後遺障害1級の慰謝料相場と増額方法をわかりやすく解説

後遺障害1級は、後遺障害等級の中でも最も重い等級であり、これに該当する症状が残ると社会生活がほとんど不可能になってしまいます。

後遺障害1級の後遺障害慰謝料相場は、自賠責基準で1,100万円~1,600万円、弁護士・裁判基準で2,800万円ほどです。社会生活がほとんど不可能な後遺障害でこの金額は妥当なものなのでしょうか?

それでも、適正な金額に増額する方法はあります。後ほどご紹介する通り、後遺障害1級の示談金・慰謝料の相場はありますが、相場は相場です。

後遺障害1級の慰謝料相場がどれくらいなのか、後遺障害認定には何が必要で、慰謝料増額のためのポイントはどこなのか。ご自身のケースに当てはめて、しっかりと考えてみましょう。

今回は、後遺障害1級の慰謝料・示談金の相場と認定のためにすべきこと、慰謝料増額のためにすべきことについて解説します。

後遺障害1級の代表的な症状と慰謝料

後遺障害1級の代表的な症状と慰謝料相場は以下の通りです。

常時介護を要する後遺障害
1級1号神経系統の機能・精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
1級2号胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
介護を要しない後遺障害
1級1号両目が失明したもの
1級2号咀嚼・言語機能を廃したもの
1級3号両上肢をひじ関節以上で失ったもの
1級4号両上肢の用を全廃したもの
1級5号両下肢をひざ関節以上で失ったもの
1級6号両下肢の用を全廃したもの
1級の後遺障害慰謝料
自賠責基準任意保険基準(※)弁護士基準
常時介護を要する後遺障害1,300万円程度2,800万円程度
1,600万円程度
介護を要しない後遺障害
1,100万円程度

慰謝料の計算方法には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士・裁判基準の3つの基準があり、自賠責基準から順に高額となっていきます。

表から分かる通り、自賠責基準と弁護士・裁判基準とでは金額に2倍以上の開きが出てしまいます。

自賠責基準は公的な自賠責保険による最低の補償額を定めたものに過ぎません。

これに対し、弁護士・裁判基準は、賠償金額を最終的に決定する権限のある裁判所の基準ですから、これが唯一の正しい基準なのです。

自賠責基準の金額だけで満足してしまえば、本来受け取ることができたはずの賠償金を失う結果となります。

後遺障害1級で、正しい金額の損害賠償金を受け取るためには、弁護士・裁判基準を利用する必要があります。

※任意保険基準については、一般に公開されていないので、旧任意保険の統一支払基準を参考に記載しています。

後遺障害1級の逸失利益の計算例

後遺障害逸失利益は、後遺障害がなければ得られたであろう将来の収入です。後遺障害によって働く力が失われたと考え、その失われた割合が後遺障害の程度に応じて基準化されています(労働能力喪失率)。

逸失利益は、以下の計算式で求めることができます。

逸失利益=年収額×労働能力喪失率×被害者の年齢に応じたライプニッツ係数

「被害者の年齢に応じたライプニッツ係数」は、以下の国土交通省のサイトで調べることができます。

参考外部サイト:国土交通省「就労可能年数とライプニッツ係数表

そこで以下のケースで逸失利益を計算してみましょう。

1級の労働能力喪失率は、100%です。

事例

被害者の年齢・性別:35歳男性
被害者の年収:500万円
被害者の後遺障害等級:1級2号

500万円(年収)×100%(労働能力喪失率)×15.803(年齢35歳のライプニッツ係数)=79,015,000円

つまり上記の後遺障害1級の場合、約7,900万円の逸失利益を獲得することとなります。

7,900万円と聞くと大金のような気がしますが、35歳から一般的な定年の年齢である65歳まで年収500万円を維持して健康で働くことができた場合、1億5000万円となります。

被害者やそのご家族にとって、決して過大な金額でないことがお分かりいただけると思います。

後遺障害1級認定のためにすべきこと

被害者請求が重要ポイント

適正な後遺障害等級の認定を受けるには、後遺障害認定の請求手続きを被害者自身で行う被害者請求という方法と、申請の際に提出する後遺障害診断書がカギを握ります。

被害者請求は、相手側の保険会社に請求手続きをお任せしてしまう事前認定と異なり、手続きは面倒ですが、その分、提出資料の内容を精査することができます。

後遺障害1級の認定のためには、被害者請求を弁護士に任せるとよいでしょう。

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後遺障害診断書は重要になります

また、後遺障害診断書は、その内容が認定の審査で重要な役割を演じます。

医学的知識が豊富で手続きに詳しい弁護士なら、被害者請求でどのような書類が必要でどこで入手できるかから、後遺障害障害診断書作成前のアドバイスや作成後のチェックまで相談・依頼することができます。結果として適正な等級認定の可能性がアップします。

