交通事故の慰謝料を弁護士基準表で自分で計算!弁護士基準にするには
弁護士基準について解説します。日額いくらか、通院日数との関係、自分で弁護士基準にできるか?を後遺障害14級慰謝料、追…[続きを読む]
後遺障害4級には1号から7号までの種類があり、その中には下肢欠損などの状況も含まれます。
後遺障害4級の慰謝料の金額相場は、自賠責保険では737万円、弁護士や裁判の基準では1670万円とされていますが、これは一般的な目安であり、実際の金額はそれ以上になる場合もあります。
被害者が公正な慰謝料を計算し請求するためには、交通事故に関する専門知識を持つ弁護士に相談し、弁護士基準や裁判基準に基づいて交渉することが肝要です。
また、後遺障害4級の認定を受けるためには、適切な資料を提供し、正確な手続きを進める必要があります。
この記事では、後遺障害4級1号から7号のケースや損害賠償金の一般的な金額、慰謝料増額のための手続きについて詳しく説明しました。
目次
自賠責保険の後遺障害4級1号~7号の認定基準と後遺障害慰謝料相場は以下の通りです。先述のとおり、下肢欠損などの際の後遺障害4級5号などがあります。
等級 | 症状 |
---|---|
4級1号 | 両眼の視力が0.06以下になったもの |
4級2号 | 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの |
4級3号 | 両耳の聴力を全く失ったもの |
4級4号 | 1上肢をひじ関節以上で失ったもの |
4級5号 | 1下肢をひざ関節以上で失ったもの |
4級6号 | 両手の手指の全部の用を廃したもの |
4級7号 | 両足をリスフラン関節以上で失ったもの |
4級の後遺障害慰謝料の金額相場 | ||
---|---|---|
自賠責基準 | 任意保険基準(※) | 弁護士・裁判基準 |
737万円程度 | 800万円程度 | 1670万円程度 |
表をご覧いただくとお分かりの通り、自賠責基準と弁護士・裁判基準とでは、その金額差が2倍以上、1000万円近くも開いています。
上記の通り、慰謝料の計算方法には、自賠責基準と任意保険基準と弁護士・裁判基準の3つがあり、自賠責基準から順に高額になっていきます。
弁護士・裁判基準とは、実際の裁判でも使用される最終的に賠償額決定の権限を有する裁判所が用いている基準です。
このように説明するとお分かりいただけると思いますが、後遺障害慰謝料は、弁護士・裁判基準を用いて計算すべきなのです。
弁護士・裁判基準を用いずに計算することは、自ら適切な慰謝料を諦めていることに他なりません。
※任意保険基準は、一般に公開されていません。ここでは、旧任意保険の統一支払基準を記載。
実際の後遺障害等級4級の慰謝料について、裁判の場合どこまで認められるのでしょうか?その疑問に答えるために、裁判例を2つばかり取り上げたいと思います。下の例は「併合」の場合ですが、この場合はランクが繰り上げられます。詳しくは、後遺障害の併合の記事をご参考ください。
裁判例1
仙台地裁平成19年2月9日判決
被害者は主婦(事故時34歳)。胸骨骨折、心房破裂、小腸破裂、右腎臓損傷、胸椎骨折などの重傷を負いました。
自賠責保険では、心房縫合、小腸縫合、腸閉塞などによる胸腹部臓器の著しい機能障害(5級3号)、胸椎骨折による背骨の変形(11級7号)から「併合4級」に認定されました。
被害者には、喉から下腹部にかけて瘢痕(傷跡)が残っていましたが、自賠責保険では、後遺障害等級における醜状障害の対象ではないとされました。しかし、
このように指摘して、入通院慰謝料440万円に加えて、後遺障害慰謝料1800万円を認めました。
参考文献:自保ジャーナル1740号19頁
裁判例2
福岡高裁那覇支部平成23年11月8日判決
被害者は女子医学生(症状固定時34歳)。
被害者が右足で原付バイクを支えながら停車して右折待機をしていたところ、後方から来た加害者の大型バイクが被害者の右足に衝突した事故です。
