交通事故の慰謝料を弁護士基準表で計算!金額を増額するには?
交通事故に遭ったら、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3種類の慰謝料を請求することができます。また、算出する…[続きを読む]
後遺障害13級の認定を受けることができれば、弁護士・裁判基準で180万円の後遺障害慰謝料に加え、逸失利益を請求することが可能です。
そのため、しっかりと適切な慰謝料の金額相場を知り、認定のポイント、慰謝料の増額方法を知ることは重要です。
今回は、13級に認定された場合の慰謝料や示談金の相場、認定されるためには何をすべきか、また症状や障害者手帳などをご紹介致します。
自賠責保険の後遺障害13級として認められる症状と慰謝料相場を下表にまとめてみました。
等級 | 症状 |
---|---|
13級1号 | 1眼の視力が0.6以下になったもの |
13級2号 | 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの |
13級3号 | 1眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの |
13級4号 | 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの |
13級5号 | 5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの |
13級6号 | 1手のこ指の用を廃したもの |
13級7号 | 1手のおや指の指骨の一部を失ったもの |
13級8号 | 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの |
13級9号 | 1足の第3の足指以下の1又は2の足指を失ったもの |
13級10号 | 1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの |
13級11号 | 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの |
例えば、13級4号は、まぶたに欠損がおこったり、まつげが半分未満、はげてしまったりした場合に認定されます。一方、まぶたを閉じても黒目の部分を覆うことができなくなってしまったような「著しい欠損」が1眼にある場合は11級3号、両眼にある場合は、9級4号というふうに等級が上がります。
13級の症状・基準については、上表の通りです。
ただ、障害者手帳が交付されるかどうかは、以下のように考える必要があります。
身体障害者手帳は「身体障害者福祉法」に基づくもので、たとえ後遺障害認定を受けても、条件を満たさないと認定されるとは言えないということです。
障害者手帳の交付されるかどうか気になる方は必ず「身体障害者障害程度等級表(身体障害者福祉法施行規則別表第5号)」を読んで、6級以上の要件を満たすかどうかをご確認ください。
ただ、下記に示すとおり、手帳が発行されずとも、「後遺障害慰謝料」や「逸失利益」などで損害の賠償を請求することは可能です。
後遺障害13級の後遺障害慰謝料の金額相場 | ||
---|---|---|
自賠責基準 | 任意保険基準(※) | 弁護士・裁判基準 |
57万円程度 | 60万円程度 | 180万円程度 |
13級の後遺障害慰謝料は、自賠責基準と弁護士・裁判基準とで、3倍以上の金額の差があることが上表からわかります。
弁護士・裁判基準は、3つの計算基準のうちで最も高額な基準で、裁判例を基に策定された実際の裁判でも用いられる基準であり、唯一法的に妥当な基準と言えます。
※任意保険基準については旧任意保険の統一支払基準を参考。
後遺障害13級の裁判例を2つご覧いただきます。13級相当の後遺障害慰謝料がどれくらいまで認められるのかご確認ください。
裁判例1
札幌地裁平成13年11月21日判決
被害者は主婦(67歳)。
左手の母指(親指)を動かす長母指伸筋腱の断裂などの傷害を受けました。
左手関節の可動域低下、握力低下、巧緻な運動の困難(※)、しびれの残存という障害が残り、缶切りが使用できない、力を入れる仕事が困難、雑巾がけの後などには強烈なしびれと痛みを感じるという不便が生じていました。
