交通事故の弁護士費用相場はどのくらい?安く抑える方法をご紹介!
弁護士に依頼すると弁護士費用がかかることから、その費用がどのくらいになるのかや、安く抑える方法などを知っておく必要が…[続きを読む]
交通事故に遭い、弁護士に対応を依頼すると費用はそれなりの金額になってしまいます。裁判にもつれ込めば、裁判費用もかかります。
こうした費用を加害者に負担させる方法はないのでしょうか?
今回は、交通事故でかかる「裁判費用」や「弁護士費用」を加害者に負担させる方法を、解説します。
交通事故における裁判費用は、どちらがどれだけ負担するのでしょうか?まずは、裁判費用について解説します。
裁判をするには、利用者が「手数料」や「予納郵券」(原告・被告・証人等に裁判所から郵便を送る際の料金)を納めなければなりません。
ちなみに、裁判を弁護士に依頼する場合には、弁護士から裁判費用を払ってもらうことになるため、裁判費用は「実費」として徴収され、依頼者は弁護士費用と裁判費用をまとめて弁護士に支払うことになります。
裁判でかかる費用について詳しくは、是非、次の記事をご一読ください。
手数料としての印紙代や予納郵券は、原告がそのまま全額負担となるわけではありません。
「判決」になった場合には、裁判所が当事者の訴訟費用(裁判費用)の負担割合を、たとえば、原告2割、被告8割などと指定します。
基本的に、負けた側の負担割合が高くなります。
そして判決後、原告と被告の当事者同士が、訴訟費用の精算をすることになります。
たとえば、5万円の印紙代が必要になった事案で、訴訟費用の負担割合が原告2割、被告8割とされた場合、原告は被告に対し裁判後に、印紙代5万円の8割、つまり4万円の支払を請求することができます。
交通事故の問題を解決するために、調停やADR(交通事故紛争処理センター・日弁連交通事故相談センター等)を利用するケースもあります。こうしたときにも、費用は発生します。
調停でも、訴訟と同じように印紙代(訴訟の半額程度)が必要ですし、郵送用の郵便切手も必要となります。
交通事故紛争処理センターや日弁連交通事故相談センターといったADRでは、利用料金がかかりませんが、たとえば都道府県の弁護士会紛争解決センターでは、1万円の手数料に加え、各期日ごとに5,000円が、弁護士費用とは別途必要になります。
ただし、調停やADRの費用は、基本的に相手方に請求することはできません。
裁判費用より高額になるのが「弁護士費用」です。
実際のところ、訴訟費用と異なり、弁護士費用をそのまま加害者に請求することは、難しいと言えます。
被害者の主張が正しく、裁判所が加害者の全面的な支払いを命じたケースでも、加害者に「弁護士費用」をそのまま請求することはできません。
弁護士費用を敗訴した側が負担する制度のことを、「敗訴者負担制度」と言います。
海外では敗訴者負担制度が導入されているところがありますが、日本ではこの制度は導入されていません。「自分で依頼した弁護士の費用は、裁判で負けた側ではなく、自分で負担すべき」という考え方になっているのです。
そこで、交通事故で示談交渉や調停、ADR、訴訟などの対応を弁護士に依頼しても、基本的には「弁護士費用は被害者自身が負担」しなければなりません。
たとえ裁判所が「訴訟費用は全面的に被告の負担とする」という判断をしたとしても、その「訴訟費用」とは、先に説明した裁判費用のことであって、弁護士費用のことではありません。
弁護士費用の負担は、基本的に自己負担となるのが日本の法制度です。
ただし、例外的に、弁護士費用を加害者に請求できることがあります。
まず弁護士費用が加害者の負担となるケースは「不法行為に基づく損害賠償請求をする場合」です。
不法行為に基づく損害賠償請求をしたが、加害者が応じなかったため、やむを得ず裁判を行うために弁護士に依頼する必要があったとして、弁護士費用も損害として請求するわけです。
