交通事故の加害者に厳罰を与えたい!逃げ得は許せない!解決方法を解説
交通事故の加害者が反省していない場合、被害者や被害者遺族は加害者に厳罰を求めたいと思うのが通常です。交通事故の加害者…[続きを読む]
交通事故は通常、民事的な問題として扱われ、保険会社や法的手続きを通じて被害者と加害者の間で損害賠償などが解決されます。
しかしながら、一部の交通事故は刑事告訴の対象となる場合があります。
刑事告訴が行われると、警察や検察官は事件を調査し、証拠を収集します。
その後、裁判が行われ、有罪判決が下されると、加害者に刑罰が科されます。
今回は、人身事故、交通事故の被害者向けに、加害者を訴えたいと感じている方向けに「交通事故と刑事告訴」について詳しく説明します。
目次
人身事故にまきこまれて、訴えるには「刑事告訴」を利用して、加害者に厳罰を与える方法を解説していきます。
では、人身事故における刑事告訴とはどのようなものなのでしょうか。
刑事告訴とは、被害者が捜査機関等に対して行う処罰意志の報告のことです。
警察・検察に対し、加害者を起訴して厳重処罰にしてくださいと伝える方法となります。刑事事件の場合、被害者の意見も起訴・不起訴の判断に影響します。
被害者が「加害者が反省していない」、「過失の程度が重い」等を理由に、告訴状を提出すると事件の内容と総合的に判断して起訴するかどうか等を判断してくれます。
刑事処罰については、どうしても捜査機関や裁判所が判断するため、被害者は介入できないという意識を持っている方もいると思いますが、告訴状を提出することで厳重処罰を求めることは可能なのです。
もっとも、告訴をしたからといって必ず要望が聞き入れられるわけではありません。事件の内容等を総合的に判断してどのように処罰するかを検察が判断します。
このように、厳重処罰を求める方法としては、刑事告訴を利用することができます。人身事故後で起訴前という方は検討してみてください。
捜査機関に提出する書類としては、被害届もあります。被害届けと刑事告訴の告訴状は異なるのでしょうか?
被害届と刑事告訴の告訴状を同じだと考えている方もいらっしゃると思いますので、ここで違いを説明しておきます。
例えば、「◯月◯日△時△分に、(場所)にて、窃盗被害を受けました。」というものは、被害届になります。
被害届の役割は、捜査機関に犯罪があったことを知らせて、捜査を開始させることにあります。
次に、人身事故の刑事告訴の告訴状です。告訴状は、先にお話した通り、「加害者を処罰してください」という意志を伝えるものです。もうおわかりかと思いますが、告訴状と被害届の違いはここにあります。つまり、処罰意志を含むかどうかです。被害届は、被害に遭ったことを報告するだけで処罰意志までは含まれていないのです。
また、告訴状は、「起訴を許す」という役割もあります。刑法に定められた罪には、親告罪といって、被害者からの告訴がない限り起訴できないものがあります。最近改正によってなくなりましたが、強姦罪などの性犯罪はこの親告罪でした。
その理由は、被害者の感情を考慮すべき事柄であるからです。裁判では、被害を思い出さなければいけない辛い場面もあります。これに被害者が耐えられない可能性があるため、親告罪としたのです。もっとも、実情に合わないとして2017年7月に撤廃されました。
このように、被害届けには、処罰意志や起訴を許可するといった意志は含まれていません。この点に大きな違いがありますので、厳重処罰を求めたい方は人身事故の刑事告訴の告訴状を提出するということを覚えておきましょう。
では、人身事故の刑事告訴の告訴状はどのように提出すればよいのでしょうか。
まず、告訴に決まった形式はありません。必要事項を記入して、それを管轄の警察署に提出すれば終わりです。もっとも、何を書いてもいいというものでもありませんので、以下のことを記載するようにしてください。
人身事故の刑事告訴の告訴状において、必要事項としては、以下となります。
どの犯罪のことを指しているのかを明らかにするために、①〜③が必要になります。
④については、これがないと告訴状にならないため必要です。
「加害者が反省していないと考えるため(、被害の態様が〜と重いため等)加害者(氏名)の厳重処罰を望みます」という内容を記載すればよいでしょう。
不安がある方は、警察署へ行って「刑事告訴したい」「告訴状を提出したい」といえば、必要なことを教えてもらえるはずです。
人身事故の刑事告訴に証拠も一緒に添付すべきとの文言を見かけることがあります。
しかし、証拠書類の添付は必須ではありません。
特に、交通事故で、事故証明等が出ていて事故原因等もはっきりしている場合は必要ない場合もあります。
念のため、証拠を添付する場合でも、コピー等で大丈夫でしょう。証拠書類としては、交通事故証明書、現場写真、診断書、通院記録などが添付できます。
人身事故における刑事告訴の告訴状は、管轄警察署の担当部署に提出することになります。もっとも、必ず受理されるわけではありません。「告訴状を提出したい」と申し出ると、書類を一旦受け取ってはもらえますが、コピーした上で返されます。そして、この段階で受理されたことにはならず、「受理検討中」ということになります。
受け取った告訴状については、数週間から1ヶ月程度で受理するかどうかが判断されます。ここで「なぜすぐに受理しないのか」という疑問が出てきますが、警察署としては、一旦受理した告訴状は必ず捜査をしなければいけません。そのため、改めて捜査すべき事案なのか検討する時間が必要なのです。「適当に受理して、捜査しない」という事態を防ぐため、このような厳格な措置がとられるようになりました。
受理検討中となった告訴状は、必要な捜査をしたあとに結果が報告されます。
告訴した人が警察署に呼ばれ、受理・不受理の報告を受けます。無事受理された場合には、告訴状や証拠資料の提出を行い、必要書類を記入することになります。仮に不受理となった場合には、告訴した事実内容を見直し、再提出することも可能です。不受理となった場合は、弁護士などの専門家に相談したほうがよいでしょう。
以上が、人身事故における刑事告訴の告訴状を提出する方法です。加害者の厳罰を求める方は参考にしてみてください。