後遺障害の逸失利益の計算式(ライプニッツ係数・労働能力喪失率)

逸失利益計算式

交通事故の損害賠償といえば、「慰謝料」というイメージを持っている方が多いのではないでしょうか?実際に、保険会社から低額な慰謝料を提示されトラブルになることは多いです。しかし慰謝料以外にも交通事故でもらえるお金はないのか?という素朴な疑問もでてきます。

実は、後遺障害が残った場合、「逸失利益」と呼ばれる損害賠償金を請求することができます。今回は、交通事故と後遺障害の逸失利益、また自動計算機やシュミレーションの計算だけでは金額を求めるには難しいケースなどについて詳しく解説いたします。

逸失利益とは?

交通事故によって怪我を負った場合、いくら治療を続けても一定の症状が完治せずに残る事があります。これを後遺症といい、後遺障害認定を受ける事で「後遺障害」となります。

後遺障害に認定されると、先程も申しましたとおり、後遺障害慰謝料のほかにもう一つ加害者に請求できる項目が増えます。

それは「逸失利益」です。

交通事故によって重い障害が体に残ると、交通事故前と同じように仕事をする事が困難になります。

たとえ仕事ができたとしても、同じパフォーマンスは発揮することは難しくなります。

そこで、交通事故の損害賠償請求において

「症状固定から労働可能年齢とされている67歳」までの期間について、本来得られたはずの利益(=逸失利益)

を「損害」として考えて請求するのです。

交通事故逸失利益の計算方法

それでは、実際に逸失利益を計算する際の考え方について解説して参ります。

ステップ1:カテゴリ分けをする

逸失利益は、次の2つのうちどちらに当てはまるかによって、計算方法が変わります。

  • タイプ1:症状固定時に、18歳以上の有職者又は就労可能者
  • タイプ2:症状固定時に、18歳未満の未就労者

つまり簡単に言うと、幼児・子供・小学生といった18歳未満の未成年と、18歳以上の大人では、少しだけ計算方法が変わるということです。

ちなみに、「症状固定」とは交通事故後に治療を継続してもそれ以上症状が改善しなくなった状態のことを言います。

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ステップ2:公式に当てはめて損害賠償を計算する

続いて、実際の逸失利益の公式を確認致します。

【タイプ1の場合】
基礎収入額×労働能力喪失率×ライプニッツ係数=逸失利益

【タイプ2の場合】
賃金センサスの男女別全年齢平均賃金の額×労働能力喪失率×(67歳までのライプニッツ係数−18歳に達するまでのライプニッツ係数)=逸失利益

以上の2つが公式ですが、見慣れない言葉が多いと思いますので、それぞれについて以下で簡単に解説致します。

賃金センサスとは

逸失利益の計算をする際に「賃金センサス」という言葉がよく出てきます。賃金センサスは厚生省が実施している統計調査の1つです。

また「賃金センサスによる平均賃金」とは、簡単に言うと労働者の年齢別の平均賃金のことです。

専業主婦や、子供など基礎収入が不明な場合に、この平均賃金を使って計算します。

基礎収入とは

「基礎収入って、年収のことでしょ?」と考えがちですが、年収の手取りではありません。

基礎収入は、あくまで税金などを控除する前の金額であって、なおかつ手当やボーナス(賞与)なども含む年収のことです。

通常は、前年度の源泉徴収票を確認して手続きをすすめていくことが多いです。

自営業者の場合

自営業者の基礎収入としては、前年度の確定申告書に記載がある所得額がベースになります。

仮に多くの収入があったとしても、その収入を公に証明することができない場合は、専業主婦同様に、賃金センサスを参考にして計算致します。

学生、無職、専業主婦、高齢者、年金受給者、もともと障害がある方の場合

無職や高齢者、年金受給者、障害があって働けない方などは、逸失利益が請求できない場合があります。

しかし個別の事情によって請求できる可能性もありますので、後遺障害認定の相談とともに、交通事故に強い弁護士に相談してみることが良いでしょう。

また職業別の逸失利益については、下記のページも詳しいので後ほど御覧ください。

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労働能力喪失率

労働能力喪失率とは、言葉どおりですが、交通事故によって、どの程度、労働能力が失われてしまったのかをパーセンテージで示したものです。

たとえば、後遺障害等級14級の場合は労働能力喪失率は5%、また12級に認定された場合は14%となります。

下記で、表を掲載しておりますので、後ほどご確認ください。

ライプニッツ係数と就労可能年数・労働能力喪失期間の表

次に、上記の公式で出てきた「ライプニッツ係数」について解説致します。

下記では、ライプニッツ係数表と就労可能年数(逆に言えば労働能力喪失期間)の関係について表で表しました。一つずつ確認していきましょう。

症状固定時に18歳未満の未就労者に適応する表

年齢幼児・児童・生徒・学生・右欄以外の働く意思と能力を有する者有職者
就労可能年数係数就労可能年数係数
0497.5496719.24
1497.9276619.2
2498.3236519.16
3498.7396419.12
4499.1766319.08
5499.6356219.03
64910.126118.98
74910.626018.93
84911.155918.88
94911.715818.82
104912.35718.76
114912.915618.7
124913.565518.63
134914.245418.57
144914.955318.49
154915.75218.42
164916.485118.34
174917.35018.26

※有職者ではない場合の、就労可能年数が49で固定されていますが、これは幼児・子供・未成年などの場合、18歳~67歳までの49年間を一括で就労可能年数(または、労働能力喪失期間)としているためです。

