人身事故被害者が知るべき流れ・すること・対応方法をわかりやすく解説

例えば追突事故のような人身事故の被害にあったら、気が動転してどのような対処をとれば良いかわからなくなることが多く、流れや、被害者がすることもわからないことでしょう。

例えば以下のような内容についてです。

  • 怪我の治療
  • 示談交渉
  • 慰謝料
  • 後遺障害認定

人身事故にあったら、上記のようなこと、様々なことを進めていかなければなりませんが、具体的にどのような流れになるのか分からないこともあるでしょう。

そこで今回は、人身事故にあったら、その後の解決までの流れについて、注意点も合わせて解説します。

追突された!被害者の事故発生から解決までの流れ

事故発生から解決までの流れ

まず、追突事故などの交通事故が発生した場合、上記のような流れで解決していきます。

交通事故にあったら、流れを知っておけば先を見通せますので、保険会社や加害者のペースで進まず、しっかりと準備して臨むことができます。

以下で詳しく解説します。

人身事故にあったら|初期対応

まず、交通事故当事者の双方が行うべき初期対応と、交通事故にあったら被害者の方が守るべき注意事項について解説します。

交通事故直後の対応は非常に重要です。この対応を間違うと、後日賠償金の請求ができなくなる可能性がありますので、注意が必要です。

交通事故当事者の双方が行うべき初期対応

必ず停車して車を降り、安全確保する

交通事故の発生後は、必ず車を安全な場所に停車して、現状の確認・二次災害の防止措置を取らなければなりません。

警察を呼ぶ

交通事故に遭ったら、事故の当事者は警察を呼ぶことが必要です。

警察を呼んでおかないと、実況見分調書が作成されませんし、交通事故証明書も作成されません。交通事故証明書がないと、被害者は後日、加害者の保険会社に対して保険金の請求ができなくなるおそれがあります。

実況見分調書は人身事故の場合に作成されますが、交通事故の状況を詳しく記した書類なので、事故の態様に争いがある場合などには重要な証拠となります。

実況見分調書がないと、どちらの主張が正しいのかを証明することができません。

また、交通事故が起こった場合には双方のドライバーに通報義務がありますので、これに違反すると、懲役刑や罰金刑などの刑事罰が科されるおそれもあります。

人身事故の場合は救急車を呼ぶ

人身事故の場合にはもちろんのこと、救急車を呼ぶ必要もあります。

交通事故を起こしたドライバーには、警察への通報義務だけでなく、被害者に対する救護義務もあります。

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被害者の方が守るべき注意事項

その場で示談しない

交通事故現場では、被害者はその場で示談をしてはいけません

ときどき、交通事故が起こると、警察を呼ばずにその場で示談してしまうケースがあります。
相手方から「〇〇万円支払うからここで示談してほしい」などと頼まれるケースもあります。

しかし、交通事故現場で示談すると、後になって重大な後遺障害が発生していた場合でも、追加の損害賠償請求ができなくなるおそれがあります。

交通事故直後は、どのような怪我をしているかわかりませんし、後遺障害の内容なども明らかになっていません。詳しくは後述しますが、事故直後には痛みなどの自覚症状がないことも多いです。

交通事故現場では、たとえ相手にどんなに頼まれても、示談に応じたり、よくわからない書類にサインしたりしないように注意しましょう。

また、後日しっかりと損害賠償を受けることができるよう、加害者の連絡先や、相手方の加入している保険会社についても忘れずに確認しておきましょう。

必ず病院を受診する

交通事故に遭ったら、すぐに病院を受診する必要があります。

人身事故直後には痛みなどの自覚症状がないことがあります。しかし、後日痛みやしびれなどの症状が出てくることも多いです。
事故直後に病院に行っていないと、結果的に通院を開始するまでに日数が経過していることになります。

すると、相手方保険会社から「それは交通事故とは無関係な怪我だ」などと因果関係を疑われて、賠償金を支払ってもらえなくなるおそれがあります。

治療に関する問題や、保険会社の治療打ち切りについては、交通事故に強い弁護士に相談すると解決する場合も多いので、一度相談してみてください。

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人身事故後、入通院治療を行う

続いて、人身事故の治療の段階の話です。

入通・通院の期間に応じて、将来受けとることができる「入通院慰謝料」の金額が変わってきますので、被害者の方は手順を守りしっかりと対応していく必要があります。

必ず「医師」の治療を受ける

意外と見落としがちですが、「医師」がいる病院で治療を受ける必要があります。

たとえば、追突事故で首に痛みが出て、「むち打ち」を発症した場合など、病院の整形外科に行かず、いきなり整骨院や接骨院にのみ通院して、病院を受診しないケースがあります。

