交通事故で骨折した場合の慰謝料相場はいくら?

交通事故による骨折は珍しいことではありません。では骨折に対し、どの程度の損害賠償を受けることができるのでしょうか。

交通事故の骨折に対する、慰謝料を含めた損害賠償の金額は、骨折を原因とした後遺障害の有無、とりわけ後遺障害等級認定を受けることができたか否かで、大きく変わってくるのです。

そこでこの記事では、交通事故の骨折による後遺障害が、慰謝料を含めた損害賠償額にどのように影響するかを説明します。

交通事故で骨折による損害賠償

交通事故で骨折した場合に請求することができる損害賠償の項目は、これ以上治療しても症状が良くならないと医師が診断する「症状固定」の前後で「傷害部分」と「後遺障害部分」とに分けられます。

治療をしても症状が改善しないのであれば、それ以上治療に関する賠償を加害者に負担させるのは適切ではなく、「症状固定」によって加害者の治療費に関する賠償の負担を終了し、「症状固定」後に残ってしまった症状については、後遺障害等級の認定を条件に別途「後遺障害」として損害賠償の対象とするという趣旨です。

骨折による傷害部分の損害賠償

傷害部分の損害賠償とは、交通事故によって受傷した怪我いわゆる傷害によって発生した損害に対する賠償です。

事故発生から「症状固定」もしくは怪我が治癒するまで請求することができます。

次項で詳述する傷害慰謝料や、交通事故の怪我で働くことができないために発生した減収分を補償する休業損害、治療費、通院するために使用した交通費などを含みます。

骨折による入通院慰謝料

骨折すれば、程度の差はあれ、とても痛い思いをします。さらに、治療のために入院と通院を余儀なくされます。その間、手術・注射・投薬などの辛さに耐えねばならず、体の自由も効かず、仕事や通学も制限されてしまう場合もあるでしょう。

このような、骨折という傷害を受けたこと自体から生じる辛い思いを精神的な損害ととらえて、それを賠償するのが「傷害慰謝料」です。

この傷害慰謝料の金額は、入通院期間の長さに応じて基準が設けられているので、別名、入通院慰謝料とも呼ばれています。

交通事故の賠償金は、まず公的な強制保険である自賠責保険が負担します。自賠責保険が負担する金額には限度額があるので、損害額が限度額を超えるときは、超えた部分を加害者側の任意保険会社に請求することになります。

自賠責基準の入通院慰謝料相場

自賠責保険から支払われる入通院慰謝料ですが、保険実務では次の基準で算定されます。

・実治療日数 × 2
・治療期間
上記いずれか少ない方の日数 × 4,200円 = 入通院慰謝料

以下の事例で実際に計算をしてみましょう。

事例:骨折で1ヶ月間入院し、その後2ヶ月間通院、通院回数は週3回の場合

入院期間:30日
通院期間:60日
実通院日数:3回 ✕ 4週 ✕ 2ヶ月 = 24日

実治療日数 = 入院30日 + 実通院日数24日 = 54日
実治療日数×2 = 54日 ×2 = 108日

総治療期間 = 入院期間30日 + 通院期間60日 = 90日

90日 < 108日

90日 ✕ 4200円 = 37万8000円

任意保険基準の入通院慰謝料相場

次に、加害者側の任意保険会社と被害者が直接示談交渉する場合に任意保険会社が提示する任意保険基準は、現在、各任意保険会社が独自に設定しており、なおかつ非公開とされています。

ただし、過去の統一基準によれば、任意保険基準の入通院慰謝料の相場は、50万4000円程度となります。

弁護士・裁判基準の入通院慰謝料相場

示談交渉を弁護士に依頼をした場合、加害者側の任意保険会社に請求できる賠償額は、過去の裁判例などをもとに金額を設定した弁護士・裁判基準で計算をします。

ここでは東京地方裁判所民事交通部の運用に基づき裁判実務のスタンダードとなっている「民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準」(通称「赤い本」)の「入通院慰謝料・別表Ⅰ」をあげておきます。

