自転車事故の加害者が中学生、未成年だった場合に気をつけるべきこと
自転車事故の加害者が未成年であった場合に、未成年に責任を問うことができるのか、できるとしたら誰に損害賠償請求を行うべ…[続きを読む]
交通事故の被害に遭ったとき、「加害者の家族はどんな運命をたどるのだろう?」と疑問を持つことがあります。
今回は交通事故の加害者家族になったらどのようなことが起こるのか、ご紹介していきます。
目次
まず、被害者として気になるのは「加害者の家族が本人の代わりに民事上の損害賠償義務を負ってくれることはあるのか?」ということではないでしょうか。
交通事故では、基本的に加害者の家族が損害賠償責任を負うことはありません。
交通事故によって民事上発生する負債は、「不法行為にもとづく損害賠償義務」です。損害賠償は、不法行為を行った本人に発生する責任であり、事故を起こしていない家族には無関係です。
加害者家族が、事故の損害賠償を無視しても法的には問題ありません。
しかし、これにも例外はあります。
12歳~13歳以下の子どもが自転車事故を起こした場合などには、親の責任が問われる可能性が高くなります。
12歳くらいまでの子どもには「責任能力」がなく、本人は損害賠償義務を負いません。その代わり「監督者」である親が損害賠償責任を負わねばならないことになります。
小学生以下の子どもが自転車で交通事故を起こして誰かに怪我をさせたら、親が被害者に高額な賠償金を支払わねばならないことになります。
運転者に飲酒を勧めた場合や、運転者が飲酒しており正常に運転できないことをを知りながら、同乗者が運転を制止しなかった場合、危険な運転を煽った場合などには、飲酒を勧めた者や同乗者にも責任が発生する可能性があります。
例えば、運転者に飲酒を勧めた家族や、飲酒によって危険な運転をすることをわかっていながら同乗していた家族には、賠償義務が発生することがあります。
この場合、同乗者も本人と共同して交通事故を発生させたと言えるからです。共同して1つの不法行為を行った場合、連帯して損害賠償義務を負います。
例えば、家族が飲酒運転を知って同乗していた場合、損害賠償義務を負うだけではなく「道路交通法違反」となって刑罰を受ける可能性もあります。
運転者が酩酊状態となって酒酔い運転をしていたら「3年以下の懲役または50万円以下の罰金刑」、運転者が酒気帯び運転をしていたら「2年以下の懲役または30万円以下の罰金刑」が適用されます。
加害者が借りた車で事故を起こした場合には、所有者も損害賠償責任を問われる可能性があります。
例えば、息子が父名義の車を乗り回していて人にけがをさせたケースです。
この場合、父には車の所有者に認められる「運行供用者責任」が発生します。運行供用者責任とは、自賠法という法律によって事故で人が死傷した場合に車の所有者などに認められる特別の責任です。
死亡事故も含め人身事故が起これば、車の所有者も「運行供用者責任」によって加害者本人と連帯して賠償金を支払う必要があります。
上記の例で言えば、被害者は、息子にも父親にも全額の賠償金を請求できます。
親が交通事故の加害者となったケースでも考え方は変わりません。
基本的には、親が起こした交通事故について、子供が民事上の責任を問われることはありません。
ただし、上述の通り、親が子供の車で事故を起こしたケースや、親が飲酒運転する車に子供が同乗していたようなケースでは、親が起こした人身事故であっても、年齢によっては損害賠償義務が子供に及びます。
近年では、高齢者による危険な交通事故が増加して社会問題となっています。高齢者が事故を起こしたとき、同居していた家族には、厳しい目が向けられます。
上記のような批判を受けるのはやむを得ないでしょう。
ただし、高齢者が運転をして事故を起こしたとしても、あくまで事故を起こした本人が損害賠償責任や刑事責任を負い、同居の家族が当然に何らかの法的な責任を負うわけではありません。
もっとも、本人が認知症にかかっていて判断能力が無くなっていることを知りながら、家族が放置しており、自動車のキーを渡して運転させていたケースでは、家族自身に不法行為が成立する可能性があります。
また、加害者が、家族の一員が名義を持つ車を運転して事故を起こした場合、その家族には運行供用者責任が発生します。
交通事故が発生したとき、加害者の家族はどのように対応すべきなのでしょうか?
