交通事故の加害者に厳罰を与えたい!遺族・被害者が今できる事とは?

厳罰

交通事故加害者に厳罰を与えたい。どんな方法がある?

「交通事故の加害者が反省していない」という場合、被害者や被害者遺族は加害者に厳罰を求めたいと思うのが通常です。実際のところ、加害者が十分に反省をしていないこともあり、今後同じような事故を二度と起こさないためにも、反省していない加害者に対し厳罰を求めることは必要です。

しかし、ここで問題となるは、どのように厳罰を求めればよいのかということです。

  • 被害者としてできることは何なのか
  • どのように厳罰を求めればよいのか

わからないことも多いです。そこで、今回は、「交通事故の加害者に厳罰を求める方法」を解説します。被害者・被害者遺族の方が、ご自身でできることについてです。

交通事故における加害者の責任

まずは、交通事故における加害者の責任について理解していきましょう。

ほとんどの人身事故は過失運転致死傷罪として処理

では、交通事故の加害者は刑事上どのような罪に問われるのでしょうか。

交通事故で人身事故として処理された場合に、最初につく罪名が過失運転致死傷罪です。

過失運転致死傷罪は、自動車運転処罰法5条に規定されており、過失によって自動車事故を起こし、人を死傷させた場合に成立する犯罪です。

刑罰としては、「7年以下の懲役もしくは禁固または100万円以下の罰金刑」が規定されています。自動車を運転する際は、さまざまな義務が課せられます。例えば、スピード違反をせず法定速度を守る義務や進む方向に人がいないかどうかをしっかり確認して進行する義務などです。このような義務を無視して、事故を起こしてしまい、人を傷つけてしまうと過失運転致死傷罪が成立します。人身事故のほとんどは、過失運転致死傷罪として処理されているのが実情です。

交通事故に関する罰則は、近年徐々に厳罰化の傾向にあり、少しずつですが加害者に十分な責任を課すための法整備が進んでいます。

このように、交通事故の人身事故として処理されると、過失運転致死傷罪として処理されることがほとんどとなります。

酩酊しているなど危険行為があった場合には、危険運転致死傷罪が成立

では、過失運転致死傷罪以外に、罪は成立するのでしょうか。

過失運転致死傷罪は、自動車の運転によるあらゆる過失に対応しているものの、加害者に大きな落ち度がある場合については、別途法律を制定すべきとする声がありました。そこで制定されたのが危険運転致死傷罪です。自動車運転処罰法2条に規定されており、負傷を負わせた場合には「15年以下の有期懲役」、死亡させた場合には「1年以上の有期懲役」が規定されています。

具体的には、酩酊運転、高速度での運転、薬物下での運転、進行を制御する技能を有せず運転、妨害運転、通行禁止区域での運転で重大な危険が生じたケースにおいて適用されます。このような運転行為自体が高度に危険を有する行為であり、人を死傷させた場合には厳重に処分すべきとの考えから重い法定刑が定められています。

過失運転致死傷罪の場合には、罰金刑が並記されていますが、危険運転致死傷罪には罰金刑はなく、懲役刑のみ規定されています。この点で、かなり厳しい処罰が下される可能性が高いといえます。

自動車運転処罰法に関して詳しく知りたい方は、下記記事をご覧ください。

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このように、加害者に故意に近い重い過失がある場合には、危険運転致死傷罪として扱われます。

民事での損害賠償請求

では、刑事処罰以外に加害者が背負う責任にはどのようなものがあるのでしょうか。

まず、行政処分として免許停止・取消しなどの処分を受けることになります。人身事故の場合は、死亡事故で一発免許取消し、重傷事故で90日以上の免許停止等の重い処分が待っています。

次に、民事での損害賠償請求です。

交通事故の人身事故で被害を受けた場合には、被害者は加害者に対し不法行為に基づく損害賠償(民法709条、710条等)を請求することができます。この損害賠償請求では、治療費や入院費用だけでなく、事故で被った精神的苦痛に対する慰謝料、後遺障害の慰謝料も請求できます。このほかには、車の修理が必要な場合はその修理費なども含まれます。

