車のイタズラ(落書き・傷・パンク)の罪|犯人特定と有効な4つの防犯対策

  • 大切な愛車にイタズラをされた経験あり!
  • 車を傷つけられたけど犯人がわかった、なんてことあるの?

上記のように、車のボディに故意に傷をつけられたり、タイヤをパンクさせられたりなど、車に対する悪質なイタズラにはさまざまなケースでお悩みの方が多いことでしょう。

他にも、車に対するイタズラ行為にはさまざまなものがあります。

今回は、これら車に対するイタズラ行為の法的見解と対処法、犯人特定するにはどうするか、犯人がわかったらどんな罪となるのか、警察は動くのか捜査しないのかについて解説したいと思います。

車を傷つけられた!車のイタズラ行為の種類事例

車を傷つけられる主な車のイタズラ行為の種類としては以下のような事例があります。犯人特定できないとイライラしてしまうものばかりと言えます。

  • ボディの表面にキーやナイフ、石、コイン、金属などで車に傷をつけられた
  • 車のウインドウ・ガラスが割られた
  • タイヤに釘が刺さってパンクさせられた
  • 飛び跳ねる、車に乗る、または蹴る
  • 車に泥などを塗られた
  • 車のエンブレムやパーツを盗む
  • 車にスプレー、ペンキやマジックで落書きされた

これらの行為は犯罪行為であり、法的な問題や所有者に経済的な損害を与える可能性があります。他人の財産を尊重し、良識を持って行動することが重要です。

車のイタズラの罪!パンクさせたらどうなる?

刑事責任|犯人が捕まえられたら

やはり、車を傷つけられた場合、その後、犯人がわかったというケースもあります。

このような場合、例えば、タイヤに釘をさしパンクさせたりする車に対するイタズラ行為をした場合、刑法261条器物損壊罪に該当する可能性があり、警察が動いて犯人がわかったあとに逮捕された場合、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処される可能性があります。

ちなみに、器物損壊罪は「親告罪」のため、車の持ち主から警察に告訴がなければ公訴を提起することはできません。

さらに、親告罪は原則として犯人を知った時から「6ヶ月」経過後は告訴することができないため、もしもイタズラの被害にあって犯人の処罰を望むのであれば、この期間内に告訴し、犯人特定をする必要があります。

民事責任|傷をつけられたら賠償請求

当然のことながら、上記の刑事責任の他に、加害者は被害者に対して直接損害賠償義務を負います。すなわち、タイヤに釘をさしパンクさせたりする車にイタズラをしたことによって、その後犯人がわかったら、そして所有者が被った損害があるなら、賠請請求という流れとなります。

ちなみに、この場合は交通事故ではないため、加害者側が自動車保険に加入していてもその保険は全くもって使えません。

使えるとすれば、被害者側の車両保険ですが、車両保険を使うと保険料が値上がりするため、被害者としては納得できないでしょう。

車のイタズラは捕まらない?

車を傷つけられたのに犯人がわからず、損害賠償請求できないというケースはあるのでしょうか。

そもそも、損害賠償請求をするためには、イタズラの犯人特定されていることが大前提ですが、結論としては、イタズラの犯人の「検挙率は非常に低く」、捕まらないのが現状です。

平成23年のデータになりますが、警視庁の統計によると器物損壊罪の検挙率は、なんと7.4%とその他の一般刑法犯に比べ非常に低い数字となっています。

そして、器物損壊罪のうち60.4%が車両に対するもので、被害対象としてはもっとも多い数値となっています。

車に傷をつけられた!イタズラに対する有効な4つの防止対策

ですから、車のイタズラに対しては、車両保険で最悪のケースの保険をかけつつ、捕まらないことも予測をしつつ、事前対策としてイタズラの発生抑制に全力を注ぐことを考えなければなりません。

防止1:防犯カメラの設置・ドライブレコーダーの設置で犯人特定

車のイタズラの場合は、現場に鑑識が来て指紋を採取するようなことはまずありません。警察に通報したとしても、やることとしては近くにある防犯カメラ映像の確認程度です。

まれにドライブレコーダーにうつっている可能性もあります。

ただ、防犯カメラ映像もなく、ドライブレコーダーもなく、かつ、付近の目撃情報もなければ「手がかりはゼロ」となり、犯人が見つかる可能性は極めて低いという事になります。

