交通事故の加害者が守るべきお見舞い6つの鉄則
人身事故を起こし怪我をした被害者が入院している場合は、お見舞いに行くべきです。交通事故の加害者がお見舞いをする場合に…[続きを読む]
一時の不注意から事故を起こしてしまう可能性は誰にでもあります。誰でも、交通事故の加害者になりえるのです。
この場合、交通事故被害者へ誠意をどのようにして伝えるかによって、その後の示談交渉や刑事責任の量刑に大きく影響することをご存知でしょうか。
万が一加害者となってしまった場合、自分の身を守る事ばかり考えずに、しっかりと被害者に対しお詫びし謝罪し、誠意を見せることが非常に重要です。
今回は、物損事故・人身事故発生後からどのようにして被害者に「加害者の誠意」を伝えていけばよいのか、軽い接触事故の謝罪・お詫び電話の内容や時間帯などについて、交通事故発生後からの4つのポイントを細かく解説します。
目次
「もし事故を起こしても、やたらに謝るな」とは、よく言われます。
確かに、過失割合が微妙なラインになる事故類型の場合は、一方的に謝罪ばかりすると、その後の交渉がやり難くなる事はあります。
しかし、追突事故のように、明らかに一方的な過失によって事故が発生した場合、被害者に対して誠心誠意対応する必要があります。
人身事故では、示談がまとまっていなければ、加害者が起訴される可能性は上がります。謝意を受け入れてもらうのは、もちろん相手を慮ってのことですが、自分のためでもあるのです。
まずは安全な路肩などに車を移動させた上で、被害者の安否を確認しましょう。
などの第一声としての例文が考えられます。
人の印象は「初対面」で決まると言われています。交通事故の場合、最悪な状況で初対面を迎えます。真摯に誠意を示さなければなりません。その点をしっかりと理解した上で行動しましょう。
また、この際に、どこか痛くないか、車は動くかなど、被害者を気遣うことを忘れてはいけません。
声かけには、ただ誠意を伝えるだけではなく、もう一つの意味があります。それは「状況確認」です。
交通事故の場合、後になって被害者側から、ここが痛い、あれが壊れたなど、さまざまな追加の請求がくることがあります。
例えば、破損した車両についても、事故に便乗してもともと調子が悪かったところまで修理費を負担しろと言われてしまう可能性があるのです。
もちろん、むち打ち症などでは、後から症状が出る事もあります。しかし、重要な事は、事故直後はどうだったかです。
そこで、どこに不具合が生じているのか、身体、車両、両方について心配しつつも確認し、しっかりと記憶して、メモもしておきましょう。
軽い接触事故現場で誠意を見せる事ができてたとしても、それだけで被害者が寛大な措置をしてくれるほど交通事故は甘くありません。所詮、初対面同士ですから、現場でお詫び、誠意を見せたくらいでは、その印象は数日ほどしか残りません。
そこで、今度はお詫びの内容が大事で「電話」によって誠意を伝えます。なお、相手の連絡先が分からなければ、交通事故証明書を取得すれと記載されています。
ポイントは、電話するタイミングです。目安としては事故の翌日以降、遅くとも3日以内には一度電話するのが良いでしょう。
事故から数日が過ぎても連絡がないと、被害者の印象とすれば、「電話の一本もよこさない」という最悪なものになります。大切な事は、被害者を「待たせない」ことです。
謝罪の電話をするタイミングには、気をつけてください。
もちろん、深夜や早朝は避けてください。常識外れの時間帯では、それだけで却って先方を怒らせてしまう可能性もあります。
できれば、被害者の都合のいい時間帯を聞き出し、その時間帯に電話をするのが望ましいでしょう。都合の良い時間帯は、被害者の職業などによっても変わってきます。もし、わからなければ、保険会社の担当者と相談しておきましょう。
時間帯一つでも、被害者の気持ちを汲み取って、できるだけ不快な思いをさせないことが大切です。しつこく電話して心象を悪くさせることもありえます。
電話で謝罪するために、話す内容を予めある程度用意しておくと良いでしょう。もし、不安があるのであれば、保険会社の担当者や弁護士に相談してみてもいいでしょう。また、ネット上にも、電話で謝罪する場合の例文などがあるので参考にしてみてください。
例えば、次のような内容・例文を想定してみましょう。
言葉の選び方一つで、相手に与える印象がまったく変わってしまうことがあります。慎重に丁寧に心から謝意を伝えることを第一に考えましょう。
電話では、具体的な損害賠償の話には、触れないようにしましょう。相手が電話口で損害賠償について質問してきても、保険会社と相談中であると明確な返答は避けましょう。
その理由は、謝罪から賠償についてその場で約束を取り交わしてしまうと、その後、示談がこじれてしまう可能性があるからです。
「賠償については、自分の一存では決められせんが、保険会社と相談して誠意を持って当たらせていただきます」と答えておく程度に留めておくべきです。
電話だけで済ますのではなく、お見舞いのために相手の自宅や入院先まで出向く事も、誠意を伝える上でとても重要なポイントです。
相手先まで出向けば、相手に対して誠意が伝わる可能性が高まります。
服装も、できる限り地味なものにします。また、車ではなく公共交通機関やタクシーなどを利用すれば、相手により誠意が伝わる可能性があります。
派手だったり、華美な装飾品をつけていたりすると、「高い示談金を請求できるのでは」と認識される可能性もあります。また、手みやげを持参しても良いですが、高価過ぎないものにしましょう。「お金で済まそうとしているのか」と受け取られない程度のものが理想です。
この際にも、怪我の具合や修理の状況などについて心配しつつ、情報を収集しましょう。
被害者に誠意を伝える有効な手段となるのが、謝罪文です。
謝罪文を書く際のポイントは2つです。
くれぐれも、パソコンで作成したものを送らないようにして下さい。手書きで書くのは大変ですが、敢えてするからこそ相手に誠意が伝わるのです。
謝罪文は、基本は縦書きで、白地の便せんなどに書けば十分です。とにかく丁寧に書きましょう。
なお、謝罪文の書き方は、下記関連を参考にしてみて下さい。
基本的には、以上の4つのポイントを丁寧にこなせば十分でしょう。
軽度な事故の場合には、あまりにしつこいと「罪を軽くしてもらおうと思っている」として、心象が悪くなってしまうかもしれません。大切な事は、1回の接触で、できる限り真摯に誠意を伝える事です。
大切なのは、相手の身体と車の状態を心配し、保険会社に任せきりにしたりせず、被害者の方にしっかりと向き合って、しっかり謝罪することです。これだけで被害者の心理はかなり変わってくるでしょう。
被害者に誠意が伝わる事で、被害者が警察に「加害者の厳重な処罰を求めない」と伝えれば、不起訴となる可能性も高まってきます。また、万が一起訴された場合も、減刑に繋がることがあります。
いずれにしても、被害者に誠意を伝える事は、交通事故後の加害者が最もやらなければならないことなのです。