人身傷害保険は本当に必要か?搭乗者傷害保険との違いはない?徹底解説

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交通事故の被害者になってしまったら、相手の保険会社から賠償金の支払いを受けるだけではありません。

被害者自身が加入している自分の保険会社に請求できる見舞金・一時金のようなものがあります。

この記事では、特に「人身傷害保険」「搭乗者傷害保険」について両方解説致します。

自分の保険会社(例えば損保ジャパン、あいおいニッセイ、ソニー損保など)への請求できる保険と利用できる場面や方法、人身傷害保険は、本当に加入が必要か不要かなどについても、わかりやすく解説します。

人身傷害補償保険のポイント

人身傷害補償保険とは

人身傷害補償保険とは、人身事故の被害に遭った場合、自分の保険会社から自分や同乗者の怪我や死亡などの人身損害について補償を受けられる保険のことです。交通事故の被害者が利用できる自分の保険の1つです。

人身傷害補償保険は、交通事故などで負傷した被害者が、医療費や後遺障害に対する補償、収入の喪失による損失補填、死亡した場合には遺族に対する補償などを受けることができます。

人身傷害補償保険の必要性

人身傷害補償保険は、任意保険に加入する場合にセットとして含まれていることも多いものです。

また被保険者の家族であれば、契約車両以外の車に乗車して事故に遭った場合でも補償を受けることができます。

さらに、歩行中や自転車に乗っているときに事故に遭って怪我をした場合にも補償を受けることができます。

このように、人身傷害補償保険は補償範囲がとても広いので、加入しておく必要やメリットが大きく、簡単に「不要」「いらない」とは言えないでしょう。

人身傷害補償保険の普及率

搭乗者傷害保険の普及率についても念の為見ておきましょう。自動車保険の概況2019年度(2018年度統計)によると、下記の通りとなっています。

普及率(%)
対人賠償 74.8
対物賠償 74.9
人身傷害保険 69.8
車両保険 45.1
搭乗者傷害保険 26.3

上表のとおり、対人賠償や対物賠償よりは普及率は低いですが、車両保険よりも普及率は高く69.8%となっています。

*自動車保険の概況2019年度(2018年度統計)

人身傷害補償保険は早期に支払われる

人身傷害補償保険のメリットは、保険金が支払われるタイミングにあります。

支払いが早く、損害内容が固まったら、その時点での支払、つまり「相手の保険会社との示談が成立する前」に支払われます。

示談が成立するためには、通常数ヶ月~1年以上かかることもあるので、それまで一切お金が受け取れないことによって、つまり先払いや前払い、内払いのようなものがなくて、被害者が生活費など経済的に困窮して困ってしまうことがあります。

人身傷害補償保険なら、早めにまとまった支払いを受ける事によって、そのような問題を回避することができます。

また、相手の保険会社から「示談に応じたらすぐに支払う。早く条件を飲んではどうか?」などと言われて不利な条件を押しつけられることも良くあります。その対策としても効果的でしょう。

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人身傷害補償保険では過失相殺されない

交通事故で「どちらが悪いか?」を責任割合として数字で計算したもの(例:10対0、9対1)を「過失割合」といいます。

過失割合がなぜ重要かと言うと、事故の被害者が最終的にもらえる損害賠償金は、自分の過失割合に相当する割合の分だけ「減額されてしまう」という事実があるからです。

これに対し、人身傷害補償保険から支払いを受けられる保険金は、自分の過失とは無関係に保険金を受け取ることができることに大きなメリットがあります。

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相手が「無保険」だった場合の対策になる

交通事故に巻き込まれても、人身傷害については「加害者に支払ってもらうから」という理由で、人身傷害補償保険に加入しない人も多くいますが、交通事故の示談金は、必ず相手方が支払ってくれるとは限りません。

加害者が「任意保険に未加入」の場合があるためです。

万が一、自賠責保険のみの適用となると、実際にかかった追突事故やバイク事故での治療にかかる費用で、自賠責保険の限度額をすぐに上回ってしまう場合があります。

もちろん、自賠責保険で足りない部分については、加害者自身が実費で被害者に対して支払う義務を負っていますが、現実問題として、そもそも任意保険に加入していないような人は、金銭的にもあまり余裕のない人たちが多いため、加害者自身に実費で請求しても、回収できるだけの経済力がない場合もあります。