別表Ⅰでは、横軸に入院期間、縦軸に通院期間が示されています。

先の例と同じ、1ヶ月入院し、2ヶ月通院した場合、縦軸の入院期間と横軸の通院期間に対応する数字「98万円」が慰謝料の金額となります。

但し、この金額は、あくまでも目安・相場であり、骨折の内容、治療の内容によっても増減することが前提です。

骨折で1ヶ月入院、2ヶ月通院(実通院日数24日)した場合の各基準における入通院慰謝料相場をまとめると、以下の通りです。

自賠責基準37万8000円
任意保険基準50万4000円
弁護士・裁判基準98万円

骨折による後遺障害部分の損害賠償

治療しても、症状が残ってしまった場合は、後遺障害による苦痛や社会生活の支障が、生涯続くことになります。この損害には入通院慰謝料とは別途の賠償が必要です。

それが後遺障害が残ってしまった苦痛を慰謝する「後遺障害慰謝料」と、後遺障害によって失われた将来の収入を補償する「後遺障害逸失利益」です。

ただし、これらが認められるためには、後遺障害等級の認定を受けることが必要です(※)。

※なお、自賠責保険の等級認定の判断は、裁判所を拘束するものではありません。しかし、実際の訴訟実務は、多くの場合、自賠責保険の認定した等級を前提として、それが適正かどうかをめぐる攻防になるので、やはり自賠責保険によって認定を受けた内容は重要です。

骨折による後遺障害の慰謝料

後遺障害が認定されれば、その等級に応じた後遺障害等慰謝料額が基準化されています。

骨折で獲得できる各後遺障害慰謝料の相場は以下の通りです。

等級自賠責基準任意保険基準弁護士基準労働能力喪失率
1級1100万円1300万円 2800万円100%
2級958万円1120万円2370万円100%
4級712万円800万円1670万円92%
5級599万円700万円1400万円79%
6級498万円600万円1180万円67%
7級409万円500万円1000万円56%
8級324万円400万円830万円45%
9級245万円300万円690万円35%
10級187万円200万円550万円27%
12級93万円100万円290万円14%
13級57万円60万円180万円9%
14級32万円40万円110万円5%

骨折による後遺障害の逸失利益

逸失利益は、後遺障害によって得られなくなった今後の収入です。

後遺障害が残ってしまったことで労働能力を一定割合失ったものと評価して、その部分の収入を賠償します。

労働能力の喪失率は、後遺障害等級に応じて労働能力喪失率として基準化されています。

逸失利益の計算式を以下にあげておきます。

逸失利益=
年収額 × 労働能力喪失率 × 被害者の年齢に応じたライプニッツ係数

「被害者の年齢に応じたライプニッツ係数」とは、国土交通省の下記サイトでダウンロードできます。

参考外部サイト:国土交通省「就労可能年数とライプニッツ係数表

では、実際に以下の事例で、被害者の後遺障害逸失利益を計算してみましょう。

被害者

年齢:35歳
年収:400万円
後遺障害等級:10級
10級の労働能力喪失率:27%
被害者のライプニッツ係数:15.803

年収400万円 ✕ 27% ✕ 15.803 = 1706万7240円

ただし、残存した症状が、具体的に働く能力にどのように影響を与えてるかが問題になるので、骨折による後遺障害が常に逸失利益の賠償を可能とするわけではありません。

たとえば、機能障害や短縮障害のように、身体の運動の支障が明らかで、同程度の関節の可動域制限であっても、大工とデスクワーク中心のサラリーマンでは、仕事に与える影響は異なって当然です。

そのため裁判の実務では、単純に等級だけで労働能力喪失率を判断せず、被害者の年齢、職業、後遺障害の部位、程度、当該被害者の職業に対する具体的な影響の程度など、諸般の事情を総合判断して、労働能力喪失率を判定しています。

骨折の後遺障害等級

では、骨折によって生じうる後遺障害とはどんな症状なのでしょう。

自賠責保険によって後遺障害と認められる症状の内容は決まっています。骨折を原因として、次のような症状が残っているときは、該当する後遺障害等級が認定される可能性があります。

