交通事故の過失割合が9対1の場合に知っておくべき事と対処法

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交通事故で、自分は何も悪いことはしていない、運転ミスもないと信じているのに、示談交渉の際、加害者側の保険会社から、「過失割合は9対1で、被害者にも1割の過失があります」と告げられるケースがあります。

これほど心外なことはありませんが、保険会社の担当者は、「過失割合の数字は、事故のパターン毎に決まっている」と言い張ります。

本当にそうでしょうか?過失割合9対1は動かせないのでしょうか?

過失割合9対1の場合、慰謝料を含む示談金や修理代はどのように計算されるのか?

納得が行かない場合、どのような方法がとれるのでしょう?

この記事では、事例を踏まえながら過失割合9対1と告げられた被害者の疑問にお答えします。

何も悪くない気がするのに、過失割合9対1って変な気がするが、なぜなの?

実は、このような疑問を持たれる方はとても多いのです。何故、そんなことになってしまうのか? 以下では、例をあげて具体的に説明しましょう。

事例:信号機のない交差点での出会い頭事故で、一方が優先道路の場合

設例です。

Aさんの車(青い車)は、片側一車線の道路(「A道路」とします)を東方向から西方向に向けて走行していました。

Aさんが信号機のない交差点にさしかかったところ、交差する道路(「B道路」とします)の南方向(Aさんから見ると向かって左方向)から交差点に進入してきたBさんの車(赤い車)と出会い頭に衝突してしまいました。

A道路の方が広い道路であり、また、B道路は狭い路地で見通しも悪いです。

事故後、Aさんが友人に相談すると、友人は、「A道路の方が広いのだから優先道路であって、B道路側は少なくとも徐行する義務があるはずだよ。しかし、Bは徐行も一時停止もしていないのだから、Bの過失が100%で、Aの過失は0%だよ。」と説明しました。

たしかに、Aさん自身も、広い道路が優先道路だと習った記憶がありました。そこで、B側の保険会社との示談交渉で、自分には過失割合はなく、「10対0」だと伝えました。

ところが、保険会社は「9対1」だと主張して譲りません。何故でしょうか?

Bには明らかに二重の意味で過失があるのに……

A道路の幅員が明らかに広い場合には、B道路を通行する車両は、A道路の進行を妨害してはならない義務(道路交通法第36条第2項)があり、交差点に入ろうとする場合には徐行する義務(同条第3項)もあります。

しかも、道路交通法は、見通しのきかない交差点を通行する場合には、優先道路を通行する者を除いて、徐行義務があるとも定めており(同法第42条1号)、このケースのBには徐行義務があり、他方、Aには徐行する義務はないことは明らかです。

つまり、狭い道から、見とおしのきかない交差点に進行したBには、二重の意味で徐行する義務があったわけです。

Aさんが過失「0」だと主張するのも当然のように思えます。

緑本では過失割合「9対1」とされている?

ところが、このケースの過失割合の基本は、保険会社の主張するとおり、「9対1」なのです。

その理由は、優先道路を通行するAさんに徐行する義務はないとしても、交差点を通過する際には、特に他の車の動静に注意して、できる限り安全な速度と方法で走行することが義務づけられていることには変わりはないからです(同法36条第1項第4号)。

過失割合の判断基準が掲載されている代表的な本に通称「緑本」(※)があり、実務では事実上スタンダードとなっています。

この本の内容にしたがって解説すると、Aさんにも、前方不注視や若干の速度違反などの、「何らかの過失が肯定されることが多い。ここでは、上記のような通常の過失を前提として、基本の過失割合を設定している」とされています(緑本223頁)。

保険会社は、これを根拠に「9対1」を主張していたわけです。

※正式名称「別冊判例タイムズ38 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂5判」東京地裁民事交通訴訟研究会編

常に必ず「9対1」なのではない!

