もしも交通事故の加害者家族になってしまったら

加害者の家族

交通事故に遭ったとき「加害者の家族はどんな運命をたどるのだろう?」とふと気になりませんか?

  • 家族も加害者と同じように苦しむのだろうか?
  • 何の影響も受けずに普通に暮らせるのだろうか?
  • 職を失ったり破産したりしてしまうことはあるのだろうか?
  • 賠償金を肩代わりするケースは?

今回は交通事故の加害者家族になったらどのようなことが起こるのか、一般的なケースをもとにご紹介していきます。

加害者の家族は損害賠償義務を負うのか?

まず、被害者として気になるのは「加害者の家族が本人の代わりに損害賠償義務を負うことはあるのか?」ということでしょう。

基本は、家族に責任なし

一般的な交通事故では、加害者の家族が損害賠償義務を負うことはありません

交通事故によって発生する負債は「不法行為にもとづく損害賠償義務」です。

これは、不法行為を行った本人に発生する責任であり、事故を起こしていない家族には無関係です。

加害者家族が、事故の賠償問題を完全に無視していても法的に問題ありません。

例外:子供が起こした事故の場合

ただし12歳以下の子どもが自転車事故を起こした場合には、親に責任がかかる可能性が高くなります。

12歳くらいまでの子どもには「責任能力」がなく、本人は損害賠償義務を負いません。その代わりに「監督者」である親が損害賠償責任を負わねばならないからです。

小学生以下の子どもが自転車で交通事故を起こして誰かにけがをさせたら、親が被害者に高額な賠償金を支払わねばならないケースがあります。

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例外:家族の所有車で事故を起こした場合

加害者が家族所有の車に乗っていて事故を起こした場合には、所有者である家族が損害賠償しなければなりません。

たとえば息子が父名義の車を乗り回していて人にけがをさせたケースなどです。

この場合、家族には車の所有者に認められる「運行供用者責任」が発生します。運行供用者責任とは、自賠法という法律によって車の所有者などに認められる特別の責任です。

人身事故が起こったとき、車の所有者は「運行供用者責任」によって加害者本人と連帯して賠償金を支払う必要があります。たとえば息子が父親の車に乗って交通事故を起こしたら、被害者は息子にも父親にも全額の賠償金を請求できます。

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例外:飲酒運転を黙認していた場合

運転者が飲酒しているのを知りつつ家族が同乗していたり家族が危険な運転を煽っていたりした場合には、家族にも責任が発生する可能性があります。

この場合、家族も本人と共同して交通事故を発生させたと言えるからです。共同して1つの不法行為を行った場合、「共同不法行為責任」が発生し、共同不法行為者は連帯して損害賠償義務を負います。

また家族が飲酒運転を知って同乗していた場合、損害賠償義務を負うだけではなく「道路交通法違反」となって刑罰を受ける可能性もあります。

運転者が酩酊状態となって酒酔い運転をしていたら「3年以下の懲役または50万円以下の罰金刑」、運転者が酒気帯び運転をしていたら「2年以下の懲役または30万円以下の罰金刑」が適用されます。

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親の事故、子供に責任があるか?損害賠償請求できるか?

次に、親が交通事故を起こしたときに子どもにどのような影響が及ぶのか、みてみましょう。

子どもには基本的に責任が発生しない

親が事故を起こしても、子どもに法的な責任は発生しません。

親に賠償金を払えるお金がなくて子どもが資産を持っている場合でも、子どもが代わりに賠償金を払う義務はありません。

子どもに責任が発生するケース

ただし上述の通り、子どもが車の所有者のケースでは、親が起こした人身事故の損害賠償義務が子どもに及びます。

先に説明した運行供用者責任が発生するからです。

高齢者事故で運転を止めなかった家族は責められる?

近年では、高齢者による危険な交通事故が増加して社会問題となっています。高齢者が事故を起こしたとき、同居していた家族などには厳しい目が向けられます。

  • 「なぜ、本人に車を運転させていたのか?」
  • 「免許を返納させるべきだったのでは?」

そういった批判を受けるのはやむをえないでしょう。

ただ高齢者が運転をして事故を起こしたとしても、同居の家族が当然に何らかの法的な責任を負うわけではありません

あくまで事故を起こした本人が損害賠償責任や刑事責任を負います。

ただし本人が認知症にかかっていて判断能力が無くなっているのに家族が放置していて自動車のキーなども普通に渡して運転させていたケースでは、家族自身に不法行為が成立する可能性があります。

また加害者が家族名義の車を運転して事故を起こした場合、家族には運行供用者責任が発生します。

交通事故があった場合、加害者の家族はどのように対応すべき?