加害者が反省をしていない場合は、刑事罰で厳重処分を求めることもできますが、多くの損害賠償請求をすることも、制裁方法となります。日本の損害賠償請求制度は、報復的意味を持たず、あくまで損害を補填するものですが、実質的には多額の損害賠償を請求することは加害者にとっても重い責任がのしかかることになるといえるでしょう。

このように、交通事故で人身事故を引き起こした加害者には、刑事罰、行政罰、民事請求の3つの責任がのしかかります。これを踏まえた上で、厳重処罰を求める方法を見ていきましょう。

刑事告訴をして、厳罰を希望する

次に、加害者に厳罰を与える方法を解説していきます。まずは、刑事告訴について理解していきましょう。

刑事告訴とは、被害者が捜査機関等に対して行う厳重処罰の意志表示

では、刑事告訴とはどのようなものなのでしょうか。

刑事告訴とは、被害者が捜査機関等に対して行う処罰意志の報告のことです。警察・検察に対し、加害者を起訴して厳重処罰にしてくださいと伝える方法となります。刑事事件の場合、被害者の意見も起訴・不起訴の判断に影響します。被害者が「加害者が反省していない」、「過失の程度が重い」等を理由に、告訴状を提出すると事件の内容と総合的に判断して起訴するかどうか等を判断してくれます。刑事処罰については、どうしても捜査機関や裁判所が判断するため、被害者は介入できないという意識を持っている方もいると思いますが、告訴状を提出することで厳重処罰を求めることは可能なのです。

もっとも、告訴をしたからといって必ず要望が聞き入れられるわけではありません。事件の内容等を総合的に判断してどのように処罰するかを検察が判断します。

このように、厳重処罰を求める方法としては、刑事告訴を利用することができます。事故後で起訴前という方は検討してみてください。

告訴状と被害届は、処罰意志の点で異なるもの

捜査機関に提出する書類としては、被害届もあります。被害届けと告訴状は異なるのでしょうか?

被害届と告訴状を同じだと考えている方もいらっしゃると思いますので、ここで違いを説明しておきます。

被害届

まず、被害届けとは、犯罪被害を捜査機関に報告することです。例えば、「◯月◯日△時△分に、(場所)にて、窃盗被害を受けました。」というものは、被害届になります。被害届の役割は、捜査機関に犯罪があったことを知らせて、捜査を開始させることにあります。

告訴状

次に、告訴状です。告訴状は、先にお話した通り、「加害者を処罰してください」という意志を伝えるものです。もうおわかりかと思いますが、告訴状と被害届の違いはここにあります。つまり、処罰意志を含むかどうかです。被害届は、被害に遭ったことを報告するだけで処罰意志までは含まれていないのです。

また、告訴状は、「起訴を許す」という役割もあります。刑法に定められた罪には、親告罪といって、被害者からの告訴がない限り起訴できないものがあります。最近改正によってなくなりましたが、強姦罪などの性犯罪はこの親告罪でした。その理由は、被害者の感情を考慮すべき事柄であるからです。裁判では、被害を思い出さなければいけない辛い場面もあります。これに被害者が耐えられない可能性があるため、親告罪としたのです。もっとも、実情に合わないとして2017年7月に撤廃されました。

このように、被害届けには、処罰意志や起訴を許可するといった意志は含まれていません。この点に大きな違いがありますので、厳重処罰を求めたい方は告訴状を提出するということを覚えておきましょう。

告訴状を提出する方法

では、告訴状はどのように提出すればよいのでしょうか。

まず、告訴に決まった形式はありません。必要事項を記入して、それを管轄の警察署に提出すれば終わりです。もっとも、何を書いてもいいというものでもありませんので、以下のことを記載するようにしてください。

告訴状の必要事項を記入

必要事項としては、①犯罪事実が行われた日時、場所、②犯罪事実の内容、③被害者・加害者の氏名、④加害者への処罰意志、となります。どの犯罪のことを指しているのかを明らかにするために、①〜③が必要になります。④については、これがないと告訴状にならないため必要です。「加害者が反省していないと考えるため(、被害の態様が〜と重いため等)加害者(氏名)の厳重処罰を望みます」という内容を記載すればよいでしょう。

