後遺障害11級の慰謝料相場と増額方法をわかりやすく解説

数を示す女医の手

後遺障害11級が認定された場合、労働能力喪失率は20%と決して高くはありません。しかし、認定される症状には、脊髄損傷や内臓障害などを含んでおり、適正な等級の認定受け、適切な損害賠償を受けることが重要です。

では、適正に認定を受けるにはどうすればいいのでしょうか?適切な補償を受けるためにできることはあるのでしょうか?

そこで、今回は、後遺障害11級の慰謝料・示談金の相場と認定のためにすべきこと、慰謝料増額のためにすべきことについて解説します。

後遺障害11級の代表的な症状と慰謝料

実際に11級が認定される症状と具体的な後遺障害慰謝料の相場について解説します。

11級に認定される症状と後遺障害慰謝料の相場は、以下の通りです。

等級症状
11級1号両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
11級2号両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
11級3号1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
11級4号10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
11級5号両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
11級6号1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの
11級7号脊柱に変形を残すもの
※レントゲンなどの画像で圧迫骨折や脱臼が認められるもの。
11級8号1手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの
11級9号1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの
11級10号胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
後遺障害11級の後遺障慰謝料
自賠責基準任意保険基準(※)弁護士・裁判基準
135万円程度150万円程度420万円程度

慰謝料の相場には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士・裁判基準の3つの基準があります。

自賠責基準は、人身事故での最低限の補償を定めた自賠責保険の基準であり、この3つの中でも金額的には最低の基準となっています。

任意保険基準は、任意保険会社が損害賠償を提示する際の基準で、任意保険会社が独自に定めているものです。金額的に3つの中で自賠責基準と弁護士・裁判基準との間に位置する基準です。

※任意保険基準については、一般に公開されていないので、旧任意保険の統一支払基準を参考に記載しています。

後遺障害慰謝料は、弁護士・裁判基準で交渉する

弁護士・裁判基準は、3つの基準の中で最も高額なものになります。裁判例を基にしており、実際に裁判でも用いられる基準で、唯一法的に妥当な基準でもあります。

しかも、11級の場合、弁護士・裁判基準の金額は、自賠責基準の3倍以上になります。

示談でも法的に妥当性がある弁護士・裁判基準で慰謝料の交渉をすべきですが、被害者自身が交渉しても保険会社が耳を貸すとは限りません。

そこで必要なのは、弁護士に依頼して交渉を代理してもらうことです。弁護士・裁判基準で交渉することで、慰謝料の大幅な増額が期待できることになります。

後遺障害11級の逸失利益の計算例

後遺障害逸失利益は、後遺障害が認定された場合に請求ができる損害賠償のもう一つの項目です。

後遺障害逸失利益は、後遺障害がなければ得られたであろう将来の収入です。後遺障害によって働く力が失われたと考え、その失われた割合が後遺障害の程度に応じて基準化されています(労働能力喪失率)。

逸失利益は、次の計算式によって求めることができます。

逸失利益=年収額×労働能力喪失率×被害者の年齢に応じたライプニッツ係数

「被害者の年齢に応じたライプニッツ係数」は、国土交通省のサイトで調べることができます。

参考外部サイト:国土交通省「就労可能年数とライプニッツ係数表

そこで次の事例で実際に逸失利益の計算をしてみましょう。

後遺障害11級の労働能力喪失率は、20%です。

事例

被害者の年齢・性別:42歳男性
被害者の年収:580万円
被害者の後遺障害等級:11級7号

580万円(年収)×20%(労働能力喪失率)× 14.094(年齢42歳のライプニッツ係数)=16,349,040円

このケースで被害者は、約1600万円の逸失利益を受け取ることができます。

後遺障害11級認定のためにすべきこと

被害者請求がお勧め

後遺障害11級の認定は、被害者請求ですることがお勧めです。

被害者請求のメリットは、手続きすべてを自分でコントロールすることで手続きの透明性が担保され、適正で納得しうる等級認定を受けられる可能性が高くなるということです。

ただし、相手側の保険会社に手続きを任せてしまう事前認定に比べ、手続きが面倒なのがデメリットと言えるでしょう。

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後遺障害診断書が重要

請求手続きの提出書類の中でも後遺障害診断書は、審査に大きな影響を与える重要な書類です。認定の審査は、書面で行われるからです。

どちらについても有効なアドバイスができるのが交通事故に詳しい弁護士です。

交通事故に詳しい弁護士に依頼すれば、被害者請求のコツから後遺障害診断書の作成を医師に依頼する際のアドバイス、作成後のチェックまで、等級認定についてのポイントを押さえたアドバイスをもらうことができます。

