免許取り消しを軽減する方法|意見の聴取は意味ない?免れないの?
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天皇代替わりで定期的に議論が湧きおこる話題と言えば「恩赦」です。
実際に、令和の改元に伴って、即位礼正殿の儀に合わせた恩赦実施が決定されました(2019年10月18日閣議決定)。
上皇陛下の譲位により、31年間続いた「平成」が2019年4月30日で終わり、5月1日から元号変更され「令和」の時代となりました。
恩赦は、一般的には交通違反や刑罰が取り消されたり減軽されたりするイメージがあると思います。また恩赦はおかしいのではないかと感じる人もいるでしょう。
この記事では、特に令和の天皇即位により、スピード違反、飲酒運転、酒気帯び運転のように交通違反に関わることで処分を受けた方が恩赦の対象となるのかについて解説いたします。また恩赦の最近の事例、どんなときにするのか、理由や意義は、また免許のゴールドはもどってくるのか、免許取り消しはなくなるのか、無期懲役囚や死刑囚はどうなるのか、対象者やメリットはなどもわかりやすく解説します。
目次
そもそも「恩赦」とは、簡単に言えば、裁判により確定した刑罰を消滅あるいは軽減させる制度です。
例えば、有罪判決を受けて停止した公民権などの資格を回復したり、交通違反の問題も関わります。
令和の即位に伴う恩赦は、55万人が対象者になると発表され、決定しました。
恩赦は主に下記の5種類と以下のメリットがありますのでわかりやすく解説します。
ただし、令和改元の恩赦の種類は、大半は喪失・停止された資格を回復させる「復権」のみとなりました(申請に基づき個別に審査する特別基準恩赦を除く)。
いつどんなときに恩赦が行われるか、その最近の事例を解説します。
簡単にリストにすると、過去また平成、昭和など、戦後日本では以下の際に恩赦が行われました。
上記のリストを見れば意義・理由や必要性、なぜになんのために行われるのかがわかるでしょう。
「国家として大きな出来事があったとき」に受刑者もその喜びを分かち合いそのメリットを享受することを目的として行われます。
天皇の譲位が行われた令和の恩赦は、10月22日の「即位礼正殿の儀」(即位の礼)に合わせて実施されます。
日本で恩赦が行われるは平成以降、実に26年ぶりのこととなりました。
令和改元の恩赦の対象者となるのはどのような人たちなのでしょうか。
2019年10月18日の閣議決定の詳細が明らかにされましたが、今回の恩赦の対象者は、交通違反を始めとする罰金刑を受けた人で、納付後3年以上経過した55万人です。つまり、重い罪を犯して懲役刑や禁錮刑などの刑を受けた人は対象外です。
もちろん無期懲役囚や死刑囚なども対象外となります。
また、恩赦の種類も5種類の中から、原則として「復権」のみとされました。
例外的に、個別の申請に応じて行われる「特別基準恩赦」では、植物状態にあるなどの理由で治る見込みがなく、長期間刑の執行が停止状態にある人等について「刑の執行の免除」も実施されます(これには罰金刑以外も含まれます)。
このように、今回の恩赦はかなり限定的なものですが、交通違反についてはしっかり関わってきます。
恩赦の3年前(2016年10月21日)までに罰金を納付し、その後処罰されていない人が対象です。
法務省によると、今回は55万人中およそ8割は速度超過や酒気帯び運転など交通違反で罰金刑を受けた人で、道路交通法を始めとする交通法令違反者です。
ただし、罪種の限定はありませんので、道路交通法違反以外に、公職選挙法違反など様々なものが対象となります。
では、恩赦が行われると交通違反により受けた罰金や違反点数の加算といった処分が帳消しになるのでしょうか?ゴールド免許に戻れちゃったりするのでしょうか?
残念ながら、恩赦によって免許停止・免許取り消しなどの行政処分が取り消される、反則金が返還されることはありません。
既にご説明したとおり、恩赦は「裁判により確定した刑罰」、つまり「刑事処分」が対象となるからです。
違反点数の加算や、それによる免許停止、免許の取り消し、反則金などの処分は、刑事処分とは性質の異なる「行政処分」です。
よって、恩赦で運転免許が戻ることはありません。
恩赦の復権で交通違反の違反点数がリセットされて、ブルー免許がゴールド免許に戻ることもありません。
また、既に納付した罰金が返還されることもありません。
「復権」の恩赦なので、3年以上前に罰金を納付し、その後新たに刑に処されることのなかった交通違反者については、犯罪経歴証明書及び犯罪人名簿に記載される前科ではなくなります。
罰金刑の場合は通常5年で刑の言渡しが効力を失うため、最大で2年程度、前科の記録から消えるのが早くなるということです。
ただし、検察庁の管理する犯歴には残ります。
参考までに、前回の恩赦の内容をご説明しておきます。
前回の恩赦は1993年の皇太子陛下御成婚の際に行われました。
このときに行われた恩赦でも「交通法規違反者」や「公民権停止中の選挙違反者」を中心に行われ、殺人や強盗、死刑囚のような被害者のいる事件の受刑者が恩赦の対象になることはありませんでした。交通違反は対象になっても、無期懲役囚や死刑囚は簡単に最近は恩赦にはなりません。
こういったように、前回の恩赦が限定的なものとなった背景には、犯罪被害者の感情に対する配慮があると考えられています。恩赦はおかしいのではないかと感じる人が多いのです。
また、過去に行われた恩赦で、恩赦と同じ年に行われた衆議院選挙における選挙違反者が罰金刑を免除されて「政治恩赦」と批判されたことも、前回の恩赦が小規模なものとなった要因となりました。
令和の交通違反恩赦はなんのため、意義があるのか、必要性があるのか、ゴールドに戻るか、事例、対象者などをわかりやすく解説しました。
恩赦は国家的に大きな出来事が起きたときにしか行われませんので、今回の恩赦の対象になったとしたらある意味では幸運だともいえます。
また、免許停止や免許取り消しされたものが、恩赦で戻るわけではありません。
現在免許停止中の方や免許取り消しされた方は、通常の軽減手続きがおすすめですので、下記記事を参考にしてみてください。