自賠責保険と任意保険の違い|どっちも必要?使うと金額は上がる?

車を運転する際に加入する保険は、大きく分けると自賠責保険と任意保険があります。しかし、それぞれどのような違いがあるのか、正確にご存知でしょうか?

この違いを正しく理解されていない方が多いようで、実際に交通事故に遭われた後に後悔するケースが多々あります。

  • 自賠責保険と任意保険は両方加入する必要があるの?
  • 加入するとき、自賠責保険と任意保険は同じ会社じゃないとダメ?
  • 事故被害にあったら、自賠責保険も任意保険も両方賠償金もらえるの?
  • 加害者になったら、自賠責保険と任意保険どっちを使うべき?どちらから使うべき?

そこで、今回は上記のようなお悩みをお持ちの方向けに、自賠責保険と任意保険の違いについて徹底解説します。

自賠責保険と自動車(任意)保険の5つの違い

最初に、自賠責保険と任意保険の違いについて、まとめたチャートをご覧ください。

このチャートに従って説明していくことにしましょう。

項目自賠責保険任意保険
保険加入法律で車両所有者に加入義務任意
保険の目的被害者(怪我した人、死亡した人)に対する最低限の補償自賠責保険の不足分を補う
補償内容限度額:法令により規定
対人賠償のみ(物損は含まない)
限度額:加入者の選択
保険商品プランによって異なる
示談交渉示談代行サービスなし示談代行サービスあり
過失相殺被害者の過失割合70%未満まで過失相殺なし
被害者にそれ以上の過失があると減額措置
厳密に行う

1.強制加入と任意加入の違い

自賠責保険は強制加入

自賠責保険は、自動車・バイクに乗る際に、自動車損害賠償保障法に基づき強制保険として契約が義務付けられている保険です。

そのため、自賠責保険は自動車・バイクに乗る際には必ず加入していなければなりません。万が一加入しないまま走行すると1年以下の懲役又は50万円以下の罰金と罰則が科せられます。

任意保険は任意加入

これに対し、任意保険はその名の通り、加入するかどうかは本人の意思に委ねられており、必ずしも加入する必要はありません。

ただし、多くの方が任意保険に加入しているのが実情です。損害保険料率算出機構の「自動車保険の概況 2019年版」によれば、2019年3月末時点での任意保険の加入率は74.8%となっています。

【参考外部サイト】「自動車保険の概況」143頁|損害保険料率算出機構

2.保険の目的の違い

自賠責保険の目的

自賠責保険の目的は、交通事故被害者の「生命や身体の被害に対する最低限の救済」であり、補償の対象は「対人賠償」のみに限定されます。そのため、物損事故は補償の対象外であり、自損事故で怪我をしたとしても、自賠責保険から保険金を受け取ることはできません。

自賠責保険は、あくまで交通事故被害者に対する最低限の補償だからこそ、「強制加入」となっているのです。

任意保険の目的

一方で、任意保険は、自賠責保険では、補償しきれない損害をカバーするために加入します。自賠責保険は、被害者に対して最低限の補償しかしないため、現実には、被害者の損害を賠償しきれず、加害者が実費で被害者に賠償をしなければならなくなります。

