後遺障害9級の慰謝料相場と増額方法をわかりやすく解説

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交通事故で負傷し、後遺障害が認定された場合、後遺障害慰謝料や逸失利益などについても損害賠償請求をすることが可能になります。

後遺障害9級の場合、労働能力喪失率は35%ですが、高次脳機能障害や脊髄損傷など、社会生活に復帰することが難しい症状が含まれます。

そのためにも、適正な後遺障害等級の認定を受け、適切な補償を受けることが必要となります。

適切な補償を受けるためには、どうすれば適正な等級に認定されることができるのか、損害賠償金の相場や慰謝料を増額するにはどうすればいいのかなど、知っておくべきことがあります。

今回は、後遺障害9級の慰謝料・示談金の相場と適正な認定のためにすべきこと、慰謝料増額のためにすべきことについて解説します。

後遺障害9級の代表的な症状と慰謝料

後遺障害9級の認定を受けることができる主な症状は以下の通りです。

後遺障害9級が認められる症状

等級症状
9級1号両眼の視力が0.6以下になったもの
9級2号1眼の視力が0.06以下になったもの
9級3号両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
9級4号両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
9級5号鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
9級6号咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
9級7号両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
9級8号1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話し声を解することが困難である程度になったもの
9級9号1耳の聴力を全く失ったもの
9級10号神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
9級11号胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
9級12号1手のおや指又はおや指以外の2の手指を失ったもの
9級13号1手のおや指を含み2の手指の用を廃したもの又はおや指以外の3の手指の用を廃したもの
9級14号1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの
9級15号1足の足指の全部の用を廃したもの
9級16号外貌に相当程度の醜状を残すもの
9級17号生殖器に著しい障害を残すもの

9級は特に、目や鼻から高次脳機能障害や脊髄損傷まで17にもわたり細かく規定されているのが特徴です。

同じ障害でも症状の軽重によって等級は変わります。

たとえば、高次脳機能障害の場合、9級が最低の等級で、7級、5級、もっと重い症状の場合は、3~1級までに該当します。9級の弁護士・裁判基準の後遺障害慰謝料は、690万円、7級は1000万円、5級は1400万円です。

詳しくは後述しますが、後遺障害等級によって労働能力喪失率も違うので、逸失利益も大きく変わります。適正な等級の認定が欠かせません。

後遺障害9級の後遺障害慰謝料相場

後遺障害等級が認定された場合、後遺障害慰謝料の請求が認められます。

後遺障害慰謝料の金額を計算するには、自賠責基準、任意保険基準、弁護士・裁判基準、という3つの基準があり、

自賠責基準<任意保険基準<弁護士基準

の順番で高くなっていきます。

それぞれの基準よる後遺障害9級の後遺障害慰謝料の相場は、以下の通りです。

下表からお分かりいただける通り、自賠責基準と弁護士・裁判基準の後遺障害慰謝料の相場には、3倍近くの差があります。

後遺障害9級の後遺障慰謝料
自賠責基準任意保険基準(※)弁護士・裁判基準
245万円程度300万円程度690万円程度

※任意保険基準については、一般に公開されていないので、旧任意保険の統一支払基準を参考に記載しています。

3つの基準の中でも弁護士・裁判基準で交渉すべき

自賠責基準とは、人身事故での最低限の補償を定めた自賠責保険で賠償金を計算する場合の基準であり、任意保険基準とは任意保険会社が示談交渉する場合に使う基準、弁護士・裁判基準とは、裁判例を基に設けられた基準であり実際の裁判でも使用される基準です。

弁護士・裁判基準は、賠償額を最終的に決定する権限がある裁判所が用いる基準ですから、唯一法的に妥当な基準であり、弁護士・裁判基準が本来受け取るべき適切な慰謝料ということになります。

しかし、被害者本人が弁護士・裁判基準を主張したとしても、保険会社が認めてくれるとは限りません。後遺障害慰謝料を弁護士・裁判基準で交渉するには、弁護士に依頼するのが最も近道なのです。

後遺障害慰謝料について解説してきましたが、後遺障害が認定された場合には、逸失利益の請求も可能になります。

では次に、その逸失利益について解説します。

後遺障害9級の逸失利益の計算例

後遺障害逸失利益は、後遺障害がなければ得られたであろう将来の収入です。後遺障害によって働く力が失われたと考え、その失われた割合が後遺障害の程度に応じて基準化されています(労働能力喪失率)。

逸失利益は、以下の計算式で求めることができます。

逸失利益=年収額×労働能力喪失率×被害者の年齢に応じたライプニッツ係数

「被害者の年齢に応じたライプニッツ係数」は、国土交通省のサイトで調べることができます。

参考外部サイト:国土交通省「就労可能年数とライプニッツ係数表

そこで次の事例で実際に逸失利益を計算してみましょう。

後遺障害9級の労働能力喪失率は、35%です。

事例

被害者の年齢・性別:33歳女性
被害者の年収:480万円
被害者の後遺障害等級:9級

480万円(年収)×35%(労働能力喪失率)× 16.193(年齢33歳のライプニッツ係数)=27,204,240円

この事例で被害者が受け取ることができる逸失利益は、約2700万円です。

この被害者が同じ条件で、もし7級の認定を受けることができたとすると、7級の労働能力喪失率が56%なので、逸失利益は43,526,784円です。逸失利益だけで、1600万円以上の差がついてしまうことになります。

後遺障害9級認定のためにすべきこと

後遺障害認定の請求手続きは、被害者請求ですることをお勧めします。被害者請求とは、文字通り被害者自身が手続きを行うことですが、後遺障害認定の請求手続きにはこれ以外に、相手側の保険会社に手続きを任せる事前認定という方法があります。