不安がある方は、警察署へ行って「告訴状を提出したい」といえば、必要なことを教えてもらえるはずです。

証拠の提出

告訴に証拠も一緒に添付すべきとの文言を見かけることがあります。しかし、証拠書類の添付は必須ではありません。特に、交通事故で、事故証明等が出ていて事故原因等もはっきりしている場合は必要ない場合もあります。念のため、証拠を添付する場合でも、コピー等で大丈夫でしょう。証拠書類としては、交通事故証明書、現場写真、診断書、通院記録などが添付できます。

告訴状の受理

告訴状は、管轄警察署の担当部署に提出することになります。もっとも、必ず受理されるわけではありません。「告訴状を提出したい」と申し出ると、書類を一旦受け取ってはもらえますが、コピーした上で返されます。そして、この段階で受理されたことにはならず、「受理検討中」ということになります。

受け取った告訴状については、数週間から1ヶ月程度で受理するかどうかが判断されます。ここで「なぜすぐに受理しないのか」という疑問が出てきますが、警察署としては、一旦受理した告訴状は必ず捜査をしなければいけません。そのため、改めて捜査すべき事案なのか検討する時間が必要なのです。「適当に受理して、捜査しない」という事態を防ぐため、このような厳格な措置がとられるようになりました。

受理検討中となった告訴状は、必要な捜査をしたあとに結果が報告されます。告訴した人が警察署に呼ばれ、受理・不受理の報告を受けます。無事受理された場合には、告訴状や証拠資料の提出を行い、必要書類を記入することになります。仮に不受理となった場合には、告訴した事実内容を見直し、再提出することも可能です。不受理となった場合は、弁護士などの専門家に相談したほうがよいでしょう。

以上が、告訴状を提出する方法です。加害者の厳罰を求める方は参考にしてみてください。

検察審査会に訴える

次に、加害者に厳罰を与える手段としては、検察審査会に訴える方法があります。不起訴となった場合の対策として検討してみてください。ここでは、検察の起訴権限、検察審査会の内容、請求方法について解説します。

起訴は、検察官の専権事項

交通事故の人身事故で不起訴になったというケースを考えてみましょう。この場合、厳罰を望む被害者としては報われない想いを抱くことになります。

では、なぜ起訴は行われなかったのでしょうか

まず、起訴を行う権限についてお話をします。日本の刑事裁判において、起訴に関する権限は、検察官が握っています。検察官が、事件の内容・重さや加害者の反省、被害者の処罰意志等を総合的に考慮した上で、起訴するかしないかを判断しています。警察は、犯罪の捜査を行う機関ですが、検察は起訴を行うかどうかを判断する機関です。

起訴が行われないと、裁判もありません。裁判がないということは、加害者を厳罰に処することもできなくなってしまいます。不起訴の理由として一番多いのは、起訴猶予というものです。交通事故の場合は、犯罪があったこと事態が明らかな場合が多いので、特にこの理由での不起訴が多くなります。起訴猶予とは、犯罪事実・証拠はあったけれど、犯罪の内容、軽重、加害者の年齢、境遇、更生可能性などを考慮して起訴を見送るという処分です。示談がある場合などは、被害者に処罰意志がない場合もあるため、このような判断となります。不起訴処分の9割の理由がこれといわれています。

仮に、告訴状も提出して、処罰意志も明確にしていたというケースの場合、これまでの事件と比較して犯罪の内容を軽いと判断された可能性もあります。しかし、被害者に起訴する権限はないため、裁判を行うことはできないのです。

このように、日本では検察に起訴権限が集中しています。そのため、不起訴となり厳罰ができないという事態も発生するのです。

検察審査会で、検察の判断を覆せる可能性も

では、不起訴が決定した場合には、被害者・被害者遺族にできることはあるのでしょうか。

残念ながら不起訴の結果となってしまった場合には、他の手段を考える必要があります。具体的には、検察審査会に請求を行うことで、起訴ができるかもしれません。

検察審査会とは、検察の不起訴決定に不服がある場合に、原則として申し立てのある事項につき、起訴すべきかどうかを判断する機関です。検察審査会は、20歳以上の選挙権がある日本人の中から、抽選で選ばれた11人によって構成されています。検察の判断に不服がある場合には、被害者や被害者遺族が検察審査会に申し立てを行うことで、審査が開始されます。

