交通事故の過失割合とは|相手のゴネ得?決め方は?おかしい場合は?

交通事故の過失割合
  • 相手がゴネて過失を認めず、ゴネ得が成立しそうな方
  • 自分の過失割合におかしい、納得いかない方
  • 過失割合の決め方・計算方法を知りたい方
  • 最終的に、過失割合は誰が決めるのか知りたい方

交通事故で問題になりやすいのが「過失割合」です。示談交渉中にもめる事も多く「相手が過失割合に納得しなくておかしい、しんどい」「ゴネ得なの?」「いつになったら決まるんだ」と感じることもあるかもしれません。

この記事では、Yahoo!知恵袋やTwitterでも話題の、交通事故の損害賠償金額に関わる過失割合について、定義、誰が決めるか、いつ決まるか、また被害者でも過失があれば自己負担が生じるのか、減らす方法、もめる時の対処法、ゴネ得にならない方法、納得いかない時の決め方も含めて解説させて頂きます。

交通事故の過失割合とは

過失割合の基本

過失割合とは、交通事故についてのお互いの過失の度合いを割合で示したものです。言い換えると「どちらにどれだけの落ち度があったのかを示すもの」とも言えます。

例えば、「60%:40%」や「5対5」などと割合を数字で表します。

交通事故のほとんどのケースで当事者双方に過失が認められます。

自己負担の金額(治療費・修理費など)が過失割合により変わる

交通事故の加害者は、被害者に対し、「過失割合に応じて減額」した損害賠償金を支払うことになります。

たとえば、損害賠償額全体が1000万円で過失割合が40:60であるケースと、30:70のケースを考えてみましょう。

過失割合40:60の場合に実際に支払われる損害賠償額
1000万円 ― 1000万円 × 被害者の過失分40/100 = 600万円

過失割合30:70の場合に実際に支払われる損害賠償額
1000万円 ― 1000万円 × 被害者の過失分30/100 = 700万円

上記の通り、自賠責や保険会社から受け取れる修理費や慰謝料、治療費まで支払い額が大きく違ってくることが分かります。

つまり、過失割合は被害者でも過失があれば自己負担が生じ、被害者が受け取れる賠償金の総額を大きく左右する極めて重要な要素なのです。

交通事故の過失割合でゴネ得?「もめる」「決まらない」原因

交通事故の示談交渉は、過失割合でもめて決まらず、難航することが多く、ゴネ得だと言われがちです。その背景には何があるのでしょう。誰のせいなのか、それとも決め方が難しいのでしょうか。

客観的証拠の少なさが原因

過失割合の決め方でもめる最大の原因は「客観的証拠」が少ないからです。

特に、証拠が当事者の証言だけに大きく依存する場合、ゴネ得狙いによる証言の食い違いや単なる記憶違いから、過失割合でもめるケースに発展しがちです。

もめるケースにならないよう、事故の証人や車載カメラ、防犯カメラなどの客観的な証拠を出来るだけ探す必要があります

客観的な証拠で証明できなければ、過失割合には反映されにくく、相手のゴネ得になることもあります。

当事者同士の話し合いが原因

客観的証拠が見つからない場合も、当事者だけでの過失割合の交渉は極力避けないと、過失割合が決まりにくくなりがちです。

「被害者・加害者と双方の保険会社との4社面談をする」、また「交通事故調査会社などの第三者機関への調査を依頼する」などの方法も可能です。

ただ、その場合も主張の対立は避けられないので、過失割合の交渉自体をスムーズに進めたいなら、また相手のゴネ得を許したくないなら弁護士に相談するのが最善です。

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過失割合は、誰がいつ決めるか

実際、過失割合は誰が決めているのか?

実際、過失割合を決めているのは「任意保険会社」の場合が多いです

なぜなら、任意保険会社と被害者が直接示談交渉する場合、任意保険会社は自分の支払を少なくするために、多くの場合、被害者は過失割合の基準を知らず、そのまま示談してしまうからです。

そのため、きちんと「過失割合の認定基準」を把握しておくことが必要になります。

連絡こない?過失割合はいつ決まる・いつ出る?