交通事故が発生したとき、加害者の家族はどのように対応すべきなのでしょうか?

家族に法的責任が発生する場合

家族に監督者責任や運行供用者責任、共同不法行為責任が発生するケースでは、家族自身が「加害者」ですから事故対応は他人事ではありません。

家族自身が積極的に被害者への謝罪やお見舞いなどを行う必要があります。

当然、賠償金をきちんと支払う義務もあります。通常は保険を適用して支払いを任せますが、自転車事故や保険未加入で保険が適用されない場合などには、自腹で賠償金を払わねばならない可能性もあります。

家族に法的責任が発生しない場合

一般的な交通事故では、家族に賠償義務は発生しません。「交通事故を起こした人の家族」というだけの立場です。この場合、家族自身が何かをしなければならない義務はありません。

賠償金を支払わなくて良いのはもちろん、謝罪やお見舞いをしなかったからといって責められるべきではないはずです。

道義的、常識的に望ましい対応

しかし家族に法的な責任が発生しなくても、対応すべきケースがあります。日本では個人の責任であっても家族を同じようにとらえて責める傾向があるからです。特に同居の配偶者の場合「知らない」というわけにはいかないでしょう。

また中学生や高校生が起こした交通事故で、本人に責任能力あり親に法的責任がないとしても親が「知らん顔」をしていたら、被害者を始めとした世間は「非常識」と考えます。

親としては加害者である子どもと一体となって被害者に謝罪をしたりお見舞いをしたりするのが通常です。賠償金の支払いについて親がどれだけ協力するかは、各家庭の考えや資産状況次第となります。

加害者の家族はクビになる?破産する?普通の生活ができるか

交通事故が発生したとき、加害者の家族が解雇されたり破産したりする可能性はあるのでしょうか?

解雇、失職の可能性は低い

まず解雇や失職については、ほとんどないと考えましょう。

交通事故を起こしたことは法律上、解雇理由になりません。加害者本人すらも交通事故を理由に解雇されないのですから、まして家族が解雇される必要性は全くありません。

家族が自営業などのケースでも、息子や親、配偶者の交通事故を理由に廃業する必要はないでしょう。

破産について

家族が交通事故を起こしたからと言って、通常、破産しなければならない状況にはなりません。先に説明した通り、加害者の家族には損害賠償義務が発生しないからです。また多くのケースでは任意保険が適用されます。

ただし以下のような場合には、家族が破産しなければならない可能性があります。

  • 責任無能力の未成年の子どもが自転車で相手に重大な後遺症が残る交通事故を起こしたり相手を死亡させたりしたケース
    この場合、親には監督者責任が発生します。自転車保険に入っていなかったら全額自腹で賠償金を払わないといけないので、親が破産しなければならない可能性もあります。
  • 所有している車を使って家族が重大な交通事故を起こしたケース
    この場合、所有者である家族に運行供用者責任が発生します。任意保険に入っていなかった場合には所有者である家族も加害者と共に破産しなければならない可能性があります。
  • 飲酒運転を黙認していて重大な交通事故を発生させたケース
    家族が飲酒運転を黙認していた場合や飲酒運転、危険運転を煽っていた場合などには家族にも責任が発生します。任意保険に入っていなかった場合や保険適用外となる場合には、家族と加害者が共に自己破産しなければならない可能性があります。

加害者の家族はどんな償いをするのか

交通事故の加害者の家族が償いをするとき、どういった対応をしているでしょうか?

家族に法的な責任が及ぶとき

家族に監督者責任や運行供用者責任などの責任が発生するときには、家族も損害賠償金を払います。

家族に飲酒運転の幇助などが発生したら、家族自身が刑事罰を科せられて懲役刑や罰金刑を受ける可能性があります。

被害者に謝罪したりお見舞いをしたりする必要もあります。

社会からも厳しい目を向けられます。

家族に法的な責任が及ばないとき

家族に法的な責任がない場合、賠償金支払いや刑事罰による償いは不要です。

そうはいっても被害者に対する謝罪が必要になるケースもありますし、世間から厳しい目を向けられるので肩身の狭い思いもするでしょう。交通事故が大々的に報道された場合などには嫌がらせを受ける可能性もあります。

小さな交通事故の場合には加害者本人にも家族にもほとんど影響がありませんが、後遺障害・死亡などの重大事故が起こったら、家族も無関係ではいられません。

交通事故が起こった時、法的な対応と道義的な対応の切り分けは必要ですが、家族としても適切な対応が望まれます。

謝罪や誠意の伝え方などを学び、せめてものお詫びの気持ちを家族してする必要があるでしょう。下記記事も合わせてご参照下さい。

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