検察審査会では、検察庁で取り寄せた事件の記録から、国民視点で起訴すべきかどうかを判断します。法律の問題については、審査補助員(弁護士)に助言を求めることも可能です。

審査の結果は、①不起訴相当、②不起訴不当、③起訴相当、形で決定されます。不起訴相当は、検察の判断と同じ結果になったことを指し、不起訴不当は、詳しく捜査すべきでることを指します。起訴相当の場合は、検察官が事件を再検討し、起訴の判断をすべきかどうかを改めて判断します。起訴相当の議決が出たのにもかかわらず、起訴しない場合は、改めて検察審査会義で審査が行われ、起訴議決となった場合には、強制起訴が実施されます。

このように、検察審査会では、不起訴になった事件も改めて判断されます。最後まで諦めないで厳罰を求めるようにしましょう。

検察審査会に審査請求をする方法

では、審査請求はどのように行えばよいのでしょうか。

まず、下記のURLから審査申立書をダウンロードします。

審査申立書 http://www.courts.go.jp/vcms_lf/20002.pdf

ダウンロードができたら、必要事項を記入していきます。記入用紙は2枚あり、1枚目は、申立人の氏名、住所等の個人情報、罪名や不起訴処分決定日、担当検察官などの事件に関する情報、加害者の氏名等の個人情報を記入します。2枚目は、被疑事実の要旨、不起訴処分を不当とする理由について記載します。被疑事実とは、事故の状況や内容についてです。事故証明を見ながら、事故の発生日時、場所等を記入するとよいでしょう。不起訴処分を不当する理由には、事故の重大さ、加害者の反省がないこと、被害の重大さ、処罰感情などを書いていきます。

審査申立書の記入が終わったら、検察審査会に提出します。

検察審査会は、全国各地にある地方裁判所に設置されています。

下記からお近くの検察審査会をさがすことができますので、そこで提出を行ってください。

検察審査会設置場所:http://www.courts.go.jp/kensin/seido_itiran/index.html

以上が、検察審査会に申し立てを行う方法です。不起訴となった場合でも、諦めないで申し立てを行ってみましょう。

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裁判が始まったあとにできることは?被害者参加制度

次に、起訴が決まった後に、被害者・被害者遺族ができる厳罰処分を求める方法をお伝えします。ここでは、被害者参加制度についてご説明します。

被害者参加制度を利用して、裁判の当事者になる

では、起訴後に被害者が厳罰処分を求めるためにできることはあるのでしょうか。

刑事裁判では、被害者参加制度というものが実施されています。通常は、被害者は裁判に当事者として参加できないのですが、被害者参加制度の利用を申し出れば、被害者にも在廷権(検察官の横に座って当事者として参加する権利)や証人に対する質問権等が認められます。当事者として裁判に関わることができるため、より被害者の感情が裁判に反映されやすくなるのです。

被害者参加制度が利用できるのは、限定された犯罪のみです。しかし、交通事故における過失運転致死傷罪、危険運転致死傷罪は参加が許されています。そのため、加害者を厳罰に処したいと考える被害者や被害者遺族の方は、被害者参加制度を利用することも可能です。

被害者参加制度の利用方法は、担当検察官に被害者参加を申し立てるだけです。申し立て後、検察官の意見を加えた裁判所への通知で、裁判官が判断します。最終的には、裁判所の判断により被害者の参加が決定します。

このように、被害者参加制度を利用すれば、裁判に対する影響力を少しでも強くすることができます。起訴後に出来る方法として検討してみてください。

加害者に厳罰を与える方法を、弁護士に相談してみる

「これ以外にも方法がないのか」、あるいは「自分で全て行うのは大変」と思った方もいらっしゃるでしょう。そんなときは、やはり弁護士に相談してください。

弁護士に実際の事故状況や、加害者の態度等を説明し、どのような対処法があるのかを具体的に相談してみると、また別の対処法が見えてくるかもしれません。ここに書いた内容は、自分で実行可能なことばかりですが、事故による心理的・身体的影響がある中で行うのは大変なことです。事件に関することは、味方になってくれる専門家に任せてしまうことも1つの方法となります。また、一般論ではなく、個別ケースに応じた対処法は、実際の事故に関する内容・状況を聞いてみなければわからないこともあるのです。

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