実務上、裁判所が判決を下した場合、損害賠償額の「1割程度」を弁護士費用として認めてもらえることが多いです。
たとえば、2500万円の賠償額が認定された場合、1割の250万円が、弁護士費用として認められたとします。
その場合、最終的な被害者への賠償額は、2500万円+250万円=2750万円となります。
ただし、賠償額の1割程度とは、実際に被害者が支払った弁護士費用とはまったく関係のないものであり、もし、被害者が支払った弁護士費用がこの賠償額の1割程度を超える場合には、超える部分は、被害者の自己負担となります。
一方で、被害者が支払った弁護士費用が賠償額の1割程度を下回れば、賠償金として受け取ることができます。
加害者に弁護士費用を負担させる可能性がある場合として、刑事事件が処分がされる前に加害者と「示談」をするケースが挙げられます。
人身事故は、過失によって人を死傷させるものであり、「過失運転致死傷罪」や「危険運転致死傷罪」に該当し、刑事事件となります。
起訴前に示談が成立すれば、起訴を避けられる可能性が高くなり、起訴後であっても、刑事処分の前に示談が成立すれば、減刑される望みがあるため、多くの加害者は、被害者と示談をしたいと考えます。
このとき、被害者が「弁護士費用を支払わなければ、示談はしない」と言えば、加害者は、弁護士費用を上乗せしてでも示談したいと考える可能性があります。
刑事事件の起訴前後加害者と示談すれば、弁護士費用を請求できる可能性は高くなります。
交通事故が刑事事件となっている場合、加害者の減刑をお願いする「嘆願書」の作成を被害者に求めることがあります。
被害者が嘆願書を提出すると、加害者は不起訴や略式起訴になる公算が高くなるからです。
ただ、被害者にしてみれば、加害者の罪を軽くしてほしいとお願いしなければならない理由はありません。
そこで、「弁護士費用を支払ってくれるなら、嘆願書を書きます」という交渉が可能となり、加害者側も弁護士費用を支払う可能性は高くなります。
刑事処分が済む前に示談を成立させるためには、急ぐ必要があります。
また、不起訴を狙っていた加害者が起訴されてしまうと、示談そのものに対する関心を失ってしまうことがあります。
加害者の刑事手続き中に、できるだけ有利な条件で示談を成立させる必要があります。
以上のように、加害者に対して弁護士費用の請求が考えられるケースは、かなり限られているため、弁護士費用の負担を軽減する制度についても触れておきましょう。
弁護士費用の軽減に有効な制度として「弁護士費用特約」があります。
弁護士費用特約とは、被害者が加入する自動車保険会社が、弁護士費用を負担してくれる制度です。
訴訟だけではなく、示談交渉や調停、ADRといった手続きでも、弁護士費用は、すべて補償の対象となります。
通常、弁護士特約は、300万円までの弁護士費用を保険会社が負担します。ほとんどのケースで、弁護士費用の負担なしに弁護士に依頼することができるでしょう。
また、弁護士費用特約を使っても、等級が下がることはないので、保険料が上がることもありません。被害者にとって、まったくデメリットのない制度なので、特約をつけているならば、是非とも利用すべきです。
実は、裁判費用も、弁護士費用特約の補償対象となります。
裁判をするときの印紙代、郵便切手代、日当など、裁判関連費用はすべて保険会社が負担します。
弁護士費用特約は、補償範囲が非常に広く、有効な制度となっているので、加入する保険に付帯しているのであれば、使わない手はありません。
今回は、交通事故でかかる「弁護士費用」や「裁判費用」を加害者に請求する方法について解説しました。一般的に、弁護士費用を加害者に負担させることは、基本的に難しいと言えます。
交通事故の損害賠償請求訴訟をする場合などは、弁護士費用の支払いを受けることができます。
弁護士に依頼すると、費用対効果は大きく、弁護士費用特約を利用すると、費用の負担も小さくなります。交通事故の被害に遭ったら、まずは弁護士に相談してみましょう。