そこで、こういった万が一の際に人身傷害補償保険を適用させることで、自賠責保険金で足りない部分の補填に充てる事ができるのです。

被害者心理としては、自分の保険を使うという事には抵抗があるかもしれませんが、相手が任意保険未加入だった場合には、この人身傷害が被害者救済の切り札となり得るほど重要な補償内容なのです。

そんな時に泣き寝入りしないためには、自らのリスクヘッジとして人身傷害に加入しておくことで、もしもの時にも素早く保険金を受け取ることができるのです。

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傷害一時金特約とは

また人身傷害保険には、傷害一時金特約という特約が付帯されている場合があります。

その場合「一時金」「見舞金」がさらに支払われます。5日通院したり、5日入院した場合に、10万円ほどもらえる保険会社もあります。

保険会社によっては人身傷害保険にセットで最初から付帯されている場合もありますので、あらかじめ、自分の保険会社に内容を電話で確認しておくか、約款を読んでおいてください。

搭乗者傷害保険のポイント|人身傷害補償保険との違い

搭乗者傷害保険とは

交通事故の被害者が利用できる自分の保険としては、搭乗者傷害保険があります。

搭乗者傷害保険も人身傷害補償保険と同様、人身事故の被害者になった場合に補償を受けることができる保険です。

人身傷害補償保険と同様、契約者だけではなくその家族も補償を受けられますし、契約車両以外の車両に乗っていた場合の事故などについても補償を受けられます。

一般には、搭乗者傷害保険の場合には運転者が補償対象にならないなどと誤解されていることがありますが、そのようなことはありません。

搭乗者傷害保険と人身傷害補償保険は、補償が行われるケースが重複することが多いので、これらのうちどちらか1つにしか加入できない保険会社も多く、これら2つがまとまった保険を用意している保険会社もあります。

よって、任意保険の契約をする場合には、搭乗者傷害保険か人身傷害補償保険のどちらか1つに加入しておけば充分でしょう。

両者の違いは、保険金の金額の計算方法と計算基準

搭乗者傷害保険と人身傷害補償保険は似ていますが、違いもあります。それは、支払いを受けられる「保険金の金額の計算方法」です。

搭乗者傷害保険の保険金計算方法は、被害者が実際に支払いをした金額ではなく、発生した損害の内容や程度に応じて「あらかじめ決められた一定の金額」が支払われます。

たとえば、後遺障害が残ったらその等級に応じて定まった支払いが行われたり、傷害事案の場合には、「傷害の部位や程度」に応じて定まった金額の支払いがあったりします。

  • 「手足の打撲で5日以上入通院したら5万円」
  • 「腕の骨折で5日以上入通院したら35万円」
  • 「足を切断した場合には70万円」

などとされます。また、「1日あたりの定額×入通院の日数」などの計算式で計算することもあります。

一方、これに対して、人身傷害保険の保険金の計算は、「実際にかかった金額」が基準となります。

実際にかかった治療費や交通事故の損害賠償基準で計算した慰謝料、逸失利益などが支払われます。

両方に加入は必要ない?どちらかで良いか?

このように、搭乗者傷害保険と人身傷害保険は、保険金の計算方法に違いがあります。

どちらか1つにしか加入できない保険会社もありますが、両方加入していると、両方の保険から見舞金のような保障を受けられるので、より手厚い補償を受けることができて助かります。

交通事故に遭った場合にそなえて自分の保険会社からもしっかりと保障を受けたい場合には、搭乗者傷害保険と人身傷害補償保険の両方に加入しておくことも1つの方法です。

よくある質問:保険は必要か?いらないか?

搭乗者傷害保険と人身傷害補償保険に加入を考えている方は、下記の保険やオプションについてもいるかいらないか基本的なことを検討しておくと良いでしょう。

弁護士特約は必要なの?不要なの?

