうか?また、後遺障害4級の認定を受けるために何をすべきでしょうか?

今回は、後遺障害4級が認定されるケースはどういうケースか、また4級の損害賠償(慰謝料、逸失利益)の金額相場、慰謝料の増額のためにすべきこと等についてご説明します。

自賠責の後遺障害等級4級の認定基準・慰謝料相場

自賠責の後遺障害4級の認定基準と後遺障害慰謝料相場は以下の通りです。

等級症状
4級1号両眼の視力が0.06以下になったもの
4級2号咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
4級3号両耳の聴力を全く失ったもの
4級4号1上肢をひじ関節以上で失ったもの
4級5号1下肢をひざ関節以上で失ったもの
4級6号両手の手指の全部の用を廃したもの
4級7号両足をリスフラン関節以上で失ったもの
4級の後遺障害慰謝料の相場
自賠責基準任意保険基準(※)弁護士・裁判基準
737万円程度800万円程度1670万円程度

表をご覧いただくとお分かりの通り、自賠責基準と弁護士・裁判基準とでは、その差が2倍以上、1000万円近くも開いています。

慰謝料の3つの計算基準

上記の通り、慰謝料の計算方法には、自賠責基準と任意保険基準と弁護士・裁判基準の3つがあり、自賠責基準から順に高額になっていきます。

弁護士・裁判基準とは、実際の裁判でも使用される最終的に賠償額決定の権限を有する裁判所が用いている基準です。

このように説明するとお分かりいただけると思いますが、後遺障害慰謝料は、弁護士・裁判基準を用いて計算すべきなのです。

弁護士・裁判基準を用いずに計算することは、自ら適切な慰謝料を諦めていることに他なりません。

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※任意保険基準については、一般に公開されていないので、旧任意保険の統一支払基準を参考に記載しています。

後遺障害4級(併合)の慰謝料増額の裁判例

実際の後遺障害等級4級の慰謝料について、裁判の場合どこまで認められるのでしょうか?その疑問に答えるために、裁判例を2つばかり取り上げたいと思います。

裁判例1

仙台地裁平成19年2月9日判決

被害者は主婦(事故時34歳)。胸骨骨折、心房破裂、小腸破裂、右腎臓損傷、胸椎骨折などの重傷を負いました。

自賠責保険では、心房縫合、小腸縫合、腸閉塞などによる胸腹部臓器の著しい機能障害(5級3号)、胸椎骨折による背骨の変形(11級7号)から「併合4級」に認定されました。

被害者には、喉から下腹部にかけて瘢痕(傷跡)が残っていましたが、自賠責保険では、後遺障害等級における醜状障害の対象ではないとされました。しかし、

  • 喉もとには外部からハッキリ見える瘢痕があり、これを隠すには、襟元の詰まった衣服等によるしかない
  • 胸から下腹部の傷は、V字形状に窪んでえぐれ、でこぼこしており、通常の感受性をもつ女性が体を見るたびに精神的苦痛を感じずにはいられない痛ましい状態
  • この瘢痕は、顔の醜状痕跡に準じるものとして、慰謝料算定において斟酌されるべき

このように指摘して、入通院慰謝料440万円に加えて、後遺障害慰謝料1800万円を認めました。

参考文献:自保ジャーナル1740号19頁

裁判例2

福岡高裁那覇支部平成23年11月8日判決

被害者は女子医学生(症状固定時34歳)。

被害者が右足で原付バイクを支えながら停車して右折待機をしていたところ、後方から来た加害者の大型バイクが被害者の右足に衝突した事故です。

右下腿切断、右肩関節機能障害などで自賠責保険により「併合4級」に認定されました。

裁判所は、

  • 2年間もの長期入院と数回の手術を余儀なくされた
  • 幻肢痛に苦しんだ
  • 約8年間も医学部を休学し、学業と将来の医師資格取得に多大な影響を受けた
  • 加害者が責任回避のため、事実に反する不合理な事故態様を主張したこと(加害者の大型バイクが停車中の被害者の右足に接触したことは明らかなのに、被害者が駐車車両の陰から飛び出して道路を横切ろうとしたなどと主張)