過失割合は、損害額確定後に合意するのが一般的です(もちろん、そのケースが多いというだけで、損害額確定前に過失割合を決めてもかまいません。)

しかし、当事者の双方が納得がいかず、決まるまでに相当な時間がかかってから結果が出るケースもあるようです(※)。

また、保険会社から連絡がこない方は、下記ページも併せてご参考ください。

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※ 損害賠償請求権の消滅時効が「3年」なので、交渉が長期にわたる場合は要注意です。

適正な過失割合の決め方・計算方法を解説

適正な過失割合算定の判断基準

適正な相手と自分の過失割合を計算して決めるためには、裁判例などに基づいて作成された基準表が掲載されている次のような本で調べる必要があります。

民事交通訴訟における過失相殺率等の認定基準(別冊判例タイムズNo.38)
東京地裁民事交通訴訟研究会 編著

損害賠償額算定基準(通称「赤い本」)
公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部 編

交通事故損害額算定基準(通称「青い本」)
公益財団法人日弁連交通事故相談センター 編

これらの本には、自動車と自動車の事故、自動車と二輪車の事故、自動車と歩行者の事故など事故の当事者ごとに場合分けされ、事故の態様に応じてそれぞれの当事者の過失割合の基準が書かれています。

実務では別冊判例タイムズが一定の基準となっているので、この記事では別冊判例タイムズの表を参考に、具体的な過失割合の出し方について説明していきます。

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自動車事故の事例|適正な過失割合を考えてみる

次のような事例で相手と自分の過失割合の決め方をみていきましょう。

自動車事故の事例|適正な過失割合を考えてみる
〈ケース〉
車Bで信号機の設置された交差点を直進していたところ、対向車線から、交差点を「徐行せずに」右折しようとする車Aと衝突して怪我を負った。
なお、双方とも青信号で交差点に進入しており、被害者(車B)には前方注視義務違反があるとする。

基本の過失割合を知る(類型別)

過失割合には、交通事故のケースごとに、基本の過失割合というものがあります。
同じような事故の処理を公平にするためです。
類似のケースはすべて同じような過失割合になるように作られています。

上記の事例では、基本の過失割合は、加害者(車A):被害者(車B)=80:20です。

過失割合の修正要素を加算・減算する

基本の過失割合の他に、「修正要素」と呼ばれるものがあります。

修正要素とは、基本の過失割合を修正すべき加害者または被害者の特別な事情を定型化したものです。

たとえば上記の事例では、加害者の運転する車が「徐行なし」に右折していますが、これが「修正要素」の一例です。

上記事例における修正要素のいくつかと計算結果を下表に示しておきます。

修正要素 車A:車B =80:20
車Bに徐行なし 車A:車B =70:30(車Aの過失割合が―10)
車Aが15km以上の速度違反 車A:車B =90:10(車Aの過失割合が+10)
車Aが30km以上の速度違反 車A:車B =100:0(車Aの過失割合が+20)

加害者が徐行していない場合、加害者の基本の過失割合に10を加算し、被害者の基本の過失割合から10を減算することになります。

したがって、上記事例における適正な過失割合の目安は、加害者(車A):被害者(車B)=90:10と考えられます。

このように、過失割合の算定においては、「基本の過失割合」と「修正要素の有無」の両方を確認・検討する必要があります。

修正要素の著しい過失と重過失

過失割合の修正要素には、著しい過失と重過失があります。

著しい過失とは、通常想定されているよりも大きな過失のことです。これがあると、その当事者の過失割合がだいたい計算すると10%~20%くらい上がります。

重過失とは、故意と同じ程度の重大な過失のことです。これがあると、その当事者の過失割合がだいたい20%~30%くらい上がります。

自動車の場合の著しい過失には、たとえば以下のようなものがあります。

  • わき見運転のケースなど、著しい前方不注視がある
  • 著しく不適切なハンドル・ブレーキ操作
  • 携帯電話で通話しながら運転していた
  • 画像を見ながら運転していた
  • 一般道路上で、だいたい時速15km以上30km未満のスピード違反
  • 高速道路上で、時速20km以上40km未満のスピード違反
  • (高速道路上でも、合流地点の進入路付近では一般道路と同様の扱いになるケースもある。)
  • 酒気帯び運転

