追突事故で慰謝料はいくらもらえるか|計算方法と金額相場を解説

- 「みんな追突事故の慰謝料は、いくらもらったのか?」
- 「追突事故で、怪我なしの場合は慰謝料がもらえないのか?」
追突事故被害にあったらいくらもらえるの?と感じている人が多いかと思います。
追突事故は交通事故の中でも比較的知名度の高い事故類型と言えるでしょう。そのためネット上でも、追突事故に関する疑問はブログやYahoo!知恵袋などでも話題になることが多いです。
この記事では、特に後ろから追突事故されて怪我をされた方のために、追突事故の慰謝料相場はいくらか解説します。また示談やもらえるお金について知っておくべき知識、人身事故慰謝料の自動計算機、軽い追突事故の場合は慰謝料がもらえるのか、むちうちと整骨院の関係なども解説します。
追突されたら慰謝料いくらもらえる?計算方法と金額相場
慰謝料算定の3つの基準
追突されたらいくらもらえるか、慰謝料がいくらもらえるかは、どの算定基準で計算するかによって変わります。
慰謝料の算定基準には「自賠責基準」「任意保険会社基準」「弁護士基準」があり、順に金額が上がっていきます。
まず「自賠責基準」での計算式を確認し、その後実例を挙げて計算してみます。
計算方法:入通院6ヶ月の慰謝料の金額相場
追突されたら入通院慰謝料はいくらもらえるかの金額相場は、自賠責基準で計算するときは、次の計算式で求めることができます。
- 「実治療日数 × 2」か「治療期間」のいずれか小さい方の日数 × 4,300円
この式を利用して、下記の治療期間がかかった場合の人身の入通院慰謝料の相場を求めてみましょう。
症状 | 骨折・全身打撲 |
---|---|
入院期間 | 2ヶ月 |
通院期間 | 4ヶ月 |
通院回数 | 週4回 |
1. 実治療日数 ×2・治療期間の計算をする
まず「実治療日数 ×2」と「治療期間」のどちらが日数が短いかを確認します。
「実治療日数 ×2」は以下のようになります。
- 入院2ヶ月を60日、通院4ヶ月を16週とする
- →「60日」+「(4回×16週)×2」=「248日」
一方「治療期間」は以下のような計算方法となります。
- 入院2ヶ月を60日、通院4ヶ月は120日とする。
- →「60日」+「120日」=「180日」
上記の計算から「治療期間」の180日の方が日数が短いことが分かります。
2.通院日数の比較から金額相場を求める
日数が短かった「治療期間」である「180日」を、次のように掛け合わせていくらもらえるか計算します。以下が追突されたらいくらもらえるかの一つの相場と言えます。
- 180日 × 4,300円(※)=774,000円
※ 2020年3月31日以前に発生した事故については、4,200円で計算する必要があります。
つまり、追突事故で打撲・骨折を負い、入院2ヶ月、週4回、4ヶ月間通院した場合は「774,000円」が入通院慰謝料となります。
弁護士基準の慰謝料相場は自動計算機をご利用ください。
一方、弁護士基準の人身の入通院慰謝料相場は、以下の交通事故慰謝料の「自動計算機」に、ご自身の入院日数や治療日数を入力すれば、簡単に試算することができます。
下記の緑のボタンをクリックすると、入力画面が表示されますので、いくらもらえるのか相場を是非ご確認ください。
また、計算機以外にも弁護士基準の計算方法や弁護士基準で請求するために知っておくべきことについても別途記事に詳述しております。併せて、ご一読ください。

- 初回無料相談
- 土日対応可能
- 慰謝料無料診断
自賠責基準と弁護士基準の慰謝料相場の比較
では、自賠責基準と弁護士基準で入通院慰謝料の相場がどれくらい違うのか、比較してみましょう。
通院期間 | 自賠責基準(※1) | 弁護士基準 | |
---|---|---|---|
軽傷の場合(※2) | 重症の場合 | ||
1ヶ月 | 129,000円 | 190,000円 | 280,000円 |
2ヶ月 | 258,000円 | 360,000円 | 520,000円 |
3ヶ月 | 387,000円 | 530,000円 | 730,000円 |
4ヶ月 | 516,000円 | 670,000円 | 900,000円 |
5ヶ月 | 645,000円 | 790,000円 | 1050,000円 |
6ヶ月 | 774,000円 | 890,000円 | 1160,000円 |
弁護士基準をあてはめると入通院慰謝料だけでも自賠責基準の1.5~1.8倍くらいまで増額されます。
慰謝料算定の3つの基準のうち、弁護士基準のみが裁判例などを基にした唯一法的に妥当な基準だからです。
※1 1ヶ月=30日として計算しています。
※2 「軽傷の場合」とは、むちうちで他覚所見がない場合、軽い打撲、軽い挫創を言います。
追突事故慰謝料相場の増額のためのポイント・注意点
①車の事故では、通院期間・治療期間が大事
上記の通り、入通院慰謝料は治療期間に応じて計算されるので、途中で打ち切ると慰謝料が低額になります。
人身の追突事故で慰謝料を増額させるには、必要な期間しっかりと治療を続けることが重要です。