しかし、整骨院や接骨院には「医師」がいません。これらの院の先生は、柔道整復師という資格の持ち主であり、医師資格は持っていないのです。

もちろんレントゲン検査やMRI検査などの各種の検査もできませんし、投薬治療もできません。

レントゲンやMRIなどの画像診断は、後に後遺障害等級認定請求をする際に、非常に重要な資料になります。初めから整骨院などに行ってしまった場合、これらの画像診断結果がないので、人身事故での後遺障害の認定を受けることが非常に難しくなってしまいます。

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完治または症状固定まで通院する

人身事故後の通院治療は、必ず症状が完治するか、症状固定まで継続する必要があります。

なぜなら、入通院慰謝料の金額は、入通院の期間が長ければ長いほど高額になります。

つまり入通院を最後まで継続しないと、本来受け取れる入通院慰謝料が請求出来なくなってしまいます。

また、症状固定時まで通院を継続しないと、後遺障害慰謝料等級認定を受けられません。

たとえば会社員の方など、面倒で途中で通院を放棄してしまいがちです。そうすると正当な人身事故の慰謝料を請求できなくなり、大きな不利益を受けます。

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健康保険を利用する

相手方の任意保険会社が支払ってくれる場合には問題が起こりませんが、支払を打ち切られたり、当初から支払をしてくれなかったりするケースもあります。

この場合、全額実費になると被害者の負担が大きくなりすぎます。

よく誤解されがちなこととして「交通事故での通院の際は、健康保険が使えない」と思いがちです。実際に、そのような対応をとる病院が存在するからです。

しかし、交通事故による通院で健康保険の利用を制限する法律や制度はありません。制度的には、健康保険を問題なく利用できるのです。

(なぜ病院が健康保険の利用を断るかというと、健康保険を使われると、診療報酬が安くなったり、保険外の診療行為ができなくなったりするといった事情があるからです。)

もし、交通事故の通院に健康保険を利用する場合には、健康保険組合に対して「第三者行為による傷病届」という書類を提出します。

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人身事故での後遺障害等級認定請求をする

被害者請求と加害者請求

症状が完治した後には、相手方任意保険会社との間で示談交渉が開始します。

しかし、症状が完治せずに症状固定して、後遺障害が残った場合には、後遺障害等級認定請求をします。

この際、下記の2つの手続き方法があります。

  • 加害者請求
  • 被害者請求

手続きの透明性を保つため、自分で等級認定請求をする被害者請求手続きのほうが安心ですし、おすすめです。

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後遺障害診断書がポイント

後遺障害等級認定請求をするためには、相手方自賠責保険会社から、自賠責保険の請求書類一式を取り寄せて、担当医に後遺障害診断書を記載してもらいます。

後遺障害診断書には、

  • きちんと後遺障害の症状がわかるように記載してもらうこと
  • 症状が完治せずに残っていることを記載してもらうこと
  • 事故と症状に因果関係があること

などをしっかり記載してもらうことが大切です。

さらに

  • 保険金支払い請求書
  • 印鑑登録証明書
  • 交通事故証明書
  • 事故発生状況報告書
  • 診療報酬明細書

などの必要書類をそろえ、相手方自賠責保険会社に送付します。

すると、後遺障害等級認定についての調査が行われ、後日その結果が通知されます。

この手続は必要書類も多く大変ですので、弁護士に相談することをおすすめします。

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人身事故での示談交渉を開始する

人身事故後の入通院治療が終了して、後遺障害の等級認定手続きが終了したら、相手方と示談交渉を開始します。

示談で決めること

示談の話し合いでは、賠償金の種類とそれぞれの金額を決定していくことになります。

たとえば、以下の賠償金について、それぞれ計算して決定していきます。

  • 病院治療費
  • 交通費
  • 付添看護費
  • 休業損害
  • 入通院慰謝料
  • 後遺障害慰謝料
  • 逸失利益

慰謝料は弁護士基準が最も高額

その際に知っておくべきことは「賠償金の計算方法」が3種類あるということです。

  • 自賠責基準
  • 任意保険基準
  • 弁護士・裁判基準

この中で、弁護士・裁判基準が最も高額になります。

弁護士・裁判基準での計算は、他の基準を採用した場合と比べて損害賠償金額が数倍にもなる可能性があります。

弁護士・裁判基準を使って示談交渉をするには、示談交渉の手続きを弁護士に依頼する必要があります。もしも自分で示談交渉をした場合、任意保険基準で賠償金が計算されてしまうわけです。

過失割合が重要

示談交渉においては、過失割合と過失相殺の決定も重要です。過失割合とは、交通事故の原因について、当事者のどちらにどれだけの責任があるかという割合のことです。

この過失割合に応じて損害賠償金額を「減額する」ことを過失相殺と言います。

自分の過失割合が高ければ高いほど、相手に請求できる損害賠償金額が減ってしまいます。つまり、慰謝料を適正に獲得するためには、自分の過失割合をなるべく減らすことが必要になります。