右下腿切断、右肩関節機能障害などで自賠責保険により「併合4級」に認定されました。
裁判所は、
などの諸事情を考慮して、入通院慰謝料410万円に加え、後遺障害慰謝料2000万円を認めました。
参考文献:自保ジャーナル1884号75頁
以上2つの裁判例は、弁護士・裁判基準の慰謝料相場である1670万円を超えていることが分かります。
このように本来、後遺障害慰謝料は、事故態様などを基に判断されるので、支払われる額が事故により異なります。
裁判所が認める後遺障害慰謝料は、被害者の性別、年齢、職業や生活状況など後遺障害の内容を含めあらゆる事情を勘案して判断するので、相場を超える慰謝料が認められることがあります。
次に、後遺障害が認定された場合に請求できる大切な損害賠償の項目の一つである「逸失利益」の計算方法を解説します。
後遺障害逸失利益は、後遺障害がなければ得られたであろう将来の収入です。
逸失利益は、下記の計算式で求めることが可能です。
*「被害者の年齢に応じたライプニッツ係数」は、参考外部サイト:国土交通省「就労可能年数とライプニッツ係数表」でご確認ください。
なお、後遺障害4級の労働能力喪失率は「92%」です。実際にこの計算式を使って次の事例の逸失利益を計算してみましょう。
事例
被害者の年齢・性別:28歳女性
被害者の年収:370万円
被害者の後遺障害等級:4級6号
370万円(年収)×92%(労働能力喪失率)×22.808(年齢28歳のライプニッツ係数※)=77,638,432円
※ 2020年3月31日以前に発生した事故の場合は、ライプニッツ係数を17.017で計算
計算式に当てはめると、この被害者は、逸失利益として約7700万円を受け取ることができることになります。
なお、逸失利益と慰謝料の自動計算ツールも併せてご活用ください。
適正な慰謝料を受け取るためには、適正な等級の認定を受けることが必須です。
後遺障害の等級認定の請求手続きには、事前認定と被害者請求があります。
事前認定は相手の保険会社に請求をお任せしてしまう方法です。一方、被害者請求は、被害者自身が行う分、手続きが煩雑ですが、自分で提出するので内容についても精査することができます。
こういった理由から後遺障害等級認定の請求は、被害者請求がお勧めです。
また、後遺障害診断書も大切です。
なぜなら、後遺障害の審査は、すべて書面審査であり後遺障害診断書はその判断に大きな影響を与えるものです。
被害者請求についても後遺障害診断書についても弁護士に依頼すれば、適切なアドバイスを受けることができます。
弁護士に相談、依頼することをお勧めする理由は他にもあります。具体的には、下記の通り、異議申し立てや裁判手続きの対応などです。
また、先述した弁護士・裁判基準での示談交渉は、被害者個人では難しいと言わざるを得ません。
弁護士に依頼すれば、保険会社との示談交渉で、弁護士・裁判基準を主張して慰謝料の増額を期待することができます。
そのためにも、後遺障害認定等級認定に強く、医学知識が豊富な弁護士を選ぶことこそが大切です。
後遺障害4級の後遺障害慰謝料の金額相場は、自賠責保険の基準で737万円、弁護士・裁判基準で1670万円です。
後遺障害等級4級が認定されたら、「後遺症部分の損害」を相手方に請求できます。
後遺障害等級3級の自賠責基準で737万円であり、被害者請求により先取りできます。 そして、不足している損害額を相手方に請求することになります。
この記事では、後遺障害4級1号~7号の認定条件や、下肢欠損の後遺障害4級5号など、後遺障害4級に関連する損害賠償金について詳しく解説しました。
後遺障害4級の認定は、極めて重篤な症状が残るケースであり、労働能力喪失率が最大で92%に達することがあります。
4級の認定を受けた場合、できるだけ高額な賠償金を請求するためには、交通事故に詳しい弁護士に示談交渉手続きを依頼することが不可欠です。
被害者側から後遺障害認定を行う場合でも、交通事故に関する専門知識を持つ弁護士のアドバイスが大変有益です。