② むちうちで整骨院などでの治療でも慰謝料請求は可能
追突事故でむちうちを患った場合には、病院ではなく整骨院に通われる被害者も多数おられます。きちんと手続きをとれば整骨院の治療費や日数分の慰謝料も払ってもらえます。
ただし整骨院は病院とは異なるので、必ず全額の支払いを受けられるとは限りません。整骨院通院の治療費や慰謝料が認められるのは「医学的に整骨院治療が必要なケースのみ」です。そもそも「医師の同意」がなければ整骨院の費用がまったく支払われない可能性もあります。
整骨院に通う場合には、必ず事前に医師の承諾を取り、通院開始後併行して病院に通って医師の意見を聞きながら通院しましょう。
③ 過失割合についてもしっかり対抗する
追突事故の過失割合は通常10対0が多いでしょうが、過失割合でもめることもあります。
典型的なのは、被害車両が不必要な急ブレーキを踏んだ追突事故の場合です。運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き急ブレーキをかけることは禁止されているため、追突された車両にも、3割の過失が認められます。
どんなに高額な賠償金が認められても過失割合が高くなったら大幅に過失相殺されて、慰謝料が減額されてしまいます。
たとえば500万円の慰謝料が発生しても、過失割合が3割になったら請求できる金額は350万円に減額されます。
事故の相手が「被害者が急ブレーキをかけたから追突した」、「ウインカーも出さずに、急に前方に割り込んできたので避けられなかった」などと嘘をついてくるケースも少なくないので、しっかり対抗しましょう。
④過失割合10対0で、過失相殺はされない
もらい事故の場合は、原則として過失割合10対0のため、上記のように慰謝料・示談金が過失相殺によって、減額されることはありあません。
⑤ 軽い追突事故で怪我なしなら慰謝料もなし
軽い追突事故の場合、被害者が怪我なしのケースが多々あります。
しかし、たとえ愛車や特別な車であっても、車が壊れただけなら慰謝料を請求することはできません。
裁判所は「車の故障のみのケースでは慰謝料を認めない」扱いを徹底しています。どんなにお気に入りの車でも、身体や生命を損傷したケースとはレベルが違うと解しているからです。
⑥追突事故の場合、保険会社が示談を代行してくれない可能性
車の追突事故、特にもらい事故のような被害者の過失割合がゼロの場合、被害者側の保険会社が示談の代行をすることはできません。
そこで、追突事故の被害者は、自分で示談交渉をするか弁護士に依頼するかを選択しなければなりません。
交通事故の慰謝料増額方法の解説動画
交通事故の被害に遭った時に慰謝料をできるだけ多くもらうためのポイントについて解説します。
よくある質問
後ろから追突事故で認められる慰謝料は何?
後ろから追突された事故で、なおかつ人身事故になった時に認められる慰謝料は以下の3種類に分けることができます。
- 傷害による慰謝料(入通院慰謝料)
- 後遺障害による慰謝料
- 死亡による慰謝料
なお、後ろから追突された事故で「当事者に怪我がない場合」(物損事故)については、原則被害者は慰謝料を相手に請求することはできません。
追突事故被害者は慰謝料請求のために弁護士が対応すべきか?
被害者が慰謝料を計算して相場以上の金額を請求する際に、弁護士が対応したほうが手間がかからず楽そうですが、弁護士費用の問題もあります。ここでは弁護士依頼と被害者が自分で対応することについて解説します。
自分で示談交渉した場合のメリット・デメリット
自分で示談交渉すると、以下のメリット・デメリットがあります。
弁護士費用が不要となる
自分で交渉する最大のメリットは、交通事故の弁護士費用がかからないことです。
自分で示談交渉や慰謝料を請求するため、弁護士に対する費用は一切かかりません。
被害者が治療に専念できない
一方で、デメリットもあります。
被害者が示談に注力するばかりに、通院がおろそかになるケースです。この場合、治療が遅れ、示談成立の時期にも影響します。
慰謝料の増額が見込めない
被害者自身が示談交渉した場合、加害者側の保険会社は、弁護士基準での慰謝料を主張しても認めてくれることはまずないでしょう。
慰謝料は任意保険基準での算定となり、弁護士基準と比べると「慰謝料が低額」となります。
弁護士費用特約を利用して対応を依頼した場合のメリット
弁護士費用特約を利用して、弁護士に示談を依頼する方法があります。
被害者が加入する保険に弁護士費用特約のオプションが付いてる場合があります。
この場合、上限300万円まで、自己負担なく示談交渉すべてを弁護士に任せることができます。まず、弁護士費用で足が出ることはありません。
すべて弁護士にお任せして、被害者自身は治療に専念することができます。
また弁護士特約に加入していない場合も、最近では、まず無料相談を受けてくれる法律事務所も多数ありますので、メールや電話で相談をして、見積もりをとって、費用倒れにならない事務所を見つけるという手も良いでしょう。
追突事故に遭ったとき、お困りの際には交通事故に熱心に取り組んでいる弁護士に相談してみて下さい。