そんな事態を回避するために、自賠責保険に「上乗せ」する形で加入するのが「任意保険」です。

したがって、被害者は、自賠責保険と任意保険両方から二重に保険金をもらえるわけではありません。

あくまで自賠責保険の保険金だけでは足りない部分を任意保険に支払ってもらうことになります。

また、任意保険の場合は、対人賠償に限らず、物損事故などの対物賠償や自損事故でも保険金が下りる人身傷害など非常に幅広い範囲をカバーすることができます。

3.補償内容の違い

自賠責保険によって支払われる保険金には、その項目ごとに次のような「限度額」が設定されています。

自賠責保険の補償金額

自賠責保険の補償金額の限度額は下記のとおりです。

損害の種類上限額
傷害による損害120万円
後遺障害による損害後遺障害等級に応じて75万円~4,000万円
死亡による損害3,000万円
傷害による損害の内訳

傷害による損害には、治療費、入通院交通費、看護料、診断書作成費用などの治療関係費や、休業損害、傷害慰謝料などが含まれます。

後遺症による損害の内訳

後遺障害認定の等級に応じて上限が設定されています。後遺障害による損害には、後遺障害慰謝料や逸失利益などがあります。

死亡による損害の内訳

葬儀料や逸失利益、死亡慰謝料などがこれに該当します。

自賠責保険は交通事故被害者のための最低限の救済を目的としているため、補償される金額も必要最低限度にとどまる金額となっています。

任意保険の補償額

任意保険の補償限度額は、自動車保険を契約する際に設定する事ができ、対物賠償や対人賠償などは「無制限」とすることも可能です。

もしも自賠責保険で限度額をオーバーしても、任意保険に加入していれば、相手方に対する損害賠償を心配する必要がほぼなくなるのです。

4.示談交渉の違い

自賠責保険の示談について

自賠責保険は被害者の救済を目的とするので、示談交渉を代行するようなサービスはありません。

そのため、任意保険に加入していなければ、自分で相手方と示談金の金額や過失割合について交渉しなければなりません。

任意保険の示談について

これに対して、任意保険の場合は、保険会社が示談交渉をしっかりと代行してくれます。

これは、保険会社が支払う保険金をできるだけ抑えるために、相手方と積極的に示談交渉を行ない、示談金を引き下げようとする目的もあります。

通常、示談交渉の代行は、弁護士にしかできない業務のため、一般の人が行なえば非弁行為となりますが、保険会社の場合は、保険金を支出する当事者であり、利害が直接関係するため、示談交渉を代行することができるのです。

また、弁護士に依頼する場合にも、「弁護士費用特約」が付帯されている任意保険に加入していれば、弁護士費用を通常300万円を限度として保険会社が負担してくれるので、弁護士費用倒れになることはまずありません。

関連記事
弁護士費用特約の使い方とメリット、デメリット、注意点を解説!
自己負担0円で弁護士依頼できる弁護士特約をご存知ですか?この記事では、弁護士費用特約の使い方やメリット・デメリット、…[続きを読む]

5.過失相殺の違い

自賠責保険の過失相殺

交通事故では、被害者にも一定の過失割合がつく事が多々あります。

任意保険では、被害者に過失があると、保険会社から支払われる保険金は過失相殺によって減額されてしまいます。

しかし、「被害者の救済」を目的とするため、被害者に、70%以上の過失がなければ、保険金は、過失相殺なく支払われます。

また、被害者に70%以上の過失があっても、下表の通り、被害者に有利な減額割合となります。

被害者の過失割合減額割合
後遺障害・死亡傷害
70%未満減額なし減額なし
70%以上80%未満20%減額20%減額
80%以上90%未満30%減額
90%以上100%未満50%減額

任意保険の過失相殺

保険会社は、任意保険の保険金については極力抑えたいと考えます。国が定めた自賠責保険とは違い、任意保険は、保険会社の商品です。保険会社も一民間企業であり、利益の追求をすることに変わりありません。

そのため、被害者に過失がある場合はしっかりと過失相殺されて保険金は減額されます。

関連記事
automobile crash accident on street, damaged cars after collision in city
過失相殺とは?過失割合との関係や有利にする方法も解説!
交通事故の損害賠償が紛争となるとき、その原因の多くを占めるのが「過失相殺」の争いです。 被害者であっても、過失割合5…[続きを読む]

自賠責保険と任意保険は両方加入すべきか

ここまで解説してお分かりいただいた通り、任意保険は自賠責保険を補う関係にあり、任意保険と自賠責保険どっちを先に使うといった並列の関係にはありません。

任意保険と自賠責保険は、2階建て構造と理解するとわかりやすいでしょう。まず1階部分は支払限度額がある自賠責保険です。その上に限度額を補う2階部分として、任意保険があります。

