前歴は必ず消える!免許停止処分と前歴の関係のすべて【2023年最新】
免停になった後、前歴がリセットされないと困る方も多いでしょう。今回は、前歴のリセット方法と消えるタイミング、前歴の基…[続きを読む]
免許取り消し(通称、免取り)とは、交通違反を繰り返したことにより運転免許を没収される処分をいいます。免許取り消しを受けると車を運転できなくなり、運転したときは無免許運転となります。
一定の期間にわたって免許がストップする免許停止(いわゆる「免停」)とは異なり、再び車を運転するためには免許を取り直さなければいけません。
この記事では、免許取り消しの「行政処分」と「刑事処分」の流れや注意すべきポイントについてわかりやすく解説いたします。
目次
前歴 | ||||
---|---|---|---|---|
なし | 1回 | 2回 | 3回以上 | |
点数 | 15点〜 | 10点〜 | 5点〜 | 4点〜 |
参考:行政処分基準点数
違反点数は、前歴の回数によって決まります。今の自分の点数は何点か、また前歴はいくつかを知っておく必要があります。
前歴の見落としがちなポイントについては別途参考記事も合わせてご参考ください。
行政処分とは、公安委員会が違反者に対して科す処分をいいます。点数の加点や反則金、免停処分などの制裁も行政処分に当たります。
免許取り消しの対象となる事故や違反が発生してからしばらくすると、聴取が行われる日時と場所などが記載された「意見の聴取通知書」が届きます。
よく勘違いされることですが、免許取り消しとなる事故や違反をしたからといってその場で免許が取り消されるわけではありません。事故や違反が起きてから意見の聴取通知書が届くまでの期間はケースバイケースですが、一般的には2週間程度だと言われていますが、稀に手続きの遅れで「通知書が全然来ない」場合もあるようです。
「意見の聴取」とは、免許取り消しの処分が適正であるかどうかを最終的に判断するために、当事者から意見を聞く手続です。
きちんと意見を伝えれば意見の聴取の結果として免許取り消しが「180日の免停」に短縮・回避されることもありますので、意見の聴取には必ず出席するようにしましょう。
どうしても出席できないときには代理人を立てることも可能ですし、延期してもらえる場合もあります。指定された日時で都合が合わないときでも諦めず、意見の聴取通知書に記載されている連絡先に連絡して相談するようにしましょう。
処分の軽減が認められずに免許取り消し処分が確定すると、「運転免許取消処分書」が発行され、免許取り消し処分が執行されます。
つまり「いつから免許取り消し処分が始まるか」と言うとこの時点からになります。
免許取り消し処分を受けた場合、すぐに運転免許の再取得をすることはできません。
免許を再取得する権利がなくなる期間のことを欠格期間といいます。これが最低条件です。欠格期間の長さは最短で1年、最長で10年とされており、前歴の回数、違反の点数、そして事故や違反が「特定違反行為」か「一般違反行為」かによって異なります。
一般違反行為とは、信号無視、スピード超過、駐車違反など、特定違反行為以外の比較的軽微な違反をいいます。一般義務違反により免許取り消しとなった場合の欠格期間は何年かと言うと、1年から5年で、特定違反行為よりも短く設定されています。
点数と同様、前歴によって異なりますので常習の方は注意してください。
欠格期間 | 前歴 | |||
---|---|---|---|---|
なし | 1回 | 2回 | 3回以上 | |
1年 | 15〜24 | 10〜19 | 5〜14 | 4〜9 |
2年 | 25〜34 | 20〜19 | 15〜24 | 10〜19 |
3年 | 35〜39 | 30〜34 | 25〜29 | 20〜24 |
4年 | 40〜44 | 35〜39 | 30〜34 | 25〜29 |
5年 | 45〜 | 40〜 | 35〜 | 30〜 |
特定違反行為とは、車を運転して人を死傷させる行為や、危険運転致死傷、酒酔い運転、救護義務違反などの重大で悪質な違反をいいます。特定違反行為により免許取り消しとなった場合の欠格期間は何年かと言うと、3年から10年です。
欠格期間 | 前歴 | |||
---|---|---|---|---|
なし | 1回 | 2回 | 3回以上 | |
10年 | 70点~ | 65点~ | 60点~ | 55点~ |
9年 | 65~69点 | 60~64点 | 55~59点 | 50~54点 |
8年 | 60~64点 | 55~59点 | 50~54点 | 45~49点 |
7年 | 55~59点 | 50~54点 | 45~49点 | 40~44点 |
6年 | 50~54点 | 45~49点 | 40~44点 | 35~39点 |
5年 | 45~49点 | 40~44点 | 35~39点 | |
4年 | 40~44点 | 35~39点 | ||
3年 | 35~39点 |
欠格期間が過ぎても、すぐに免許の再取得はできません。
再取得する条件を得ることができますが、その前に「取消処分者講習」を受講しなければいけません。
