後遺障害13級とは|1号~11号の症状・慰謝料金額を徹底解説

後遺障害13級1号~11号の認定を受けると、弁護士基準に基づいて180万円の後遺障害慰謝料に加えて、逸失利益の請求が可能になります。

そのため、正確な慰謝料の金額相場や概算を理解し、後遺障害認定の要点、慰謝料増額の方法を把握することが極めて重要です。

以下では、後遺障害13級とは何か、自賠責保険において13級1号~11号の後遺障害認定を受けた場合の慰謝料や示談金の一般的な範囲、逸失利益、認定を受けるためのステップ、症状や障害者手帳、内蔵損傷・内臓破裂などについても詳しく解説いたします。

関連記事
交通事故によって内臓に損傷
交通事故と内臓(肝臓など)損傷の後遺症|等級や慰謝料について徹底解説!
交通事故で脾臓や肝臓、腎臓などの内臓を損傷した場合、適正な損害賠償請求が重要です。損害賠償請求においては、どのような…[続きを読む]

自賠責の後遺障害等級13級1号~11号の症状と慰謝料

自賠責保険の後遺障害13級1号~11号1号~11号として認められる症状と慰謝料相場を下表にまとめてみました。

等級 症状
13級1号 1眼の視力が0.6以下になったもの
13級2号 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの
13級3号 1眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
13級4号 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
13級5号 5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
13級6号 1手のこ指の用を廃したもの
13級7号 1手のおや指の指骨の一部を失ったもの
13級8号 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの
13級9号 1足の第3の足指以下の1又は2の足指を失ったもの
13級10号 1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの
13級11号 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの

例えば、13級4号は、まぶたに欠損がおこったり、まつげが半分未満、はげてしまったりした場合に認定されます。一方、まぶたを閉じても黒目の部分を覆うことができなくなってしまったような「著しい欠損」が1眼にある場合は11級3号、両眼にある場合は、9級4号というふうに等級が上がります。

後遺障害認定されると「障害者手帳」は交付されるか

13級の症状・基準については、上表の通りです。

ただ、障害者手帳が交付されるかどうかは、以下のように考える必要があります。

身体障害者手帳は「身体障害者福祉法」に基づくもので、たとえ後遺障害認定を受けても、条件を満たさないと認定されるとは言えないということです。

障害者手帳の交付されるかどうか気になる方は必ず「身体障害者障害程度等級表(身体障害者福祉法施行規則別表第5号)」を読んで、6級以上の要件を満たすかどうかをご確認ください。

ただ、下記に示すとおり、手帳が発行されずとも、「後遺障害慰謝料」や「逸失利益」などで損害の賠償を請求することは可能です。

後遺障害等級13級の慰謝料の金額相場

後遺障害13級の後遺障害慰謝料の金額相場
自賠責基準 任意保険基準(※) 弁護士・裁判基準
57万円程度 60万円程度 180万円程度

13級1号~11号の後遺障害慰謝料は、自賠責基準と弁護士・裁判基準とで、3倍以上の金額の差があることが上表からわかります。

弁護士・裁判基準は、3つの計算基準のうちで最も高額な基準で、裁判例を基に策定された実際の裁判でも用いられる基準であり、唯一法的に妥当な基準と言えます。

関連記事
交通事故の慰謝料を弁護士基準表で自分で計算!弁護士基準にするには
弁護士基準について解説します。日額いくらか、通院日数との関係、自分で弁護士基準にできるか?を後遺障害14級慰謝料、追…[続きを読む]

※任意保険基準については旧任意保険の統一支払基準を参考。

後遺障害13級6号・11号の内蔵損傷などの事例

後遺障害13級1号~11号の裁判例を2つご覧いただきます。13級相当の後遺障害慰謝料がどれくらいまで認められるのかご確認ください。

裁判例1 

札幌地裁平成13年11月21日判決

被害者は主婦(67歳)。

左手の母指(親指)を動かす長母指伸筋腱の断裂などの傷害を受けました。

左手関節の可動域低下、握力低下、巧緻な運動の困難(※)、しびれの残存という障害が残り、缶切りが使用できない、力を入れる仕事が困難、雑巾がけの後などには強烈なしびれと痛みを感じるという不便が生じていました。

裁判所は、この障害を13級6号(1手のこ指の用を廃したもの)に相当すると判断したうえで、後遺障害によって、被害者が約30年間習っていた能管の演奏ができなくなり、小鼓の演奏は長時間続けられなくなったことを指摘しました。