症状固定時に18歳以上の有職者又は就労可能者に適応する表

続けて、18歳以上の場合を以下の表にして示します。

下記表の注意すべき点としては、就労可能年数が55歳までは、67-年齢で計算できますが、55歳以上の場合は、その公式が役に立ちません。

高齢者については平均余命を使って計算しますが、またこれについては別途記事で解説したいと思います。

年齢年数係数年齢年数係数
184918.17392814.9
194818.08402714.64
204717.98412614.38
214617.88422514.09
224517.77432413.8
234417.66442313.49
244317.55452213.16
254217.42462112.82
264117.29472012.46
274017.16481912.09
283917.02491811.69
293816.87501711.27
303716.71511610.84
313616.55521510.38
323516.3753149.899
333416.1954149.899
34331655149.899
353215.856139.394
363115.5957139.394
373015.3758128.863
382915.1459128.863
年齢年数係数年齢年数係数
60128.8638143.546
61118.3068243.546
62118.3068343.546
63107.7228443.546
64107.7228532.723
65107.7228632.723
6697.1088732.723
6797.1088832.723
6886.4638932.723
6986.4639032.723
7086.4639121.859
7175.7869221.859
7275.7869321.859
7375.7869421.859
7465.0769521.859
7565.0769621.859
7665.0769721.859
7754.3299821.859
7854.3299921.859
7954.32910021.859
8054.32910110.952

労働能力喪失率の算定

3つ目は、労働能力喪失率についてです。こちらは後遺障害の等級1~14級まで、それぞれ定められており、比較的簡単に判断することができます。

障 害 等 級労働能力喪失率
第1級100%
第2級100%
第3級100%
第4級92%
第5級79%
第6級67%
第7級56%
第8級45%
第9級35%
第10級27%
第11級20%
第12級14%
第13級9%
第14級5%

それでは、実際に逸失利益の具体的な計算をしてみましょう。

事例:後遺障害14級の「逸失利益」を自動計算

年収:500万円 後遺障害第14級(むち打ち症状)
【35歳会社員男性の場合】

例えば上記のようなケースがあったとします。

この場合、後遺障害第14級という等級から、労働能力喪失率が5%と判断することができます

また、ライプニッツ係数を求めるために、必要となる労働能力喪失期間は「67歳−35歳=32年間」となります。

そしてその32年という数字を上記のライプニッツ係数現価表に照らし合わせると「15.8027」となります。

ここまでわかれば、あとは公式に当てはめて計算するだけです。もう一度繰り返すと、以下の公式となります。

「基礎収入額×労働能力喪失率×ライプニッツ係数=逸失利益」

500万円×5%×15.8027=3,950,675円

つまり上記のケースの場合、約395万円の逸失利益を獲得することとなります。

逸失利益の計算におけるポイントについて

その1:基礎収入について

基礎収入については原則的には事故前の前年の収入をベースに計算されますが、例えば

・「交通事故の直前に転職先が決まっていて、収入が大幅に増額する予定だった」

などの事情が立証できれば、その予定されていた収入をベースに基礎収入を算定できる場合もあります。

このあたりは交通事故に強い弁護士のサポートが必須となるでしょう。

その2:労働能力喪失率

上記では「労働能力喪失率は簡単に求めれる」というような風に表現しましたが、実際のところは例外も多々発生します。

たとえば、被害者の職業や年齢、性別、交通事故後の稼働状況などを、総合的に考慮して多少の修正がされる場合があります。

会社役員や株式トレーダー、大家さんなどで、むち打ち程度の後遺障害の場合は、将来的にそれが原因で収入が減少する可能性が少ないと判断される可能性があります。つまり自動計算機や簡単なシュミレーションでは、金額を求めるには限界があるということです。

特に後遺障害14級や12級のような神経症状の場合は、交通事故に強い弁護士に相談しつつ、慎重にすすめていく必要があります。

その3:労働能力喪失期間

これについては労働可能な期間は67歳までとされていますが、これも被害者の職業によって変わる可能性があります。

例えば、被害者が女性でホステスなどの水商売だった場合、67歳まで若い頃と同じ収入をベースに計算するのは不公平と考えられます。

このような場合は加害者側からの主張によって労働能力喪失率に修正が入る可能性があります。

判例では、労働能力喪失率はこのように変わる

交通事故でひたいに大きな傷を負った22歳のホステスが、後遺障害第7級12号に認定されて逸失利益を争った裁判において、通常であれば56%の逸失利益が67歳まで認められるはずのところ、「交通事故がなければ35歳までホステスとして稼働するであろう」との判断がなされました。
これにより、当初の13年間は56%の労働能力喪失率が認められましたが、以降の67歳までの期間については諸般の事情を考慮して25%の労働能力喪失率を認定し、女子の平均賃金をもとに算出することとしました。
(名古屋地裁平成21年8月28日)

上記のように、職業の特殊性なども考慮して労働能力喪失率が認定されるため、必ずしも労働能力喪失表通りになるとは限りません。

実際のところ、後遺障害とそれがその人の仕事に与える影響は多種多様であり、労働能力喪失表通りに算出すると、現実とかなりかけ離れてしまう場合もあります。

このような場合は、自動計算機やシュミレーションで納得するよりも、必ずその旨を交通事故に強い弁護士に相談し、別途加害者に対してその旨を主張するようにしましょう。

特に後遺障害14級(むち打ち・ヘルニア)などは逸失利益で争いが起こりやすいです。下記のページも合わせてご参考ください。

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