欠損障害

腕や脚の全部や一部を失ってしまった場合です。

等級後遺障害の内容
1級両上肢をひじ関節以上で失ったもの
両下肢をひざ関節以下で失ったもの
2級両上肢を手関節以上で失ったもの
両下肢を足関節以下で失ったもの
4級1上肢をひじ関節以上で失ったもの
1下肢をひざ関節以上で失ったもの
両足をリスフラン関節以上で失ったもの
5級1上肢を手関節以下で失ったもの
1下肢をひざ関節以下で失ったもの
7級1足をリスフラン関節以上で失ったもの

機能障害

腕や脚の関節の機能が失われたり、可動域に制限が生じたりした場合です。

等級後遺障害の内容具体例
1級両上肢又は両下肢の用を全廃したもの両腕の3大関節及び手指の関節が全く動かないときなど
5級1上肢又は1下肢の用を全廃したもの片脚の3大関節が全く動かないときなど
6級1上肢又は1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの片腕の肩、肘関節が全く動かないときなど
8級1上肢又は1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの片足の膝関節の可動域が健側の膝関節の10%程度以下に制限されているときなど
10級1上肢又は1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害をのこすもの健側の可動域の2分の1以下のときなど
12級1上肢又は1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害をのこすもの健側の可動域の4分の3以下のときなど

変形障害

骨折によって骨が変形してしまった症状です。腕や脚に偽関節が残った場合を含みます。

等級後遺障害の内容具体例
7級1上肢又は1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの上腕骨の骨幹部に癒合不全を残し、常に硬性補装具を必要とするものなど
8級1上肢又は1下肢に偽関節を残すもの上腕骨の骨幹部に癒合不全を残すものなど
12級5号鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨、骨盤骨に著しい変形を残すもの裸体で変形や欠損が明らかであるときなど
12級8号長管骨に変形を残すもの上腕骨が15度以上屈曲して不正癒合したものなど

短縮障害

骨折により、下肢の長さが(健側の下肢に比べて)短くなってしまった症状です。

等級後遺障害の内容
8級1下肢を5センチ以上短縮したもの
10級1下肢を3センチ以上短縮したもの
13級1下肢を1センチ以上短縮したもの

醜状障害

骨折により、身体に醜いありさまが残ってしまった症状です。

等級後遺障害の内容具体例
7級外貌に著しい醜状を残すもの頸部に手のひら大以上の瘢痕があるときなど
9級外貌に相当程度の醜状を残すもの頸部に長さ5センチ以上で人目につく程度以上の線条痕があるときなど
12級外貌に醜状を残すもの頸部に鶏卵大面以上の瘢痕があるときなど
14級上肢又は下肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの

末梢神経障害

骨折により、痛みや痺れの症状が残ったものです。

等級後遺障害の内容自賠責保険の運用上の認定基準
12級局部に著しい神経症状症状の存在を医学的に証明できる場合
14級局部に神経症状症状の存在を医学的に説明できる場合

骨折の後遺障害等級認定は弁護士に依頼

最後に、同じ被害者で、後遺障害等級の有無で損害賠償額がどのくらい違うのか比較してみましょう。

被害者

年齢:35歳
年収:400万円
症状:右肘関節が、左肘関節の2分の1しか動かなくなった

後遺障害等級認定なしの場合
入通院慰謝料 98万円

後遺障害等級10級が認定された場合
入通院慰謝料98万円 + 後遺障害慰謝料550万円 + 後遺障害逸失利益1700万円
合計2348万円

このように、後遺障害等級認定の有無で、損害賠償額が大きく変わるのです。

交通事故で骨折被害に遭ったら、相手に対して入通院慰謝料や後遺障害慰謝料、逸失利益などの請求ができます。ただ、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求するには、骨折の内容や程度に応じて後遺障害の等級認定を受ける必要があります。

また、交通事故の慰謝料計算基準には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3種類があり、なるべく正当で高額な賠償金を請求をするには、弁護士基準で計算する必要があります。

そこで重要なのは、骨折被害を受けたり、後遺障害が残ったりした場合には、相手との示談交渉や後遺障害等級認定手続きを弁護士に依頼することです。

今、交通事故による骨折の治療中であったり、相手保険会社と示談交渉をしていて不満を持っていたりする場合には、まずは交通事故問題に強い弁護士を探して、相談してみることをお勧めします。

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