弁護士であれば、事案ごとの適切な過失割合や過失相殺の方法を知っているので、相手方任意保険会社から丸め込まれて、不利な条件を受諾させられるなどのおそれはありません。

示談が成立しない場合(裁判)

通常の場合の交通事故は、示談が成立し終了します。

しかし、稀に、示談交渉をしても、話し合いが成立しないことがあります。

この場合には、交通事故の損害賠償金請求のため、

  • 調停
  • 示談斡旋(じだんあっせん)
  • 裁判手続き

などを利用する事になります。調停では、相手方保険会社と、裁判所で話し合いをします。

示談斡旋の手続きは、相手方保険会社との間での示談を専門機関にあっせんしてもらったり、仲裁決定を依頼したりします。

そして、もし調停や示談斡旋でも解決できない場合には、裁判手続き(訴訟)を利用します。

もちろん、調停や示談斡旋手続きを利用せず、いきなり訴訟を提起することも可能です。

また、訴訟の最中に話し合いができた場合には、裁判手続きが「和解で解決」することもあります。

示談金・賠償金の支払いを受ける

ここまでの交渉の内容に従って、相手方保険会社から賠償金の支払いを受けることになります。

  • 示談が成立したら示談書を作成
  • 入金を待つ

その他の場合には、調停調書、仲裁決定書、和解調書、判決書などに従った入金を待ちます。

この際に、入金までに少し時間がかかる場合もあるようです。

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弁護士相談するベストなタイミング

人身事故に遭った場合、いつのタイミングで弁護士に相談すべきか?

相談すべきタイミングは、人身事故の直後です。

事故直後は、当事者としても混乱していますし、今後どのようにして手続きが進んでいくのかが不安になります。すぐに示談交渉を開始しなくても良いのか、通院治療はいつまで続けるべきなのかなど心配・不安も多い状況です。

そこで、弁護士相談を受けて、おおまかな流れについて説明を受けておくと、安心できます。

保険会社による治療費の支払い打ち切りを受けたらどうする?

相手方任意保険会社から治療費の支払いを打ち切られた場合、弁護士に相談・依頼しましょう。

交通事故後の通院治療費は、相手方任意保険会社が支払ってくれることが多いですが、通院治療が長引いてくると、治療費を打ち切られることがあります。

このような場合、被害者本人としては、相手方任意保険会社の言葉に従って良いのかがわかりません。治療費を支払ってもらえないなら、その後どうやって支払をすれば良いのかもわからなくなり、仕方なく示談に応じることも多いです。

このような場合、弁護士に相談して適切なアドバイスを受ければ、最後まで通院を継続して、きちんと入通院慰謝料や後遺障害慰謝料の支払いを受けることができます。

保険会社の示談金の提示時、又は示談交渉を開始する際、不満、不安があるときどうする?

示談交渉を開始するタイミングで弁護士に相談しましょう。

弁護士が示談交渉をすることによって、高額な弁護士・裁判基準を利用できますし、過失相殺などについての交渉も有利にすすめることができます。

被害者自身が示談交渉をする手間も省けますし、精神的にも楽になります。

また、慰謝料を保険会社から提示され、金額に納得がいかないとき、妥当か知りたいときには、弁護士に示談金査定をしてもらうとよいでしょう。

まとめ

今回は、交通事故にあったら発生から解決までの流れを解説しました。

  • 人身事故にあったら、直後の対応が重要です。
  • その後、入通院による治療を継続して、症状固定したら後遺障害の認定請求をします。
  • 後遺障害の認定結果が出たら、相手方任意保険会社と示談交渉をします。
  • 示談交渉を有利に進めるためには、示談を弁護士に依頼しましょう。
  • 示談が成立しない場合には、訴訟手続きなどを利用します。
  • 示談や調停、裁判などで賠償金の決定があれば、その内容に従って入金を受け、交通事故事件が解決します。

今回の記事を参考にして、交通事故後のそれぞれの場面で適切に対処していきましょう。

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  1. 保険会社が提示した示談金・慰謝料に不満だ
  2. 事故の加害者・保険会社との示談交渉が進まない
  3. 適正な後遺障害等級認定を受けたい

弁護士に相談することで、これらの問題の解決が望めます。
保険会社任せの示談で後悔しないためにも、1人で悩まず、今すぐ弁護士に相談しましょう。

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監修
弁護士相談Cafe編集部
本記事は交通事故弁護士カフェを運営するエファタ株式会社の編集部が執筆・監修を行いました。
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