しかし、自賠責保険に入っているから大丈夫だという認識は誤りです。

仮に事故を起こして裁判になった場合、慰謝料は、自賠責基準の金額よりも数倍高い裁判基準によって算定されることとなります。

そうなれば、当然自賠責保険から支給される保険金では足りず、残りは全額実費で賠償しなければなりません。現実的にお金がなければ「自己破産」に追い込まれる可能性すらあります。

その上、飲酒運転やひき逃げなど重過失によって事故を起こした場合などは、自己破産をしてもその損害賠償請求権は免責されません。

そのくらい重い十字架を背負う事になるのです。そんなリスクを負うくらいであれば、自分自身のために、任意保険にも加入すべきでしょう。

関連記事
被害者請求
後遺障害申請を被害者請求でするメリット・デメリット
交通事故の後遺障害等級認定は、事前認定より被害者請求がなぜよいのかご存知ですか? 今回は後遺障害等級認定申請の「被害…[続きを読む]

自賠責保険と任意保険は同じ保険会社でなくてもかまわない

では、自賠責保険と任意保険は同じ保険会社を使って加入しなければならないのでしょうか?

そんなことはありません。自賠責保険と任意保険を加入する保険会社が異なっていても、問題ありません。

任意保険に加入する保険会社が窓口となって自賠責保険の保険金の支払いも一括して行う、「一括払い」のサービスも利用することができます。

関連記事
交通事故での任意保険一括払い制度とは?正しい利用方法を解説!
交通事故で負傷した場合、加害者が任意保険に加入していれば通常、被害者の治療費は任意保険会社から一括して支払われること…[続きを読む]

使うと上がる?|自賠責保険の任意保険の保険料について

最後に、自賠責保険と任意保険の保険料の違いについて少し触れておきましょう。

使っても保険料が変わらない自賠責保険

自賠責保険には、任意保険にあるような等級制度がありません。自賠責保険を使ったからといって、保険料が上がるようなこともありません。

反対に、無事故であれば、保険料が下がるといったこともありません。

使うと等級が下がり保険料が上がる任意保険

他方、任意保険は、使うと等級が下がり、保険料が上がる仕組みになっています。

任意保険には、等級制度があり、物損事故でも人身事故でも保険を使うと、等級が下がります。保険の等級とは、保険料を決める基準となるものです。

一部例外を除き、通常、人身事故・物損事故を起こすと3等級下がります。また、等級は、保険料の割引率にも結び付いており、事故を起こせば割引率も下がります。3等級下がると翌年度から3年間、事故ありの等級が続き、割引率の低下も加味されその分保険料は上がります。

詳しくは、ご加入の保険会社にご確認ください。



交通事故に強い弁護士に無料相談できます

  1. 保険会社が提示した示談金・慰謝料に不満だ
  2. 事故の加害者・保険会社との示談交渉が進まない
  3. 適正な後遺障害等級認定を受けたい

弁護士に相談することで、これらの問題の解決が望めます。
保険会社任せの示談で後悔しないためにも、1人で悩まず、今すぐ弁護士に相談しましょう。

 

土日の電話受付対応、弁護士報酬は「後払い」、初回相談料と着手金は完全無料!

土日の電話受付対応、弁護士報酬は「後払い」、初回相談料と着手金は完全無料!

全国対応の「交通事故専門チーム」によるサポートが特徴の法律事務所です。まずは、交通事故専門チームによる「慰謝料無料診断」をご利用下さい。
お電話でのお問い合わせはこちら
050-5267-6329
[電話受付]平日 9:30~21:00 土日祝 9:30~18:00
電話で相談する 弁護士詳細情報はこちら 弁護士詳細情報はこちら
都道府県から交通事故に強い弁護士を探す

あなたへおすすめの記事