当て逃げの罪の時効と点数、罰金、検挙確率まとめ【2024年最新情報】
当て逃げをして、その後バレた場合、点数の加点、罰金の支払い、免停等が発生します。バレる日数や見つかる確率が気になる人…[続きを読む]
交通事故の被害にあったときに、車擦られたときに、加害者から「点数が厳しいし、次の保険料もあがってしまうので、この場で示談・和解にしてもらえませんか」と呼ばないように懇願されたケースありますか?
実際にこういった場合、警察に連絡をせずその場で、交通事故の示談交渉に応じてしまうことがあるでしょう。
警察を呼ばずに、その場で示談してしまうケースには、他に次のようなものがあります。
また、自損した事故の場合は、相手がその場にいないので示談や和解をせず、黙って去っていくケースもあるでしょう。
「ぶつけられたと言っても車擦っただけだから」などと、その場で警察を呼ばずに示談をしてしまうことは、事故当事者にとってメリットよりも、後日大きなリスクがあります。
本記事では、警察を呼ばずに、その場で示談することが、どんな理由に基づいて、どんなリスクがあるのか、警察から後日連絡が来るのかなどを解説します。
目次
警察に連絡せずに、その場での示談に応じることは、事故当事者に次の4つのリスクがあり、メリットはありません。
本リスクは、人身事故であろうと物損事故であろうと、自転車事故であろうと、サイドミラーの接触事故であろうと、基本的には変わりありません。
それぞれ、以下で詳しく解説して参ります。
道路交通法では、加害者も被害者も、事故車両の運転者は「事故が発生した日時、場所、死傷者の数、負傷の程度、損壊した物、損壊の程度などを警察に報告する義務」を課されています(道交法第72条1項後段)。
その場で示談をして、警察に連絡しなければ、運転手の報告義務違反として3月以下の懲役または5万円以下の罰金に処せられます(同法119条1項10号)。
この際、注意すべきことは、報告義務違反は「被害者側」にもあるということです。
「加害者に促されて、報告しなかった場合・通報しなかった場合」や「加害者側が行ってしまったので、被害者側も立ち去ってしまった」というケースなどでも、被害者側も違反したことになるのです。
接触事故、非接触事故、人身事故、物損事故にかかわらず事故が起きた場合は、この「事故の報告義務」にまず注意をし連絡をしましょう。
上記で点数の加点なしと解説しましたが、ただし加害者による「当て逃げ」は例外です。
以下のようなケースをイメージしてみましょう。十分に考えられるケースです。
この場合「安全運転義務違反」2点と「危険防止措置義務違反」5点で合計7点が加算されます。
人身事故になってしまった場合は、重い刑事処分も科されます。
※報告義務違反は、点数を課される一般違反行為に含まれていないためです(道路交通法施行令第38条第5項1号イ及び同2号イ、別表第二)。
なお、報告義務違反に対して行政処分の「点数の加算」は被害者も加害者もなされることはありません。
勘違いしがちですが、その場で和解して警察に報告しなかったというだけで免許停止や免許取消となる危険はありません(※)。
そもそも、物損事故や自損事故の場合、行政処分上は事故の扱いにならないからです。
ただし、当たり前の話ですが、交通違反をしている場合は異なります。
警察を呼ばずに軽い接触事故をその場で示談してしまうと、被害者は、保険料もまともに受け取れないリスクもあります。
相手が無傷で接触事故やサイドミラーに擦っただけのケースなどで、被害状況をよく確認せずに、警察を呼ばずに、立ち去る人もいます。
ただし、相手が怪我してしまっている可能性が大いにあります。
つまり、必要な処置をせずに連絡せず、逃げてしまった場合は「ひき逃げ」となり、非常に重い刑罰が科される可能性が大になります。
交通事故の場合は、外からすぐわかるような症状だけ生じるわけではなく「むちうち・ヘルニア」などの後日症状が発生するケースもあることも良く覚えておく必要があります。
「サイドミラーを擦っただけだ」「軽微な負傷だから通報は必要ないと考えた」、「その場では負傷に気がつかなかった」などと、加害者は言い逃れすることはできませんし、被害者も被害者で後日連絡しないことで面倒になることもあるのです。
警察に全然届け出をしないことにより、正当な賠償金を受け取ることができなくなるリスクについて解説致します。
「交通事故証明書」は、事故の被害にあったことを証明するための最も基本となる書類です。
警察を呼ばずに、事故の届出をしなければ、発行してもらうことはできません。
ただ法的には、診断書や医療記録、その場で作成した示談書さえあれば、交通事故証明書が絶対に必要というわけではなく、事故による被害を受けたという事実さえ証明できれば保険会社に賠償金を請求できます。
しかし、例えば、たまたま加害者が事故ばかり起こしている人物であった場合、保険会社から「加害者と被害者がグルになって架空の事故をデッチ上げた保険金詐欺ではないか?」と疑われることもあります。
また、示談書を作成していても、加害者から「そんなものを書いた覚えはない!」と言われてしまえば、それが加害者のサインした書類であることを筆跡鑑定などで証明しなくてはならないことも考えられます(一般に筆跡鑑定には安くても数十万円の費用がかかります)。
