右側走行違反の自転車が交通事故の被害に!過失割合の考え方とは?
この記事では、右側通行の自転車と衝突したときの過失割合について、自動車の場合、バイクの場合、自転車同士の場合の3つに…[続きを読む]
逆走事故の過失割合は何対何が相場なのか気になる人もいるでしょう。普通に考えれば逆走している車が100%悪い(10対0)のように思います。
また、突然相手が一般道や高速道路における逆走に起因する逆走事故はなぜ起こるのでしょうか?逆走事故の原因や起こりやすい場所はどこでしょうか?
今回は、逆走事故が起こりやすいケース、過失割合、慰謝料などの知識を確認し、逆走して正面衝突する場合や、10対0なのか、高速道路や一般道の違いなども見ていきましょう。
目次
逆走事故とは、ある自動車が一方通行の道路を反対向きに走行しているとき、対向車と衝突して起こる事故のことです。
普通の事故の場合、お互いが同じ方向に走っていて衝突するか、自分の左右から走ってきた車と衝突することが多いので衝撃が緩和されるのですが、逆走事故の場合、真逆からお互いが速度を出してぶつかるため、非常に衝撃が強くなり、事故の結果も重大になりやすいです。
特に高速道路上で逆走事故が起こると、避けようとした通常走行の車が無理にハンドルを切って中央分離帯などにぶつかってしまうことが多く大事故につながりやすいですし、避けきれずに正面衝突をすると、お互いの車がぐちゃぐちゃになったりします。さらに、後から来た車が混乱して2次被害、3次被害につながることもあったりするので、結果が重大になりやすいです。
交通事故が起こったら、加害者と被害者の過失割合を決めないといけません。
過失割合とは、交通事故の結果について、加害者と被害者のどちらにどれだけの責任があるかという割合のことです。
高速道路で相手が逆走していたから交通事故が起こったのであれば、当然相手の過失割合が100%(10対0)と考えるのが普通でしょう。しかし、実際にはそうとも限らないので注意が必要です。
高速道路上の逆走については、判例タイムズの過失割合の基準において定めがないのですが、一般道の交差点で一方通行違反がある場合の事故についての規定があります。
これによると、一方通行違反の車が80%、違反していない車が20%となっています。
そもそも、相手が逆走していても、被害者の基本の過失割合が20%となっているということです。
しかも、被害者側に過失があると、さらにその割合が上がります。たとえば、被害者が減速していなかった場合には10%の過失割合が足されて30%になりますし、その他の危険運転をしていた場合にも、30%~40%くらいにあげられる可能性もあります。
もう1つ、参考になりそうなケースが、相手がセンターラインを超えてきて正面衝突の事故になったパターンです。
この場合には、基本的にセンターラインを超えてきた正面衝突の相手の過失割合が「100%」(10対0)となります。
しかし、この場合でも、やはり被害者側に落ち度があったら被害者側にも過失割合が認められます。たとえば、前方不注意をしていたら10%程度過失割合が割り当てられますし、酒気帯び運転などがあると、さらに高い過失が割り当てられる可能性もあります。
「自転車」VS「自動車」の逆走事故を考えてみましょう。自転車は、2013年12月から施行されたルールで、右側の路側帯を走行すると、逆走となり刑罰の対象となります。
自動車と右側走行する自転車が接触した場合、基本自転車が弱者保護の対象となりますが、自転車側にも一定の過失責任が発生することがあるという認識を持っておいた方が良いでしょう。
これらのケースから言えるのは、逆走事故の被害に遭ったからといって、相手が全面的に悪い、ということにはならないということです。
普通に自動車を運転していたら逆走事故など起こるはずがない、と思われるかもしれません。しかし、テレビのニュースなどでも時折報道されているように、逆走事故は実際に起こっています。どのくらいの件数があるのでしょうか?
平成23年~平成27年までの国土交通省の調査によると、高速道路上における逆走事故は、だいたい年間200件くらい発生しています。平成23年が211件、平成24年が210件、平成25年が143件、平成26年が212件、平成27年が190件となっています。死亡事故の件数は、平成23年~平成27年まで、年間4~6件です。
逆走事故全体の件数は平成25年のみ減少していますが、その他はだいたい一定であり、現在もそう変わらないと考えられます。
また、このデータは高速道路に限ったデータですから、一般道を含めると、逆走事故の数字はもっと増えるはずです。
これだけの件数が起こっているのですから、逆走事故に遭遇する可能性は誰にでもあることであり、決して人ごとではありません。
それでは、逆走事故は、どのような場合に起こりやすいのでしょうか?
まず、逆走事故が起こりやすい場所を確認しましょう。これについては、圧倒的に高速道路上です。一般道路では、そもそも道路を反対側に間違えて走るということが少ないですし、他の車を見て、事故になる前に自分で気づいて止まることができます。万一事故になっても、お互いがめいっぱいの速度を出していないので重大な結果になりにくいです。
これに対し、高速道路では、自車のみが一方的に逆走していたら、逆走に気づきませんし、まさか逆走する車があるとも注意を払っていません。
そのままめいっぱいの速度で対向車両につっこんで行くため、お互いが避けられずに事故になってしまいます。
ただし、一般道でも、逆走事故が起こる可能性はあります。
一般道でも誤って一方通行の道路に侵入してしまうことはありますし、周囲に車がなかったら相当のスピードを出してしまい、突然現れた対向車両と衝突してしまうおそれがあるからです。
それでは、高速道路の中でも逆走事故が起こりやすい場所があるのでしょうか?