弁護士特約とは、交通事故に遭ったときの「弁護士費用」について、限度額までは全額保険から支払ってもらえる保険特約のことです。

弁護士特約をつけておくと、弁護士にかかる費用を保険から支払ってもらえるので、低額な事件でも気軽に弁護士に相談したり依頼したりできてとても便利です

弁護士特約の限度額は300万円になっていることが多く、それを越える部分については被害者の自己負担となります。ただ、弁護士費用が300万円を超える事故はそう多くはないので、だいたいのケースで300万円以内におさまることが多いでしょう。

通常、少額の事件では弁護士に依頼すると弁護士費用がかさんで足が出てしまうので、相談や依頼を躊躇してしまうことが多いですが、弁護士特約をつけているとそのような心配が不要となり、安心して弁護士に依頼できます。

交通事故の任意保険に加入する際には、是非ともつけておくことをおすすめします。

また、弁護士特約は、せっかくつけていてもそのことを忘れていて、いざというときに特約を利用しない人が多いという特徴があります。

交通事故に遭ったら、まずは自分の保険に弁護士特約がついていないかを確認して、もしついているようであれば、すぐに特約を利用して一度弁護士に相談に行ってみると良いでしょう

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無保険車傷害保険は必要なの?不要なの?

無保険車傷害保険とは、交通事故の加害者が任意保険に加入していなかったり、加入していたとしても、条件を満たしておらず保険金の支払いが行われなかったりする場合に補償を受けることができる保険です。

現在、自動車やバイクを運転するドライバーの多くは任意保険に加入していますが、公道上を走っている車の2割程度は任意保険に加入していないと言われています。

そのような加害者と事故になってしまったら、どのような酷い怪我をしても死亡しても、相手の任意保険会社から賠償金を支払ってもらうことができず、自賠責保険の最低限度の保証しか受けることができません。

また、ひき逃げ被害に遭って、相手を特定できず、相手の任意保険会社から保障を受けられないケースもあります。

このように、相手の任意保険会社から賠償金の支払いを受けることができない場合に、自分の保険会社からそれと同様の保障を受けることができる保険が無保険車傷害保険です。

ただし、無保険車傷害保険の補償の対象になるのは後遺障害や死亡の事案のみです。単なる傷害や物損、休業損害などについての補償は受けられないデメリットがありますので注意しましょう。

車両保険は必要なの?不要なの?

車両保険は有名かもしれません。

車両保険とは、契約車両が事故で損害を受けたり盗難に遭ったりした場合に支払いを受ける事ができる保険です。

たとえば、契約車両が事故で毀損したり火災や盗難被害に遭って損害を被ったりした場合に保険金が支払われます。

当て逃げ被害などに遭って、事故の加害者が特定出来ないケースであっても、車両保険に加入していると、自分の保険会社から自分の車の修理費用などを支払ってもらうことができます。

ただ車両保険を利用すると、保険の等級が下がってしまうので、修理費用が低額な場合などには利用しない方が得になるケースもあります。

契約車両が高級車両などのケースで、物損が高額になる場合には利用する価値があると言えます。

車両保険は自損事故の場合などにも適用されるので加害者のための保険である側面もありますが、被害者も利用できる場面があることを覚えておきましょう。

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まとめ

今回は、被害者が利用できる自分の任意保険について解説しました。

交通事故の保険金というと、相手(加害者)の保険会社から支払いを受ける示談金のイメージが強いですが、人身傷害補償保険や搭乗者傷害保険、無保険車保険など、被害者が自分の保険から支払いを受けることができるものもあります。

人身傷害補償保険と搭乗者傷害保険は補償範囲が重複しており、どちらか一方しか加入できないこともあります。

また、被害者が利用できる保険特約としては、弁護士特約が非常に役立ちます。

今回の記事を参考にして、交通事故の被害者になった場合にも賢く自分の保険会社を利用しましょう。

※これらはあくまで、一部の保険会社の補償内容を基準に解説しています。個別の補償内容についてはご加入を検討している保険会社に直接ご確認ください。

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