物損事故のお詫びの仕方・謝罪文の書き方【超入門・文例付き解説】
万が一、自分の不注意で他人の車や自宅の塀などを破損させた場合、怪我人がなければ「物損事故」となります。 物損事故を起…[続きを読む]
『物損事故の被害者から示談や念書を求められた』
物損事故を起こしてしまうと、事故の被害者から、示談金額や原状回復の「念書」を求められることがあります。念書とは、「後日の証拠として念のために書いて相手に渡しておく書面」のことです。
今回は、この「念書」につきまして、加害者の立場から注意するべき点を解説します。
物損事故では、たいていの場合加害者側に100%の責任がありますので、念書を断ることは立場として厳しいところではあります。
しかし、保険会社が責任を持って原状回復を行うことを伝え、示談や念書には応じないようにすることが大切です。
当事者間で勝手に示談してしまうと、損害賠償に関して当事者同士で合意したことになり、後から取り消すことができません。
保険会社で支払う保険金額は、基本的には原状回復に要した費用であり、被害者がそれ以上の金額を要求しても支払われません。つまり、もし念書で取り交わした損害賠償金額が高額なものだった場合、ご自分でその金額を負担することになりかねないのです。
被害者が感情的になって、『これは1,000万円もするものだから、全額賠償しろ!」などと言ってくるケースもあります。しかし、原状回復に要する費用は、業者の見積もりをとらないとわかりません。
具体的な金額の支払いを個人間で約束することは、絶対に避けてください。
とは言っても、被害者から『念書を書くまで帰さない』という雰囲気で、非常に強く念書を求められるケースもあります。
そのような場合、加害者はどう対処をすれば良いのでしょうか。
特に、業務中に得意先の敷地内で物損事故を起こした場合、ビルオーナーや管理会社の担当者に囲まれて、厳しく追及を受けることもあるようです。得意先の担当者や上司にまで話が伝われば、念書に応じなければ契約を切られかねない状況に陥るかもしれません。
ここからは、念書を書かざるを得ない状況になった場合の念書の書き方をご説明します。
加害者を甲、被害者を乙として、基本的には、事故の内容、原状回復にかかる費用の弁済方法、事故処理が○○警察署でされたことを書き、それ以外の余計なことは書かないことが大切です。
最後に、甲欄に自分の署名および印(印鑑を持っていなければ母印)を押し、自分の車輌の車輌番号、車種、色を書きます。乙欄には被害者に署名および印(印鑑を持っていなければ母印)を押してもらい、もし物損事故の対象が乙の車輌の場合は、乙の車輌番号、車種、色も書きます。
できれば念書を2部作成し、加害者、被害者でそれぞれ所持してください。2部作成するのが難しければ、念書をコピーするか写真に撮ってから被害者に渡してください。
これにより、念書を変造・偽造されることを防ぎます。
□□様
私(以下甲という)は、□□様(以下乙という)の駐車場にて、誤って甲の車両を停止していた乙の車両に衝突させてしまい、乙の車両を損壊させてしまいました。誠に申し訳ございません。
乙の車両の修理代金の実費を、甲が加入する車両保険の代金で弁済することを約束いたします。
なお、事故処理は○○警察署で処理されています。
平成××年××月××日
甲)□□ □□ 印(母印)
車両ナンバー 練馬 31 ○ 12-34
プリウス黒
乙)□□ □□ 印(母印)
車両ナンバー 足立 31 ○ 56-78
カローラ白
しかし、場合によっては、被害者から『この通りに書け』とこちらに不利な内容を指定されることもあり得ます。
念書は契約を交わしたということの証拠であり、基本的にはそれだけでは法的拘束力はありません。念書を書くのは加害者ですが、通常、保険会社が被害者と交渉をしますので、保険会社と被害者の間では何の効力もありません。
つまり、被害者から、念書を書いただろうと直接賠償を迫られたとしても、保険会社に一任しているので保険会社と交渉してくださいと言えば済む話なのです。
念書が効力を持つとすれば、最終的に保険会社との交渉が決裂し、被害者から損害賠償の裁判を起こされた場合です。この場合、念書は契約成立の有力な証拠となり、被害者が裁判を有利に進めることができます。
一般常識に照らして法外な内容は、公序良俗に反し、その部分は無効となります。また、強迫されて書かされた念書は無効になります。
たとえば、通常なら100万円程度の修理費で済む破損内容に対して、法外な価格をふっかけられ、1,000万円払いますと書いたとしても無効になるのです。
まずは、このことを相手方に説明してみてください。
それでも一方的に念書を書けと強迫されたり、身の危険を感じたりするようなら、その場では書かざるを得ませんが、その後すぐに警察や弁護士に相談することをお勧めします。
念書を書くことは出来る限り避けるべきだと解説しましたが、物損事故の被害者の方に対して、念書とは別にしっかりと謝罪するべきです。
そこで、重要なのは謝罪文を作成することです。
物損事故を起こしてしまった際の謝罪文の書き方は、以下の記事を参考にしてください。