NEXCOの調査によると、インターチェンジやジャンクションにおいて、特に事故発生率が高くなっています。
たとえば平成26年の逆走事故の件数は198件ですが、うち96件がインターチェンジやジャンクションで起こっています。次いで本線の54件、サービスエリアやパーキングエリアの15件と続いていきます。
逆走事故で多く見られるパターンには、以下のようなものがあります。
高速道路上では、インターチェンジやジャンクション、合流部などでUターンして逆走してしまうパターンが多いです。そこで、逆走を防ぐには、無理にUターンをしないことです。間違えたと思っても、あせらずに走行方向を守り、正しい順路で方向修正をしましょう。
また、サービスエリアやパーキングエリアで間違って入り口側から出ると、逆走してしまいます。これらの中には矢印が出ているので、それにしたがって正しく走行したら逆走を防ぐことができます。
高速道路で逆走をするドライバーは、どのような年齢の人が多いのでしょうか?
これについては、やはり高齢者が多いです。同じくNEXCOの調査によると、平成23年~平成26年の逆走事故のドライバーのうち、69%が65歳以上の高齢者ドライバーです。次いで30歳~65歳の24%、最も少ないのが30歳未満の7%です。
ドライバーの人数的には30歳~65歳が最も多いでしょうから、割合にすると65歳以上のドライバーの逆走率は、相当高くなるでしょう。
高齢になると、どうしても注意力が散漫になりやすいため、高速道路上で運転をするときには、十分注意深くなる必要があります。
高速道路で逆走事故が起こるとき、ドライバーはどういった状態になっているのかも見てみましょう。
これも同じくNEXCOの調査結果に基づきますが、認知症の疑いがあるものが9%、精神障害が4%、飲酒状態が2%となっています。
このように、何らかの正常な運転ができない要因があるとき、逆走事故が起こりやすくなっていることがわかります。
危険がある場合には運転をしないこと、また周囲に認知症などの人がいる場合には、車を運転させないことが、事故を防ぐために重要です。
それでは、こうした逆走事故の事例にはどのようなものがあるのでしょうか?以下で具体的なケースをご紹介します。
このケースでは、逆走をしたドライバーが82歳の男性で、病院に行くために車を運転していました。
いつも右折をしていた交差点を過ぎてしまい、「どこかで曲がらないと」と思っている間に間違って高速道路に入り、ETCで料金所を通過して、そのまま本線を逆走してしまったのです。
そして、通常通り走って来た対向車と遭遇しました。このとき、相手の車は男性の車を何とかよけることができましたが、そのまま中央分離帯に衝突してしまい、運転者や同乗者はケガをしてしまいました。
逆走したドライバーは事故後も10キロメートルも走り続け、駆けつけた警察に聞かれても逆走を認めず、「事故も違反もしたことがないし、私は悪くない」と言い続けました。
このケースで逆走をしたドライバーは、75歳の男性でした。
群馬県内の関越道を、この男性が運転していた軽トラックが逆走していたので、通常通り走行をしていた40代の男性の車が炎上してしまった事故です。
お盆の最中だったので、被害者の男性は、家族を乗せて関越道を運転していましたが、前を見ると突然軽トラックが逆走して突っ込んできました。男性はとっさにハンドルを切って衝突を回避しましたが、男性の車がスピンして中央分離帯にぶつかってしまいました。すぐに煙が充満してきたので、男性や家族は必死で脱出しましたが、その直後、車は一気に炎上したという非常におそろしい事件です。
被害者の子どもたちはショックで夜も眠れなくなりましたが、加害者の逆走ドライバーは、事故があっても止まらずに走り去り、3日後に警察の捜査でようやく判明しました。取り調べに対しては「覚えていない」と説明していましたが、翌日、加害男性は「認知症」の診断を受けて、免許取消処分となりました。
このように、高速道路上で逆走事故が起こると、事故を避けようとした通常の運転者の方がむしろ大きな被害を受けてしまう例が多いので、注意が必要です。
逆走車相手に交通事故に遭った場合でも、必ずしも被害者側の過失割合が0にならないことにも注意が必要です。こちらが減速していなかった場合や前方不注意、脇見運転や酒気帯び運転などがあると、被害者にも大きな過失が割り当てられる可能性もあるのです。
そこで、逆走事故に遭って、相手の保険会社と示談交渉を継続しており、対応が納得できないと考えているなら、まずは交通事故に強い弁護士に相談してみましょう。
弁護士が示談交渉の代行をすると、今までより大幅に示談金がアップすることも多いので、試してみる価値は高いです。
今回の記事を参考に、逆走事故に賢く対応しましょう。
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