交通事故の不起訴に納得できない場合、検察審査会に「審査申立て」!

検察庁

1.「不起訴」という結論に納得がいかないとき

交通事故の被害者や遺族になってしまった場合、加害者の態度や被害の内容から検察に厳罰を求めることがあると思います。加害者の態度などから、「どうしても許せない」という気持ちがあるのも当然です。しかし、さまざまな事情が絡み、検察の判断は「不起訴」となることがあります。この結果に納得できない場合、被害者や遺族には他に道があるのでしょうか。

この点、「検察審査会制度」はそんな被害者や遺族の気持ちを反映できる可能性がある唯一の制度です。今回は、交通事故事件の「不起訴」に納得できない場合に、不服申し立てができる「検察審査会の利用方法」について詳しく解説いたします。

2.加害者が不起訴(起訴猶予)になる理由

2-1.検察官に起訴・不起訴の独占的権限がある

なぜ加害者が不起訴になるのでしょうか。

加害者が自動車で事故を起こし、なんの落ち度もない歩行者が巻き込まれ怪我を負った場合、過失運転致傷罪(自動車運転死傷行為処罰法第5条)として刑事事件となります。しかし、この場合被害者が「厳罰を望む」と言っても、不起訴になるケースもあります。

実は、これには日本の刑事システムに理由があります。まず、刑事事件につき、「起訴をするかしないか」の決定をするのは検察官です。そして検察官には独占的権限があります。これを訴追裁量権といいます。つまり、起訴するかしないかは検察官の判断次第ということなんです。

一般の方にとって検察官はあまり馴染みのない職業かもしれません。しかし、実は裁判官や弁護士と同じ司法試験を受け、その中でも優秀であり志願した人々のみがなれる職業です。つまり、訴追するかどうかは、弁護士や裁判官と同じように法律の知識を前提として判断をしています。また、それだけではなく、被害者の感情や怪我の度合い、被疑者の反省度やこれまでの事件との比較することなども重要な判断材料となっています。

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2-2.日本では刑事訴追されると99%以上が有罪に

日本の刑事システムは起訴されるとほぼ有罪となってしまいます。つまり、加害者にとっては、起訴されるか否かによって前科がつくかどうかが決まり、その後の人生を大きく左右する出来事になります。「被害者の感情が優先されるべき」という気持ちはもっともなのですが、実際は起訴・不起訴の判断にそれ以外の判断要素も大きく影響しているのが実情です。

このように、日本では検察官だけに訴追裁量権があります。また、被害者の感情だけではなく、さまざまな判断要素が重なり「不起訴」という結果になってしまいます。では、この結果に納得いかない場合に採れる手段についてみていきましょう。

2-3.一事不再理と検察審査制度

では、不起訴となった場合に「もう一度審査して」と不服申立てを申し立てることはできるのでしょうか。

まず、日本の刑事裁判では一事不再理という原則が適用されます。

一事不再理とは、1つの事件を何度も裁判にかけることはできないとする原則です。つまり、一度無罪判決がでると、もう一度裁判にかけることはできなくなってしまいます。もっとも、これは判決が出た場合に適用されるため、不起訴の場合は裁判にかけることが可能です。もっとも、これは理論上の話であり、実際上これをそのまま利用することは難しいといえます。

この問題を解決する制度が1つあります。それは検察審査会制度です。これが事実上、不服申し立てができる唯一の方法ということになります。

このように、現行法上は検察審査会制度を利用する以外に、不起訴になった事件を起訴にすうための方法はありません。以下では、検察審査会制度について解説いたします。

3.検察審査会制度とは?

3-1.改正により訴追義務が課されるように

では、検察審査会制度とは一体どんな制度なのでしょうか。

実は、検察審査会は1948年にできた制度であり、新しい制度ではありません。「検察審査会法」という法律が制定されたことによりできた制度です。訴追裁量権を検察に独占させている現行の刑事訴訟法制度に市民感覚を導入するため作られました。もっとも、実際は検察に決定に対する訴追義務が課されていないことから、実効性のない名前だけの制度であり、問題となっていました。

日本では、2004年に司法制度改革により裁判員制度の導入が決定されるなど様々な改革が行われました。このとき、起訴・不起訴についても市民感覚を取り入れ、公平な訴追機会を図る必要があると考えられ、2009年に検察審査会法も改正されることになりました。これにより、検察審査会の決定に対する訴追義務が課されるなど実効性ある制度として生まれ変わったのです。

3-2.検察審査会では被害者・遺族の意見が反映されやすい

検察審査会は、検察官の不起訴が妥当な判断であったかを国民が判断する制度です。実際には、国民から無作為に選ばれた検察審査員が判断することになり、地方裁判所に設置されています。独自に不起訴事件を審査するだけではなく、被害者などの申立てにより審査することも可能です。交通事故の場合、マスコミなどの注目が集まらない限り被害者や遺族からの申立てが必要となります。

検察審査会の目的は、独占的な公訴権に市民の声を反映することにより、公平・適正な刑事事件の運用をすることです。一般市民の視点から不起訴が妥当かどうかを判断するため、検察官の判断よりも、被害者の視点が導入されすく、不起訴が覆り再起訴となる可能性があります。

実際に、不起訴と判断された事件が検察審査会によって覆り、起訴することになった事件も多数あります。これまでに審査された事件は17万件以上にもなり、薬害エイズ事件や明石花火大会事件などが有名です。また、検察審査会の審査後に再起訴が決定された事件は1500件以上もあります。

このように、検察審査会によって、不起訴を覆すことができる可能性があるのです。

4.検察審査会での具体的な審査方法とは?