自動車の場合の重過失には、たとえば以下のようなものがあります。

  • 酒酔い運転
  • 居眠り運転
  • 無免許運転
  • 一般道路上で、だいたい時速30km以上のスピード違反
  • 高速道路上で、時速40km以上のスピード違反
    (合流地点の進入路付近では一般道路と同様の扱いとになるケースもある。)
  • 過労、病気、薬物などによって正常な運転ができないおそれがあるのに運転していた

自分の側に上記のような修正要素がある場合には、自分の過失割合が上がってしまって損害賠償請求ができる金額が減ってしまうので、くれぐれも自動車を運転する場合には問題のある運転方法をしないように気をつけましょう。

なお、ケース別の過失割合については、下記ページから調べてみてください。

過失割合がおかしい!納得いかない場合

交通事故の場合、自分の過失割合を減らすことは、請求できる損害賠償額を増やし、有利に示談するために重要な要素です。

以下の記事で解説するとおり、自己調査を行って保険会社と対峙するケースもあります。

しかし、実際には個人で保険会社を論破するのは難しい場合が多いです。

そのため、後述する通り「弁護士への相談」が適切な選択となるでしょう。

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相手が過失を認めない場合|「ゴネ得」ヘの対処法

交通事故の相手方との間で過失割合を決定する際、相手が認めず、うまく折り合いがつかないケースがあります。この場合、うまく反論できずに相手のゴネ得になってしまうケースさえあります。

そこで、以下では過失割合の争い方をご説明します。

まずは示談交渉をする

過失割合を決定する際には、まずは示談交渉をします。

示談交渉の場において、過失割合に争いがあれば、それぞれが自分の主張する過失割合の根拠を示して、話し合いをすすめていきます。

被害者個人が示談交渉している場合に過失割合がうまく決まらない場合、弁護士に依頼すると過失割合がすんなり決まることもあります。

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調停、ADR、仲裁を利用する

示談交渉では過失割合を決められない場合には、調停やADRを利用することができます。

調停とは、裁判所で調停委員に間に入ってもらって相手と話し合って交通事故の損害賠償金を定める方法です。ADRとは、交通事故紛争相談処理センターなどの機関が実施している交通事故の調停や仲裁手続きのことで、交通事故の損害賠償金を決めてもらうことなどができます。

これらの手続きを利用する事によって、両社に折り合いがつけば相手のゴネ得にはならず、過失割合についての争いも解決できます。

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裁判・訴訟で決定する

示談もできず、調停やADRを利用しても過失割合についての争いが解決できない場合には、裁判所の訴訟手続きを利用して過失割合を決定する必要があります。この場合の訴訟手続きは、損害賠償請求訴訟になります。

損害賠償請求訴訟では、当事者の主張と証拠にもとづいて裁判所が適切な過失割合を決めてくれます。この場合には、過失割合の認定基準に沿った決定になります。

被害者が自分一人で訴訟手続をすすめるのは困難なので、損害賠償請求訴訟を起こす場合には、弁護士に依頼することをおすすめします。

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まとめ

今回はYahoo!知恵袋やTwitterでも話題の、過失割合の計算方法や、被害者でも過失があれば自己負担が生じることについて、また誰が決めるのか、相手が納得しない・ごねる時、もめてしまう時の対処法などを解説致しました。

過失割合は、損害賠償額全体に大きな影響を及ぼす非常に重要なものです。

ですから、保険会社から提示があっても容易に合意することなく、適正な過失割合を求めることが後悔の少ない示談につながります。

そして、保険会社との過失割合の交渉には、ご自身やご家族の弁護士費用特約などを活用するなどの方法で、弁護士に相談することが適正な過失割合にする最大のポイントになるといえるでしょう。

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