そのため、このような車のイタズラ行為に対しては、事前に車の保管場所を監視する防犯カメラを設置しておいて、防止する必要があります。また、犯行は夜間行なわれる可能性が高いため、夜でも犯人の顔が識別できる程度の感度のカメラでなければなりません。

5年ほどの前の監視カメラだと、人影はうつっても顔が判別できないケースが多いので防止しづらい面はあります。

これらの防犯カメラ映像は、後の捜査で犯人と思われる人物が浮上したときに、顔を照合する決定的な証拠となる可能性がありますのでとても重要です。

逆に、こう言った証拠が無い場合は、犯人と思われる人物が浮上したとしても決め手がないため、本人が自白しない限りは、結局特定ができない(言い逃れできてしまう)ということになります。

防止2:センサー付のライトを設置し、タイヤに釘をささせないようにする

イタズラは夜間に行なわれることが多いため、夜間人が近づいた際に自動で点灯するライトを設置してイタズラ防止しましょう。

人が近寄った際に明るくなれば、防犯カメラにも鮮明に映像が残りますし、何より犯人が驚いてタイヤに釘をさしたり、落書きをしないように、犯行を躊躇する可能性があります。

防止3:カーセキュリティーを設置

市販のカーセキュリティーの設置も検討しつつ、イタズラ防止をしましょう。

人が近寄った際に警報が鳴るものなどを設置することで、犯人から車を守ることができます。

防止4:車体カバーを取り付ける

防水ナイロン材料でできているカーカバーは、愛車の損傷を有効に防ぎ、雪、雨の侵入を有効に防ぐことができます。それだけでなく、カバーを外す手間があるため、イタズラに対しても有効な防御に有効です。

車 イタズラ・落書きの犯人特定のために|犯人がわかったら

防犯カメラに犯人が映っていたらどうするの?

では、もし設置していた防犯カメラに犯人が映っていたらどうすれば良いのでしょうか。

警察へすぐに連絡して被害届を提出(可能であれば告訴も検討)するのは当然ですが、その後はどうなるのでしょうか。

勘違いしている人も多いのですが、防犯カメラに犯人が映っていたからといって、すぐに犯人特定され捕まるわけではありません。防犯カメラ映像をもとに犯人を全国一斉指名手配してくれるわけではありませんので、被害届だけを出して後を警察に任せたところで犯人は捕まらないでしょう。

そこで、被害者であるあなた自身も、防犯カメラに映った人物に心当たりがないか考えてみつつ、犯人特定をしましょう。

車に対するイタズラは、何らかの言いがかりや因縁をつけられた結果であることが多いです。知り合いではなくても、近所の人など、意外と近場に犯人が潜んでいる可能性も大いにあります。

これらの思い出した情報を警察に伝えることで、犯人の検挙に繋がる可能性があります。

車に対するイタズラは、犯人が捕まらない限りはどうしようもありません。まずは犯人検挙に繋がる手がかりを、防犯カメラ映像と自分の記憶を頼りにしっかりと検証してみましょう。

警察はどの程度捜査する?捜査しないの?

犯人が防犯カメラに写っていたら、車のイタズラに対する警察への手続きとしては、「被害届」と「告訴」の2種類があります。

被害届

事故現場から警察に通報して、駆けつけた警察官に対してする手続きは、基本的には「被害届」となります。

被害届とは、簡単に言うと「何月何日何時何分頃に、私の車がイタズラされました」という事実を警察に報告することです。

あくまで報告するだけですので、警察には捜査義務は発生しません。

車のイタズラに対する被害届は警察の中では極めて重要度の低いものとして扱われるため、よほどのことがなければ、警察が本腰を入れて犯人特定、探しをしてくれることはないでしょう。

告訴

これに対し「告訴」は、加害者に対する処罰を求める強い手続きのため、警察が告訴を受理した場合は捜査義務が発生します。犯人を器物損壊罪で裁いてほしければ、告訴をする必要があります。

ただし、警察は、被害届については簡単に受理してくれますが、告訴については簡単には受理してくれません。そのため、どうしても犯人を捕まえて処罰してほしい場合は、弁護士や行政書士に相談して告訴状を作成し、提出することをおすすめします。

尚、車のイタズラの場合は加害者が分からないことが多いためですが、加害者が不明でも「被告訴人不明」として告訴状を提出することができます

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