保険会社は「この事故のパターンでは、Aさんにも1割の過失がある」「残念ながら、交通事故である限り、一方の過失がゼロというのはありえないのです。我慢してください。」と往々にして結論が動かないかのように説明します。

しかし、これは正しい説明ではありません。

過失割合は10対0になる可能性もある

先の緑本の説明から明らかなとおり、この「9対1」という基本過失割合は、優先されるAさん側にも、「前方不注視」や「若干の速度違反」など「何らかの過失」があることが前提だからです。

Aさんに全く何の落ち度もない場合でも1割の過失割合を認めると言う意味ではありません。

したがって、例えば、Aさんが法定速度内で走行し、前方不注視などの過失もなかった場合には、当然に過失割合は「10対0」です

保険会社に騙されないためには

保険会社は、その事故パターンにおける基本過失割合の数値だけを振りかざして交渉することが間々あります。

ですが、基本過失割合の数値には、必ずその数値とした根拠があり、緑本をよく読めば、その根拠は必ず記載されています。数値の前提となっている根拠が崩れれば、過失割合は変わってくるのです。

したがって、保険会社の話に騙されないためには、緑本を入手して該当箇所やその前後をじっくりと精査する必要があります。

緑本は、大きな図書館であれば閲覧、貸出が可能ですし、ネット通販で購入することもできます。税抜き5,000円と高額ですが、過失割合は交通事故の損害賠償額を大きく左右しますから、5,000円で適正な賠償金を受け取ることができるなら、安い経費です。

「読んで見たが難しい……」という場合は「交通事故に強い弁護士」に依頼するのが一番楽で良いでしょう。

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過失割合9:1の修理費・慰謝料の金額

過失割合が9対1であれば、請求できる事故の損害を賠償する示談金の額は「総額の90%」となります。

過失割合は、損害賠償額の全体を対象とするため、慰謝料でも、車の修理費でも同じく総額の90%を請求することとなります。

ただし、人身事故の示談金のうち、自賠責保険が負担する部分については、被害者の過失割合が1割の場合、過失相殺は適用されません。

自賠責保険制度は被害者保護の制度だからです。

また例外として、損害賠償問題が訴訟となった場合に裁判所に損害として認められる弁護士費用があります。これは弁護士費用以外の損害に過失割合を適用し、算出された金額をベースとして、その10%~20%が弁護士費用と認定されますので、過失相殺の対象ではありません。

なお、代車費用についてお知りになりたい方は、是非、以下の関連記事もご一読ください。

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9対1に納得できない場合、過失割合を下げることは可能?どうすればいい?

①何らの過失もないことを主張する

例えば、先の例におけるAさんの場合、速度違反や前方不注視など、何らの過失もなかったから、基本過失割合である「9対1」の前提を欠いていると主張することが考えられます。

もっとも、示談交渉においては、保険会社がAさんの主張を簡単に受け入れる可能性は著しく低いと思われます。

また、訴訟となった場合、Aさんに1割の過失があることを主張、立証する責任は加害者側(保険会社側)に課されていますので、法律の理屈上は、Aさんは、自らの無過失を主張、立証する必要はないとされています。

ただし、実務は理屈どおりにしていれば勝てるものではありません。裁判官に味方になってもらうには、Aさんも積極的に自己の無過失を主張してゆくべきです。

また裁判官の頭にも、緑本の「9対1」という数値が入っていますから、例えば、本人尋問でAさんが「交差点に入るときに、後ろが気になって、ルームミラーをチラッと見ました」などとうっかり供述してしまうと、裁判官から「ルームミラーを見ていたという供述がありましたね。前方不注視で、やはり9対1です。」と言われかねません。実は、このようなケースは珍しくないのです。

過失相殺の問題に万全を期したいのであれば、交通事故に強い弁護士に依頼して、法廷対策を十分に行うべきでしょう。

②修正要素を主張する

仮にAさんにも何らかの過失が認められ、「9対1」が基本となる場合でも、B側の過失割合を加算する「修正要素の存在」を主張、立証することで、「10対0」とできる可能性があります。

例えば、設例の事故パターンでは、次の事実がB側の加算修正要素とされています。

  • Bの著しい過失:Bに10%加算
    脇見運転などの著しい前方不注視、スマホなどのながら運転、時速15キロ以上、30キロ未満の速度違反、酒気帯び運転など
  • Bの重過失:Bに15%加算
    酒酔い運転、居眠り運転、無免許運転、時速30キロ以上の速度違反、過労・病気・薬物の影響などにより正常な運転ができないおそれがあった場合など

著しい過失とは、脇見運転などの著しい前方不注視、スマホなどのながら運転、時速15キロ以上、30キロ未満の速度違反、酒気帯び運転などです。

重過失とは、酒酔い運転、居眠り運転、無免許運転、時速30キロ以上の速度違反、過労・病気・薬物の影響などにより正常な運転ができないおそれがあった場合などです。

まとめ

保険会社から、過失割合「9対1」と告げられても、必ず1割削られてしまうわけではありません。反論の余地はおおいにあるのです。

是非、弁護士に相談してみてください。



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