4-1. 検察審査委員は一般市民から選ばれる

まず、検察審査員は20歳以上で選挙権を有する国民からくじで選ばれた11人によって構成されています。選ばれた人は原則として辞退できませんが、学生や70歳以上の人、思い病気などやむを得ない事情がある人は例外的に辞退できます。忙しいことは理由になりません。裁判員制度のようなものだとイメージすると理解しやすいかもしれません。

また、審査自体は非公開で行われます。審査員同士が活発に意見を出し合い、国民の視点で検察庁から取り寄せた事件や記録などを調べ、正しく起訴・不起訴の判断がなされているのかを審査します。基本的には、マスコミが取り上げたことをきっかけに審査にとりかかりますが、申立てがあった場合には、その都度審査が行われます。法律問題について助言が欲しい場合には、補助審査員として弁護士の意見を受けることもできます。

補助審査員の弁護士は、当該事件についての法令やその解釈を説明したり、事実上・法律上の問題点を整理したりすることが職務となります。事件を法的な観点からみて、必要な助言を検察審査委員に行います。

このように、補助員からの助言を受けることはできますが、基本的には一般市民の観点から議論が行われます。被害者の立場としては、検察とは違う視点で審査してくれることになるため、起訴の可能性を期待できることになります。

4-2.「不起訴不当」と「起訴相当」に再起訴の可能性がある

では、実際の審査はどのように行われるのでしょうか。

第1段階の審査結果は、3つの判断にわかれることになります。不起訴相当、不起訴不当、起訴相当、の3つです。起訴相当は11人中8人の多数が必要になりますが、それ以外は、過半数の6人で決議されます。
まず、不起訴相当とは、検察官の第1判断が適切であったという判断になります。このように判断されてしまった場合は、客観的に市民の目から見ても検察官の判断が正しかったということになります。この場合は残念ですが、再起訴は諦めることになります。

次に、不起訴不当とは、さらに詳しく審査すべきであるという結果の場合に出す判断です。また、起訴相当とは、議決の結果、起訴すべきであると判断に達した場合に、検察官に事件の再検討が義務付けられます。この2つの結果になった場合、検察官の再審査で起訴が行われる可能性が十分にあります。仮に、ここで検察官が不起訴という判断をしたとしても、検察審査会の判断が「起訴相当」であった場合は、第2段階の審査に進むことができるため、起訴の可能性が高くなるということです。

このように、一般市民の感覚で「不起訴が妥当か」が判断されることになります。交通事故被害者や遺族は不起訴に納得できない場合は、申し立てることにより起訴が実現するかもしれません。

4-3.検察審査会で「起訴議決」の場合は強制起訴手続きへ

第1段階の審査結果には、3つの判断があるとお話をしました。しかし、「起訴相当」の議決がなされた場合は、第2段階の審査が必要となります。そして、この結果によっては、検察官の意思は関係なく強制的に起訴手続きが行われることになります。

起訴相当の議決後、検察官が不起訴処分を再び行う場合や、原則として3ヶ月たっても起訴しない場合検察審査会の第2段階の審査が行われます。検察審査員で議論が行われることは同様ですが、補助員に対し法的助言を求めることが必要になります。また、起訴を強制的に行う「起訴議決」を行う場合には、検察官の意見聴取が必要になります。

上記のような審査が行われたあと、11人中8人の多数が得られた場合にのみ「起訴議決」となり、強制起訴の手続きがなされます。この場合、起訴自体は検察官ではなく、弁護士が代わりに行うことになります。

このように、強制的に起訴を行うためには、2段階の過程が必要になります。まずは、「起訴相当」の判断、それでも検察官が起訴しない場合には、「起訴議決」という判断が必要です。こういった構造があることを理解しておきましょう。

5.検察審査会への申立て

5-1.検察審査事務局で申立書を提出することが必要

では、実際の申立てはどのように行えばいいのでしょうか。

まず、申立てに費用は一切かかりませんので安心してください。必要なことは審査申立書に必要事項を記入し、最寄りの検察審査事務局に提出することです。審査申立書の記入内容などに疑問がある場合は、検察審査事務局に行って、直接助言を受けると良いでしょう。

審査申立書のフォーマット
http://www.courts.go.jp/vcms_lf/20002.pdf

検察審査事務局は全国に165カ所設置されています。そしてそのほとんどは、地方裁判所の建物の中にあります。以下が全国の検察審査会一覧表です。

全国の検察審査会一覧表
http://www.courts.go.jp/kensin/seido_itiran/index.html

以上から、申立て自体は難しいことではありません。検察の不起訴判断に納得がいかない場合には、最寄りの検察審査事務局に相談にいきましょう。

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