玉突き事故の責任、過失割合はどのくらい?真ん中の車が停車してると?
この記事は、玉突き事故の過失割合の考え方や真ん中の車の責任、後遺障害、物損時・人身時の損害賠償金(慰謝料)の請求など…[続きを読む]
雪道で路面が滑りやすくなった時にスリップ して追突事故が起きた場合、誰が責任を持つのでしょうか。
追突した方が責任を持つのでしょうか。それとも、滑った結果追突された方に責任があるのでしょうか?
この記事では、雪道でスリップしたらどうなるか、スリップ する滑りやすい雪道や追突事故の際の、追突者と被追突者の責任の比重や、ノーマルタイヤに関する問題点について詳しく説明します。
特に1月や2月は、寒波が到来し、日本海側を中心に激しい雪や吹雪の影響で交通が大混乱することがあるので、十分な注意が求められます。
目次
前方を走行する車が、雨や雪によってスリップしたことにより異常な挙動を生じ、その結果追突事故が発生するケースがあります。
「追突事故」の場合もまず考えましょう。
そもそも雪道であっても、そうでなくても、追突した側の過失が10割、追突された側の過失は0割(なし)となります。
なぜなら、前方を走る車には、車線変更を行う場合等を除いて、後方の車の動きに注意する義務はないからです。
上記の理由から、追突事故のケースにおいて、追突した側とされた側の過失割合は「10対0」が原則となっているのです。
しかし、前方の車が雨や雪でスリップした場合、後方の車としては「スリップを予測することは不可能なので、自分に責任はない」と思いたくなるかもしれません。
雨や雪によるスリップ事故において、追突した側とされた側の過失割合がどのように判定されるのか、交通事故の損害賠償実務における取り扱いを以下に解説します。
雨や雪を原因とするスリップにより、前方の車が異常な挙動を示した場合、追突した側の過失割合が軽減されるようなイメージを持つ方が多いかもしれません。
しかし、交通事故の損害賠償実務においては、雨や雪でスリップをしたことそのものが、直接過失割合に影響することはないとされています。
スリップした側に必ずしも過失があるとは限りませんし、追突した側としても、十分な車間距離を保持して前方を注視していれば、追突を回避することはできるからです。
したがって、雨や雪によって前方の車がスリップした場合でも、追突した側とされた側の基本過失割合は、通常の追突事故と同様に「10対0」です。
ただし、交通事故の具体的な状況によっては、スリップして追突された側にも過失が認められる場合があります。
雨や雪によるスリップ事故のケースにおいて、追突された側にも過失が発生するケースの例は、以下のとおりです。
車の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、急ブレーキをかけて車を急停止させたり、急激に減速させたりすることを禁止されています(道路交通法24条)。
急ブレーキは、後方の車から見て予期せぬ挙動を生じさせ、追突事故のリスクを増大させる行為だからです。
急ブレーキをかけた結果、雨や雪でスリップして後方の車に追突された場合、追突された側(スリップした側)にも過失が認められます。
この場合、追突した側とされた側の過失割合は「7対3」または「8対2」程度になるケースが多いです。
雪道では、スリップ防止の観点から、スタッドレスタイヤを装着したり、タイヤにチェーンを巻いたりすることが推奨されます。
これに対して、雪道にもかかわらずノーマルタイヤを装着して車を走行させている場合、雪道走行の対策を怠っていると評価される可能性があります。
もしノーマルタイヤで走行中の車が、雪道でスリップした結果として追突された場合、スリップした側にも過失が認められることがあるので注意が必要です。
雨や雪で道路が滑りやすくなっている場合、スリップを防止するため、普段よりも慎重な運転が要求されます。
このような状況で、法定速度を大幅に超過する高速度で運転した結果、スリップを引き起こして後続車に追突された場合、スリップした側にも過失があると言わざるを得ないでしょう。
速度超過の程度が甚だしいほど、スリップした側の過失は大きくなります。
特に、時速30km以上の速度超過が認められる場合には、2割以上の大きな過失割合が認定される可能性があるので要注意です。
スリップを原因とする追突事故が発生すると、前後の車を巻き込んだ事故に発展する可能性があります。
3台以上の車が関係する追突事故のケースでは、関係するすべての車の間で過失割合を計算し、損害の分担を決定します。
具体的に、どのように過失割合が決定されるのかを見てみましょう。
最後方車が前の車に追突し、その結果として前の車が押し出され、さらにその前の車に追突する事故を「玉突き事故」と言います。
玉突き事故の場合、最後方車に10割の過失が認められ、それ以外の車の過失は0割(なし)となるのが原則です。
ただし前述のとおり、追突が急ブレーキに起因する場合や、前方車の過失によるスリップに起因する場合には、上記の過失割合が修正されることもある点に留意しましょう。
玉突き事故以外にも、たとえば車列の半ばを走行中の車が前の車に追突した後、減速したところを後方車に追突されるようなケースも想定されます。
玉突き事故以外の3台以上の車が関係する追突事故の場合には、事故のきっかけを誰が作ったのか、どのような行為に起因して事故が発生したのかがケースバイケースで異なります。
そのため、事故の状況を客観的に観察して、各運転者の注意義務違反の有無・程度を分析し、個別具体的に過失割合を決定することになります。
追突事故の原因が、雨や雪で前方車がスリップしたことにある場合でも、追突した側・された側の過失割合は「10対0」となるのが原則です。
スリップしたこと自体は過失割合に影響を与えませんが、スリップについて追突された側(スリップした側)に過失がある場合には、「9対1」「8対2」などと過失割合が修正される可能性があります。
交通事故の相手方に対して、適正な損害賠償を請求するには、損害額を漏れのないように見積もるとともに、過失割合を適切に計算・主張することが大切です。
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交通事故の被害を受け、損害賠償請求をご検討中の方は、ぜひお早めに弁護士までご相談ください。