取消処分者講習は、運転免許試験場において、原則として連続2日間で合計13時間にわたって行われます。
内容は、運転適性検査、性格と運転の概説、危険予知運転の解説、そして実車講習などです。講習手数料として30,550円がかかり、現金での納付が必要となります。
なお講習を受講するためには、取り消し処分を受けたときに受け取った「運転免許取消処分書」が必要となりますので注意しましょう。
取消処分者講習を受講したら、運転免許を再取得することができます。
免許を再取得するための方法には、一発試験を受ける方法と、指定自動車教習所に通う方法があります。
一発試験とは、指定自動車教習所には行かず、直接「運転免許試験場」で学科試験と技能試験を受験する方法です。
一発試験の最大のメリットは、教習所と比べて費用がかからない点です。改めて教習所に通うということになれば20万円から30万円程度の費用がかかります。
一発試験は仮免許と本免許の試験手数料を合わせて10,000円程度を支払えば足り、また最短7日間で免許の取得が可能ですので、時間に関しても教習所に通う場合より圧倒的に短く済みます。
一発試験のデメリットは、合格するための難易度が非常に高いことです。一度は免許を取得した方でも簡単に通る試験ではありませんので、運転に自信のある方以外にはお勧めできません。
また、試験を受けることができるのは平日のみで、合格できなかった場合には別の日に申し込みをしなければいけません。
他方で、指定自動車教習所に通うと費用も時間もかかりますが、ほぼ確実に運転免許を取得することができるというメリットがあります。
免許取り消し処分から再取得までの流れについて説明しましたが、ここまで説明したことは行政処分の流れです。
他方、刑事処分とは罰金、懲役、禁錮といった処分をいい、行政処分とは別に科せられます。
交通違反をすると、内容によって「青切符」や「赤切符」が切られます。
正式には「青切符」は「交通反則告知書」、赤切符は「告知書」と呼ばれます。青切符は一時停止違反、駐車違反など比較的軽い違反をしたときに交付されます。赤切符は、無免許運転やひき逃げなどの悪質な違反をしたときに交付されます。
赤切符は6点以上の点数が付けられる場合の違反に対して切られますので、赤切符を切られるということは免許の停止や取り消しの処分がなされることを意味します。
赤切符を切られると、裁判所で裁判を受けなければならず、罰金などの刑事処分が科されますが、重大な違反や事故の場合は「逮捕や勾留」など身柄拘束をされる場合があります。
被疑者が逃亡するおそれや罪証(証拠)を隠滅するおそれがあるためです。逆にいうと、これらの事由がある場合はたとえスピード違反のような一見軽微な交通違反であっても、逮捕されてしまう場合があります。
交通違反をして出頭通知書を受け取り、裁判所に出頭すると、事故時の状況や事故の相手方との示談の状況などについて検察官から取り調べを受けることになります。
検察官が認識している内容に事実と異なる部分があればきちんと主張し、事実どおりであればきちんと反省の意を示しましょう。
裁判には略式裁判と正式裁判の2種類があります。
略式裁判とは、事案が明白で簡易な事件で、100万円以下の罰金又は科料に相当する事件について、正式裁判によらずに検察官の提出した書面により審査する裁判手続です。
略式裁判手続では簡易裁判所で略式命令が出され、罰金または科料を納付して手続を終わらせることができます。
正式裁判とは通常の公判手続による裁判で、審議を行い裁判官が判決を出します。
飲酒運転による人身事故など重大な事件の場合に行われます。
また略式裁判で不服があった場合に、正式裁判を申し立てることもできます。
交通違反に対して科される刑罰には、禁固、懲役、罰金があります。
免許取り消し処分自体で「反則金」を科されることはありませんが、刑事処分の「罰金」を支払う必要があります。
罰金刑は、受刑者の一定の財産を奪う刑罰です。罰金が支払えない場合には労役場に留置され、日当で換算して罰金相当を支払い終わるまでの期間、労役場で労務につきます。
禁固とは受刑者の身体を拘束して自由を奪う自由刑の1つで、受刑者を刑事施設に収容する刑です。
懲役刑と異なり、強制労働につかされることはありません。自動車運転過失致死傷罪など、過失による犯罪に対して禁固刑が言い渡されるケースが多いです。
懲役刑は、受刑者の身体を拘束して自由を奪う刑罰で、受刑者を刑事施設に収容した上、強制労働につかせる刑です。
期間の定めのある懲役刑は、原則として1か月以上20年以下の範囲内で科されますが、複数の罪を重ねた場合などには最長で30年までとすることができます。
以上、免許取り消しの流れについて行政処分、刑事処分の2つの観点から解説いたしました。
注意しないといけないのは、行政処分と刑事処分は全く別のものであり、それぞれ個別に処分が下されるという点です。
処分の順番も処分の内容や条件は違反や事故の態様や悪質性によって異なります。
免許が取り消されても取得し直せば車を運転することはできますし、懲役刑に科されるのは一部の悪質な違反や事故に限られます。手続の流れを十分に理解して適切な対応を心掛けましょう。