裁判所は、この障害を13級6号(1手のこ指の用を廃したもの)に相当すると判断したうえで、後遺障害によって、被害者が約30年間習っていた能管の演奏ができなくなり、小鼓の演奏は長時間続けられなくなったことを指摘しました。
このことから裁判所は、入通院慰謝料210万円に加えて、後遺障害慰謝料300万円を認めました
参考文献:自保ジャーナル1441号14頁
※ボタンをとめる、箸を使うなどの細かい運動を巧緻運動といいます。
裁判例2
横浜地裁川崎支部平成28年5月31日判決
被害者は女児(事故時及び症状固定時3歳)。
頭部骨折など多くの傷害で生死が危ぶまれ、ICU治療で一命を取りとめましたが、左腎臓の機能を喪失し、自賠責保険により13級11号(腹部臓器の機能障害)の後遺障害に認定されました。
裁判所は次のとおり判断しました。
これらの事情から、入通院慰謝料120万円に加えて、後遺障害慰謝料230万円を認めました
参考文献:交通事故民事裁判例集49巻3号682頁
上記2つの裁判例は、後遺障害13級の後遺障害慰謝料相場180万円を超えています。12級の相場は290万円ですから、裁判例1で認められた後遺障害慰謝料は12級の金額相場をも超えています。
後遺障害慰謝料は、個別具体的に判断されるので、実際に支払われる額は、同じ等級だとしても事故によって違います。
機械的に処理する自賠責と異なり、特に裁判の場合は、被害者のあらゆる事情を勘案して判断するので、相場を超えることもあり得るのです。
増額理由となる事実をすべて明らかにして主張できるかが、慰謝料増額のカギとなります。
後遺障害逸失利益は、後遺障害が残らなければ得られたであろう将来の収入です。
実際の逸失利益の算定には、以下の計算式を用います。13級の労働能力喪失率は9%です。
*「被害者の年齢に応じたライプニッツ係数」は、国土交通省のサイトで参照可能「就労可能年数とライプニッツ係数表」
事例
被害者の年齢・性別:47歳女性
被害者の年収:850万円
被害者の後遺障害等級:13級
850万円(年収)×9%(労働能力喪失率)× 14.877(年齢47歳のライプニッツ係数*)=1138万0905円
*2020年3月31日以前に発生した事故については、12.462で計算
このケースで被害者は、約1140 万円の逸失利益を手にすることができます。
仮に、この被害者が同じ条件で11級の認定を受けることができたなら、11級の労働能力喪失率が20%なので、逸失利益は、25,290,900円です。
認定される等級によって大きく金額が異なる事がわかります。
自分の事故のケースで、後遺障害13級の慰謝料相場・逸失利益を調べたい方は、自動計算機を利用するのが良いでしょう。
後遺障害等級や症状固定時の年齢などを入力すると、慰謝料相場・逸失利益を弁護士基準で計算することができます。
後遺障害の認定は「被害者請求」で行い、納得できる等級で認定される可能性を上げましょう。
請求手続を相手側の保険会社に任せる「事前認定」と比べ、手続自体は煩雑ですが、提出すべき情報を自分でコントロールすることが可能であることから、手続きの透明性が確保でき、納得できる等級の認定を受けられる可能性が上がります。
また、後遺障害の認定は書面審査で行われるため、後遺障害診断書の内容は、審査に大きく影響するので重要です。
特に、弁護士に依頼すれば、医師に作成を依頼する前にアドバイスを受けることも可能ですし、作成後にチェックをしてもらうこともできます。
等級の認定を諦めず、しっかりと後遺障害認定の請求手続きをしましょう。
弁護士に依頼するメリットは、慰謝料増額の可能性がアップするだけではありません。
異議申し立てや裁判などでも力を発揮してくれます。以下3つのポイントで弁護士があなたをサポートします。
そこで大切なのが、交通事故に詳しい弁護士を選択することです。
交通事故の医学的知識を持った後遺障害認定などの手続きに詳しい弁護士であれば、あなたの力になってくれるでしょう。
今回は、後遺障害等級13級の症状、慰謝料金額相場・逸失利益計算や認定のためにすべきこと、慰謝料増額のためにすべきことについて解説しました。
後遺障害13級が認められるケースはさまざまですが、微妙な診断内容によって認定される等級が変わることもあります。
後遺障害の等級認定請求をする際に、交通事故に強い弁護士に認定手続きを依頼すると、結果的に高い等級での認定が受けられて、高額な損害賠償金を請求できることもあります。
後遺障害等級認定において強力な味方となる弁護士に是非相談してみてください。