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後遺障害11級の慰謝料増額の事例

後遺障害11級の裁判例を2つご紹介させてください。11級の慰謝料がどこまで増額できるのかを確認しましょう。

裁判例1

大阪地裁平成23年7月13日判決

被害者は男性・競輪選手(症状固定時34歳)。

脊柱の変形障害で11級7号の後遺障害となりました。

裁判所の指摘した事実は、次のとおりです。

  • 競輪選手は、練習として通常100キロメートル以上のロードワークを行うが、被害者は5キロの走行で背部に著しい疼痛が生じて走れなくなってしまう
  • 前傾姿勢を数分間しか保てないため、洗顔など日常生活上の動作も困難である
  • 自転車での姿勢保持は30分が限界で、競争姿勢中のバランス保持ができないため、練習中の転倒で骨折した
  • 事故後、思うように走れないことなどから、うつ病を発症した
  • 事故から3年4ヶ月で引退を余儀なくされた
  • 長年、競輪選手となる夢を抱き、努力して夢を叶え、8年間選手を続けてきたのに、事故により活動できなくなった

裁判所は、これらの事情から、入通院慰謝料250万円に加えて、後遺障害慰謝料500万円を認めました。

参考文献:交通事故民事裁判例集44巻4号908頁

裁判例2

大阪地裁平成27年7月31日判決

被害者はイラストレーターの男性(症状固定時34歳)。

事故で、右大腿骨の骨折、会陰部や尿道などに外傷を受けました。

自賠責保険からは、会陰部や男性器の疼痛(12級13号)、右股関節の可動域制限による機能障害(12級7号)で併合11級を認定されました。

  • 被害者には勃起障害の自覚症状があるが、その原因が医学的に説明されていないので、医学的に性交渉が不能となったとまでは言えない
  • しかし、男性器などの疼痛のために、事実上、性交渉ができないことは認められるので、慰謝料においてこれを考慮するべき

裁判所は、以上のことから、入通院慰謝料240万円に加え、後遺障害慰謝料600万円を認めました。

参考文献:交通事故民事裁判例集48巻4号933頁

11級の弁護士・裁判基準の後遺障害慰謝料の相場は、420万円です。2つの裁判例は、この額を超えています。

特筆すべきは、裁判例2で認められた慰謝料600万円で、10級の弁護士・裁判基準の相場550万円をも超えています。

もとより慰謝料は、個別の事故態様などによって判断されるので、支払われる額は事故ごとに異なります。特に裁判では、被害者のあらゆる事情を斟酌して判断するので、慰謝料も相場を超えることがあります。

慰謝料を増額するには、増額理由に該当するすべての事実を洗い出し、主張できるかどうかが重要になってきます。弁護士が力を発揮する領域と言えるでしょう。

慰謝料増額のための3つのポイント

弁護士に依頼するメリットは、後遺障害等級認定のことばかりではありません。

弁護士に依頼すれば、慰謝料の増額も期待することができます。ポイントは次の3つです。

気をつけるべきは、依頼する弁護士です。くれぐれも、交通事故の医学的知識が豊富で後遺障害等級認定などの手続きに詳しい弁護士を選んでください。

あなたの損害賠償請求は、選任したその弁護士にかかっているのです。

後遺障害11級の慰謝料の自動計算ツール

自分の事故のケースで、後遺障害11級の慰謝料相場を調べたい方は、入通院慰謝料の自動計算ツールをご利用ください。

通院期間や後遺障害等級を入れるだけで、より詳しく自分の慰謝料相場を弁護士基準で計算することができます。

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まとめ

今回は、後遺障害11級が認定されるケースと、認定を受けるための方法、認定された場合の損害賠償の金額などについて解説しました。

11級の認定をより確実にし、より適切な損害賠償金の交渉をするには、交通事故に強い弁護士力を借りることが大切です。

交通事故で後遺障害が残った場合に正当な補償を受けるには、交通事故に詳しい弁護士に是非ご相談ください。

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