被害者請求は、提出する情報を自分で管理できるメリットがあり、手続きの透明性が確保され、期待した等級の認定がなされる可能性が上がります。その一方で、事前認定に比べ手続きが煩わしいというデメリットもあります。

提出する書類の中では、後遺障害診断書が大切です。認定は、書面審査で行われるので、後遺障害診断書が審査に大きく影響するのです。

しかし、気をつけなければならないのは、医師がみな後遺障害診断書の作成に慣れているわけではないということです。

弁護士に依頼すれば、被害者請求の必要書類から作成後の後遺障害診断書のチェックまでアドバイスを受けることが可能です。

もし、被害者請求、後遺障害診断書について困っているなら、弁護士に依頼して専門家を味方につけましょう。

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後遺障害9級の慰謝料増額の裁判例

後遺障害9級の後遺障慰謝料がどれくらいまで認められるのかを知るために、裁判例を2つご覧いただきましょう。

裁判例1

大阪地裁平成27年7月17日判決

被害者は男性会社員(事故時37歳)。

顔面挫創などの傷害で、鼻翼部から唇の上にかけて5センチ以上の人目につく線状痕が残り、自賠責保険から外貌醜状9級16号に認定されました。

裁判所は次のように述べています。

  • 取引先と面談して打ち合わせをすることも被害者の仕事である
  • 線状痕は傷口に入ってしまった異物が色素沈着を起こしたもので、いわば外傷性の刺青(傷跡が青色で入れ墨に見え、相手に嫌悪感を与えると被害者は主張)
  • もっとも、入院せずに外来の手術と通院により目立たなくできるから、労働能力を喪失させるものとは評価できない
  • しかし、就労に多少なりとも不利な影響を及ぼす以上は、慰謝料の算定において斟酌するべきである

こうして入通院慰謝料80万円に加えて、後遺障害慰謝料900万円を認めました。

参考文献:自保ジャーナル1956号60頁

裁判例2

仙台地裁平成24年3月27日判決

加害者はスピード超過でカーブを曲がりきれず、対向車線にはみ出し、被害者である新婚夫婦の車に衝突しました。妻が死亡、夫の会社員(事故時24歳)には、次のとおり、多くの後遺障害が残りました。

・右手指の関節機能障害(11級9号)
・左肘関節機能障害(12級6号)
・左手のしびれ等(14級10号)
・右足関節の機能障害(12級7号)
・右足指関節の機能障害(11級10号)
・右下肢短縮障害(13級9号)
・右下肢醜状障害(12級相当)
・左下肢醜状障害(14級5号)

このように、被害者は両手、両足に後遺障害が残ってしまいました。

しかも、慢性的な抑うつ気分、不眠、易怒性(※)が生じ、精神科に通院してPTSD(14級)の後遺障害も認定されました。

これら多くの後遺障害があっても、自賠責保険では併合9級としか評価されません。

しかし、裁判所は、四肢に後遺症があるのに、例えば右下肢のみに9級の後遺障害が残った場合と同じに評価するのでは不当であって、全ての後遺障害を総合考慮しなくてはならないとし、入通院慰謝料570万円に加え、後遺障害慰謝料830万円を認めました。

参考文献:自保ジャーナル1883号59頁

※「易怒性」(いどせい):容易に興奮状態になる、怒りを発し易い症状

後遺障害9級の弁護士・裁判基準の後遺障害慰謝料の相場は、690万円です。

対して裁判所は、自賠責保険で9級と認定された被害者に対して、裁判例1で900万円、裁判例2で830万円の後遺障害慰謝料を認めました。8級の相場830万円以上です。

もともと、後遺障害慰謝料は、事故態様など個別具体に判断されるため、支払われる額は、事故によって異なりますが、裁判では、被害者のあらゆる事情を顧慮したうえで判断するので、このように相場を大幅に超える判決もあり得ます。

慰謝料が相場を大きく超えることがあることが確認できました。

慰謝料増額のための3つのポイント

弁護士に依頼すると、後遺障害認定以外にもメリットがあります。慰謝料の増額が期待できるのです。

その理由は以下3つのポイントです。

弁護士に依頼するのなら、交通事故の示談交渉や後遺障害認定の経験・知識が豊富な弁護士を選ぶことが重要になります。

あなたの損害賠償請求は、すべてどのような弁護士を選任するかにかかっています。

6.後遺障害9級の慰謝料の自動計算ツール

自分の事故のケースで、後遺障害9級の慰謝料相場を調べたい方は、慰謝料自動計算ツールをご利用ください。

通院期間や後遺障害等級を入れるだけで、より詳しく自分の慰謝料相場を弁護士基準で計算することができます。

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まとめ

今回は、後遺障害9級に認定される症状や後遺障害慰謝料の相場、適正な等級の認定を受けるためにすべきことについて解説しました。

後遺障害9級に認定されると、後遺障害慰謝料や逸失利益をはじめとした損害賠償金の請求ができますが、なるべく高額な金額の請求をするためには、交通事故に強い専門の弁護士に被害者請求の手続を相談し、示談を依頼して、慰謝料を弁護士・裁判基準で請求してもらうことが大切です。

適切な等級認定を受けて、正当な金額の補償を受けられるように、是非、交通事故の示談交渉や後遺障害認定の経験・知識が豊富な弁護士に相談してください。

交通事故に強い弁護士に無料相談できます

  1. 保険会社が提示した示談金・慰謝料に不満だ
  2. 事故の加害者・保険会社との示談交渉が進まない
  3. 適正な後遺障害等級認定を受けたい

弁護士に相談することで、これらの問題の解決が望めます。
保険会社任せの示談で後悔しないためにも、1人で悩まず、今すぐ弁護士に相談しましょう。

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