これらのような場合、交通事故証明書という公的機関による証明書がないことは、保険会社への請求を難しくしてしまいます。
人身事故では、事故直後に警察が「実況見分」を実施します。俗に「現場検証」と呼ばれるものです。
事故の状況を当事者・目撃者から聞き取り、現場の状況などを記録し、後日「実況見分調書」という図面付きの書類にまとめます。
実況見分調書は刑事処分を決めるための証拠書類ですが、損害賠償を請求する民事事件の証拠としても利用可能で、事故態様、過失割合をめぐる争いがあるときは、重要な証拠となります。
ところが、その場で示談してしまい、警察に届出をしなければ、実況見分調書がないために、真実の事故態様、正しい過失割合を明らかにする証拠がなく「適正な賠償額を受け取ることができなくなる危険」があります。
なお、物損事故の場合でも、警察に届け出れば「物件事故報告書」が作成されます。
その場で示談して事故を警察に届け出なければ、これも人身事故の場合と同様で、利用することができません。
自動車保険を請求する方法には「加害者から請求する方法」か「被害者から請求する方法」の2つのパターンがあります。
いずれのパターンであっても、事故現場で示談してしまった場合、「保険会社が支払いを拒否」することがあります。
自動車保険の支払いは、加害者本人が被害者に直接賠償金を支払った後に、その金額を加害者が保険会社に請求し補償してもらう方法が基本です。
しかし、被害者に支払った示談金と同額の補償を保険会社に請求しても、保険会社から拒否されてしまうことがあります。
それは、加害者が普通保険約款に定められた次の2つの義務に違反しているからです。
その場で示談することで、賠償責任を認めてしまった加害者は、上記「2つの義務を守っていない」ことになります。
つまり、加害者が保険会社に保険金の支払いを請求しても、保険会社がそのまま了解するはずがなく、最終的に保険金がおりない可能性があります。
示談をしていても、被害者がそのとおりに支払ってもらえる保証はないということになります。
そして、被害者が直接加害者の保険会社に請求するパターンも同様です。
この場合に支払われる金額は、通知義務・事前承認義務違反によって加害者が請求できる金額がゼロならば、被害者が請求できる金額もゼロになるからです。
示談は法的には民法の「和解契約」に該当し、いったんその場で合意した以上、たとえ合意の内容が真実に反していても、当事者は合意内容にしたがう法的な義務を負担することになります。これを和解の創設的効力といいます(民法696条)。
これにより、例えば真実の損害が100万円だとしても、50万円で合意した以上は、被害者は50万円を超える金額を請求することはできず、残りの50万円を請求する権利は消滅したものと扱われます。
示談書に通常記載される清算条項(示談書に記載している事項以外に、相互に債権債務がないことを確認する条項)は、念のために、この効力を確認しているものに過ぎません。
このため、その場で示談してしまって「後から痛みなどの症状が出てきた場合」に、あらためて治療費や後遺障害慰謝料などの賠償金の追加を請求しても、加害者や保険会社から拒否されるばかりか、法的にも認められない可能性があるのです。
ただし、示談当時に予想できなかった「後遺障害」などは、示談した損害とは別損害であるという論理で賠償請求が認められる例外的な場合はあります(※)が、訴訟を提起して、事故との因果関係や予想できた範囲か否か等の事実を、被害者が証拠をもって立証しなくてはならないので、簡単なことではないのです。
自転車同士の事故でも警察への報告義務があり、報告しないとトラブルになる可能性があります。
自転車は軽車両として扱われるため、事故をその場で示談してしまうと、後で刑事処分を受けるリスクがあるのは自転車事故でも同じです。
特に、事故後に相手から体調不良の連絡が来た場合、警察を呼ばなかったことで問題が大きくなることがあります。
自転車事故では保険に未加入のケースも多く、感情的な争いに発展することがあるので注意が必要です。
「報告義務違反」はあくまで道路交通法上の話のため、私有地である民家の駐車場などでぶつけた物損事故の場合については対象になりません。
ただし私有地の駐車場でも、人身事故になる可能性は十分にあります。その場合、道路外であっても、行政上の責任は問われるので警察に連絡する必要があることは覚えておきましょう。
なお、店舗の駐車場(イオンの立体駐車場など)や高速道路の駐車場など、道路交通法の対象であり、警察の報告義務を負うので、その場で当事者だけで和解をしないようにしましょう。
そこで今回は、Yahoo!知恵袋やTwitterなどでも話題になりがちな、自転車事故、物損事故、接触事故、サイドミラーを擦った場合などで警察を呼ばなかった場合、その場で示談・和解することの大きなリスク、メリットがないこと、後日どうなるかについて説明しました。
ドライバー等には、加害者・被害者を問わず、通報できないほど負傷していない限り、事故後すぐに警察への報告が義務付けれています(道路交通法72条)。事故後、時間が経過してしまうと、受け付けてもらえない可能性が高くなります。
事故後、届出を受け付けてもらるかどうかは、個々の警察署の運用によって変わってきますが、もし、事故の届出をしていないのなら、すぐにでも警察に届け出るのが良いでしょう。