このことから裁判所は、入通院慰謝料210万円に加えて、後遺障害慰謝料300万を認めました

参考文献:自保ジャーナル1441号14頁

※ボタンをとめる、箸を使うなどの細かい運動を巧緻運動といいます。

裁判例2 

横浜地裁川崎支部平成28年5月31日判決

被害者は女児(事故時及び症状固定時3歳)。

頭部骨折など多くの傷害で生死が危ぶまれ、ICU治療で一命を取りとめましたが、左腎臓の機能を喪失し、自賠責保険により13級11号(腹部臓器の機能障害)の後遺障害に認定されました。

裁判所は次のとおり判断しました。

  • 成人に達するまで定期的な検査、受診が必要とされ、現在も半年から年1回の頻度で通院をしている
  • 腎機能低下による高血圧や残存している左腎臓の合併症が出てくる場合は、外来受診の頻度が増えたり、入院が必要となる可能性もある
  • 医師からは、発熱したときは腎機能に影響を与える病気の可能性があるので注意するよう指示されており、風邪が原因と思われるような発熱であっても通院治療しなくてはならない負担がある
  • 今後、腎機能の全廃の危険性などの不安を抱えながら生活してゆくことを余儀なくされる

これらの事情から、入通院慰謝料120万円に加えて、後遺障害慰謝料230万円を認めました

参考文献:交通事故民事裁判例集49巻3号682頁

上記2つの裁判例は、後遺障害13級の後遺障害慰謝料相場180万円を超えています。12級の相場は290万円ですから、裁判例1で認められた後遺障害慰謝料は12級の金額相場をも超えています。

後遺障害慰謝料は、個別具体的に判断されるので、実際に支払われる額は、同じ等級だとしても事故によって違います。

機械的に処理する自賠責と異なり、特に裁判の場合は、被害者のあらゆる事情を勘案して判断するので、相場を超えることもあり得るのです。

増額理由となる事実をすべて明らかにして主張できるかが、慰謝料増額のカギとなります。

関連記事
交通事故によって内臓に損傷
交通事故と内臓(肝臓など)損傷の後遺症|等級や慰謝料について徹底解説!
交通事故で脾臓や肝臓、腎臓などの内臓を損傷した場合、適正な損害賠償請求が重要です。損害賠償請求においては、どのような…[続きを読む]

後遺障害13級の逸失利益の計算例

後遺障害逸失利益は、後遺障害が残らなければ得られたであろう将来の収入です。

実際の逸失利益の算定には、以下の計算式を用います。13級の労働能力喪失率は9%です。

逸失利益 = 年収額 × 労働能力喪失率 × 被害者の年齢に応じたライプニッツ係数*

*「被害者の年齢に応じたライプニッツ係数」は、国土交通省のサイトで参照可能「就労可能年数とライプニッツ係数表

後遺障害13級の逸失利益の計算例

事例

被害者の年齢・性別:47歳女性
被害者の年収:850万円
被害者の後遺障害等級:13級

850万円(年収)×9%(労働能力喪失率)× 14.877(年齢47歳のライプニッツ係数*)=1138万0905

*2020年3月31日以前に発生した事故については、12.462で計算

このケースで被害者は、約1140 万円の逸失利益を手にすることができます。

仮に、この被害者が同じ条件で11級の認定を受けることができたなら、11級の労働能力喪失率が20%なので、逸失利益は、25,290,900円です。

認定される等級によって大きく金額が異なる事がわかります。

自分の事故のケースで、後遺障害13級の慰謝料相場・逸失利益を調べたい方は、自動計算機を利用するのが良いでしょう。

後遺障害等級や症状固定時の年齢などを入力すると、慰謝料相場・逸失利益を弁護士基準で計算することができます。

関連記事
calc_317x207
交通事故慰謝料の自動計算機【2024年最新おすすめ】
交通事故慰謝料シミュレーター|計算ツール 交通事故の慰謝料を自動計算機であり、シミュレーターできる計算ツールをご紹介…[続きを読む]

交通事故で後遺障害13級認定のためにすべきこと

被害者請求で認定される可能性を上げる

後遺障害の認定は「被害者請求」で行い、納得できる等級で認定される可能性を上げましょう。

請求手続を相手側の保険会社に任せる「事前認定」と比べ、手続自体は煩雑ですが、提出すべき情報を自分でコントロールすることが可能であることから、手続きの透明性が確保でき、納得できる等級の認定を受けられる可能性が上がります。