先述した通り、交通事故では、原則として家族に損害賠償義務は発生せず、「交通事故を起こした加害者の家族」というだけの立場です。
加害者の家族は、賠償金を支払う必要がなく、謝罪やお見舞いをしなかったからといって責められるべきではありません。
家族に監督者責任や運行供用者責任、共同不法行為責任が発生するケースでは、該当する家族も「加害者」となり、他人事では済みなません。
該当する家族も、賠償金を支払う義務を負い、積極的に被害者への謝罪やお見舞いなどを行う必要があります。
通常は、保険会社に支払いを任せますが、自転車事故や保険未加入で保険が適用されない場合などには、自腹で賠償金を払わねばならない可能性もあります。
しかし、加害者家族に法的な責任がなくても、対応すべきケースがあります。日本では個人の責任であっても、加害者家族の責任を問う傾向があるからです。特に同居の配偶者の場合「知らない」というわけにはいかないでしょう。
また、中学生や高校生が起こした交通事故では、加害者本人に責任能力あり親に法的責任がないとしても、親が「知らない顔」をしていたら、被害者を始め、世間は「非常識」と考えます。
そこで、親としては加害者である子どもと一体となり、被害者に謝罪やお見舞いをしたりしなければなりません。
交通事故が発生したとき、加害者の家族が解雇されたり破産したりする可能性はあるのでしょうか?
交通事故を起こしたことは法律上、解雇理由になりません。加害者本人すら、交通事故を理由に解雇することができないのですから、加害者の家族が解雇される必要性は全くありません。
家族が自営業などのケースでも、息子や親、配偶者などの家族が起こした交通事故を理由に廃業する必要はないでしょう。
ただし、「解雇理由に該当しない」、「廃業する必要がない」というだけで、現実に職を失うことがないというわけではありません。職場で同僚や得意先と顔を合わせることが辛くなり、自ら去っていしまうことも考えらるでしょう。
家族が交通事故を起こしたからと言って、破産しなければならない状況にはなりません。先に説明した通り、加害者の家族には損害賠償義務が発生しませんまた、多くのケースでは任意保険が適用され、加害者本人が賠償金を支払う必要もありません。
ただし以下のような場合には、家族が破産しなければならない可能性があります。
責任無能力の子供が起こした事故では、親の監督責任が問われます。
例えば、自転車保険に未加入の小学生の子が、重大な後遺傷害が残る事故や死亡事故を起こした場合には、賠償金を親が負担しなければならず、結果的に破産してしまう可能性があります。
この場合、車の所有者である家族に運行供用者責任が発生します。
加害者が任意保険に入っていなかった場合には、車の所有者である家族も加害者と共に破産しなければならない可能性があります。
家族が飲酒運転を黙認していた場合や飲酒運転、危険運転を煽っていた場合などには家族にも責任が発生します。任意保険に入っていなかった場合や保険適用外となる場合には、家族と加害者が共に自己破産しなければならない可能性があります。
交通事故の加害者の家族が償いをするとき、どういった対応をしているでしょうか?
家族に監督者責任や運行供用者責任などの責任が発生するときには、家族も損害賠償金を払います。
家族に飲酒運転の幇助などが発生すれば、家族自身が刑事罰を科せられて懲役刑や罰金刑を受ける可能性があり、社会からも厳しい目を向けられます。
被害者に謝罪したりお見舞いをする必要もあります。
家族に法的な責任がない場合、賠償金の支払いや刑事罰による償いは不要です。
そうはいっても、被害者に対して謝罪が必要になるケースや、世間から厳しい目を向けられ、肩身の狭い思いをすることもあるでしょう。交通事故が大々的に報道された場合には、嫌がらせを受ける可能性もあります。
小さな交通事故の場合には加害者本人にも家族にもほとんど影響がありませんが、被害者に後遺障害が残るケースや死亡死亡してしまったケースでは、加害者家族も無縁ではいられません。
交通事故が起こった時、法的な対応と道義的な対応の切り分けは必要ですが、家族としても適切な対応も望まれます。
謝罪や誠意の伝え方を知り、せめてものお詫びの気持ちを家族してする必要があるでしょう。
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