1級相当の後遺障害が残った場合は、何らかの後遺障害認定を受けるられることは間違いないでしょう。問題は、適正な等級認定を受けられるかどうかです。

後遺障害診断書の作成に慣れていない医師もいます。後遺障害診断書に納得がいかない場合、医師に書き直しを要求できます。

多くの弁護士事務所で後遺障害診断書のチェックなどを含めた後遺障害等級認定のサポートをしています。

そのためには、交通事故に強い弁護士への依頼をお勧めします。

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後遺障害1級の慰謝料増額の事例

裁判で後遺障害1級の慰謝料が増額した事例をご覧いただきます。同じ後遺障害1級でも実際に支払われる慰謝料額がこれだけ増額されることがあるのをご確認いただくためです。

裁判例1

東京地裁平成15年8月28日判決

被害者は会社員女性(事故時21歳、独身)。開放性脳損傷、脳挫傷、右眼球破裂という重傷を負い、高次脳機能障害、左片麻痺、外傷性てんかん(後遺障害1級)、右眼摘出(後遺障害8級1号)の後遺障害により併合1級を認定されました。

  • 脳の一部をえぐり取られる重い傷害
  • 生死の境をさまよい大手術を6回も受けた
  • 頭蓋骨の陥没により外貌にも著しい醜状が残ってしまった
  • 現在でも服薬を忘れると脳痙攣(けいれん)を起こして死亡する危険がある
  • 生涯にわたって常時介護が必要となる

以上の諸事情を考慮して、入通院慰謝料480万円に加えて、後遺障害慰謝料本人分3,200万円、後遺障害慰謝料両親分800万円を認めました。

参考文献:判例時報1839号110頁、交通事故民事裁判例集36巻4号1091頁

裁判例2

さいたま地裁平成22年9月27日判決

被害者は米国の大学留学から一時帰国した男性(症状固定時32歳)。脊髄損傷による両下肢完全麻痺、座骨粉砕骨折による膀胱・直腸障害により後遺障害1級1号(常時要介護)を認定されました。

  • 事故は加害者の危険な「あおり行為」が原因である(加害車両が、被害車両の後方から、車間距離を6メートルしか置かず、時速70~80キロの高速で、約10分間にわたって追い回した結果、被害者が運転を誤ってしまった)
  • 今後も3回の手術が予定されている
  • 毎日、カテーテルで尿を排出しなくてはならないが、その際、座薬、消炎剤などの薬剤を将来にわたって使用する必要性がある

以上の諸事情を考慮して、入通院慰謝料328万円に加えて、後遺障害慰謝料本人分3,000万円、後遺障害慰謝料両親分800万円を認めました。

参考文献:交通事故民事裁判例集43巻5号1232頁

後遺障害1級の弁護士・裁判基準の慰謝料相場は、2,800万円ですが、これら裁判例は、それを大きく超えています。

相場はあくまで相場です。実際の後遺障害1級の後遺障害慰謝料は、個別具体的にその事故態様などによって判断されます。

特に裁判では、損害賠償について機械的な取り扱いをする自賠責保険と異なり、後遺障害の内容はもとより、被害者の性別や年齢、職業の内容、生活状況など、あらゆる事情を総合的に考慮するので、より上級の賠償額が認められることがあるのです。

慰謝料増額のための3つのポイント

弁護士に相談、依頼することをお勧めする理由には、他にも以下のようなものがあるからです。

慰謝料の大幅な増額を勝ち取るためには、弁護士に依頼して、弁護士基準で示談交渉を行うことが重要です。

そのためには、医学的な知識や、後遺障害診断書作成のサポート経験が豊富で、後遺障害認定に強い弁護士を選ぶことこそが大切です。

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後遺障害1級の慰謝料の自動計算ツール

自分の事故のケースで、後遺障害1級の慰謝料相場を調べたい方は、慰謝料自動計算ツールをご利用ください。

通院期間や後遺障害等級を入れるだけで、より詳しく自分の慰謝料相場を弁護士基準で計算することができます。

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まとめ

今回は、後遺障害1級の慰謝料の相場や認定のためにすべきこと、慰謝料増額のためにすべきことについて解説しました。

後遺障害1級には、要介護の症状と介護を必要としない症状がありますが、いずれにしても労働能力喪失率100%という非常に重篤なケースです。

社会生活がほとんど不可能な後遺障害が残るため、きちんと認定を受けてしっかりと補償を受ける必要があります。

交通事故に強い弁護士や良い専門医に相談しながら、適切に後遺障害認定の手続を進めましょう。

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弁護士に相談することで、これらの問題の解決が望めます。
保険会社任せの示談で後悔しないためにも、1人で悩まず、今すぐ弁護士に相談しましょう。

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