関連記事
被害者請求でするメリット・デメリット
後遺障害の被害者請求|申請・認定の流れ・期間・必要書類を解説
交通事故の後遺障害等級認定は、事前認定より被害者請求がなぜよいのかご存知ですか? 今回は後遺障害等級認定申請の「被害…[続きを読む]

後遺障害診断書が審査に大きく影響

また、後遺障害の認定は書面審査で行われるため、後遺障害診断書の内容は、審査に大きく影響するので重要です。

特に、弁護士に依頼すれば、医師に作成を依頼する前にアドバイスを受けることも可能ですし、作成後にチェックをしてもらうこともできます。

等級の認定を諦めず、しっかりと後遺障害認定の請求手続きをしましょう。

異議申し立て、裁判などは弁護士に依頼

弁護士に依頼するメリットは、慰謝料増額の可能性がアップするだけではありません。

異議申し立てや裁判などでも力を発揮してくれます。以下3つのポイントで弁護士があなたをサポートします。

そこで大切なのが、交通事故に詳しい弁護士を選択することです。

交通事故の医学的知識を持った後遺障害認定などの手続きに詳しい弁護士であれば、あなたの力になってくれるでしょう。

後遺障害13級の慰謝料などお金の自動計算ツール

自分の事故のケースで、後遺障害13級の慰謝料相場などのお金について調べたい方もいらっしゃることでしょう。

下記の慰謝料自動計算機で、必要なデータを入力すると、より詳しくご自身の慰謝料相場を弁護士基準で計算することができます。

関連記事
calc_317x207
交通事故慰謝料の自動計算機【2024年最新おすすめ】
慰謝料自動計算ツールを使うと、通院期間や後遺障害等級を入れるだけで、弁護士基準の慰謝料相場を知ることができます。保険…[続きを読む]

後遺障害13級のよくある質問

後遺障害等級13級の後遺障害慰謝料金額相場は?

後遺障害13級の場合、後遺障害慰謝料の相場も自賠責基準で57万円程度、弁護士・裁判基準で180万円程度です。

後遺障害等級13級に認定されたらどうなるの?

後遺障害等級13級が認定されたら、「後遺症部分の損害」を相手方に請求できます。

後遺障害等級13級の自賠責基準で57万円程度であり、被害者請求により先取りできます。 そして、不足している損害額を相手方に請求することになります。

まとめ

今回は、後遺障害等級13級の症状、慰謝料金額相場・逸失利益計算や認定のためにすべきこと、慰謝料増額のためにすべきことについて解説しました。

後遺障害13級が認められるケースはさまざまですが、微妙な診断内容によって認定される等級が変わることもあります。

後遺障害の等級認定請求をする際に、交通事故に強い弁護士に認定手続きを依頼すると、結果的に高い等級での認定が受けられて、高額な損害賠償金を請求できることもあります。

後遺障害等級認定において強力な味方となる弁護士に是非相談してみてください。

関連記事
交通事故に強い弁護士に相談する前に必ず知るべき評判と口コミ【2023年版】
交通事故に強い弁護士に相談する前に必ず知るべき評判と口コミ【おすすめ!】
弁護士の口コミの評判にどう向き合えばよいのでしょうか?交通事故の弁護士選びで、口コミや人気ランキングの評判にだけで判…[続きを読む]

交通事故に強い弁護士に無料相談できます

  1. 保険会社が提示した示談金・慰謝料に不満だ
  2. 事故の加害者・保険会社との示談交渉が進まない
  3. 適正な後遺障害等級認定を受けたい

弁護士に相談することで、これらの問題の解決が望めます。
保険会社任せの示談で後悔しないためにも、1人で悩まず、今すぐ弁護士に相談しましょう。

交通事故の無料相談ができる事務所
【東京都・港区・六本木】
ベリーベスト法律事務所
  • 初回無料相談
  • 土日対応可能
  • 慰謝料無料診断
全国対応の「交通事故専門チーム」によるサポートが特徴の法律事務所です。まずは、交通事故専門チームによる「慰謝料無料診断」をご利用下さい。
交通事故でお悩みなら今すぐ弁護士相談
050-5267-6329
[電話受付]平日 9:30~21:00 土日祝 9:30~18:00
都道府県から交通事故に強い弁護士を探す
監修
弁護士相談Cafe編集部
本記事は交通事故弁護士カフェを運営するエファタ株式会社の編集部が執筆・監修を行いました。
この監修者の記事一覧
この記事が役に立ったらシェアしてください!