などの諸事情を考慮して、入通院慰謝料410万円に加え、後遺障害慰謝料2000万円を認めました。

参考文献:自保ジャーナル1884号75頁

以上2つの裁判例は、弁護士・裁判基準の慰謝料相場である1670万円を超えていることが分かります。

このように本来、後遺障害慰謝料は、事故態様などを基に判断されるので、支払われる額が事故により異なります。

裁判所が認める後遺障害慰謝料は、被害者の性別、年齢、職業や生活状況など後遺障害の内容を含めあらゆる事情を勘案して判断するので、相場を超える慰謝料が認められることがあります。

後遺障害4級の逸失利益の計算例

次に、後遺障害が認定された場合に請求できる大切な損害賠償の項目の一つである「逸失利益」の計算方法を解説します。

後遺障害逸失利益は、後遺障害がなければ得られたであろう将来の収入です。

逸失利益は、下記の計算式で求めることが可能です。

年収額 × 労働能力喪失率 × 被害者の年齢に応じたライプニッツ係数*

*「被害者の年齢に応じたライプニッツ係数」は、参考外部サイト:国土交通省「就労可能年数とライプニッツ係数表」でご確認ください。

なお、後遺障害4級の労働能力喪失率は「92%」です。実際にこの計算式を使って次の事例の逸失利益を計算してみましょう。

4級6号の逸失利益の計算事例

事例

被害者の年齢・性別:28歳女性
被害者の年収:370万円
被害者の後遺障害等級:4級6号

370万円(年収)×92%(労働能力喪失率)×22.808(年齢28歳のライプニッツ係数※)=77,638,432

※ 2020年3月31日以前に発生した事故の場合は、ライプニッツ係数を17.017で計算

計算式に当てはめると、この被害者は、逸失利益として約7700万円を受け取ることができることになります。

なお、逸失利益と慰謝料の自動計算ツールも併せてご活用ください。

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後遺障害4級認定のためにすべきこと

適正な慰謝料を受け取るためには、適正な等級の認定を受けることが必須です。

被害者請求をする

後遺障害の等級認定の請求手続きには、事前認定と被害者請求があります。

事前認定は相手の保険会社に請求をお任せしてしまう方法です。一方、被害者請求は、被害者自身が行う分、手続きが煩雑ですが、自分で提出するので内容についても精査することができます。

こういった理由から後遺障害等級認定の請求は、被害者請求がお勧めです。

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後遺障害診断書は書面審査の要

また、後遺障害診断書も大切です。

なぜなら、後遺障害の審査は、すべて書面審査であり後遺障害診断書はその判断に大きな影響を与えるものです。

被害者請求についても後遺障害診断書についても弁護士に依頼すれば、適切なアドバイスを受けることができます。

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異議申し立て・裁判は弁護士依頼が重要

弁護士に相談、依頼することをお勧めする理由は他にもあります。具体的には、下記の通り、異議申し立てや裁判手続きの対応などです。

また、先述した弁護士・裁判基準での示談交渉は、被害者個人では難しいと言わざるを得ません。

弁護士に依頼すれば、保険会社との示談交渉で、弁護士・裁判基準を主張して慰謝料の増額を期待することができます。

そのためにも、後遺障害認定等級認定に強く、医学知識が豊富な弁護士を選ぶことこそが大切です。

まとめ

今回は、後遺障害4級の認定を受けられるケースや、4級の場合に請求できる慰謝料などの損害賠償金額などについて解説しました。

後遺障害4級が認定されるのは、相当重度な症状が残っているケースで、労働能力喪失率は92%にも及びます。

4級の認定を受けた場合になるべく高額な賠償金を請求するためには、交通事故に強い弁護士に示談交渉手続きを依頼することが重要です。

また、後遺障害認定を被害者請求でする場合も、交通事故の専門的な知識を持った弁護士のアドバイスが生きることでしょう。

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